堀井 博一
最近取り入れる方も増えてきた「デジタル勉強法」。
気になっている方も多いと思いますが、「デジタル」とひとくちに言っても、スマートフォンがあったりタブレットがあったり、アプリもたくさんあったりと、何をどうすればよいのか悩みどころですよね。
そこで、「簿記の教室メイプル」ネット講座をシステム面でサポートされ、また受講生からのデジタル学習に関する相談にも対応されているITストラテジストの堀井博一先生(通称:ひろりん先生)に、記事をご執筆いただきました。
前回はスマホを使った勉強法をご紹介いただきましたが、今回は「iPad」を使った勉強法やおすすめのアプリをご紹介いただいております。(編集部)
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前回はスマートフォン(以下、スマホ)を活用したデジタル勉強法についてお話ししましたが、今回はタブレット、特にiPadを活用した勉強法のご紹介です。
タブレットはさまざまなメーカーから発売されていますが、勉強に活用するのであれば、iPadをイチオシします。その理由はいくつかありますが、大きな理由としてはアップルペンシルの利便性があります。
iPadを購入したらアップルペンシルもぜひ購入してください。iPadを使って勉強する際に、アップルペンシルがないと、iPadの魅力は十分に引き出せません。もはやアップルペンシルは必須のアイテムとなります。
これからiPadを導入しようとしている方が一番気になるのは、その費用だと思います。わたしがサポートしている「簿記の教室メイプル」でも、ネット講座の受講前に「どのiPadを買えばよいのか」「どんな付属品を買えばよいのか」といった相談がよくあります。
Appleでは毎年9月頃に新製品が発表されます。2021年も9月に新型iPadが発表されました。iPadにはいくつか種類があります。下記は簡単な比較表です。
画面サイズ | 容量 | |
iPad(第9世代) | 10.2インチ | 64GB / 256GB |
iPad Air | 10.9インチ | 64GB / 256GB |
iPad Pro | 12.9インチ 11インチ | 128GB / 256GB 512GB / 1TB / 2TB |
iPad mini | 8.3インチ | 64GB / 256GB |
Wi-Fi環境でのみ使うのであれば、一番のオススメはiPad 10.2インチの256GBのWi-Fiモデルです。
価格はApple公式サイトでは57,800円、アップルペンシル(第1世代)が11,880円なので、合計69,680円です。
勉強でメインに使うのであれば、ノーマルなiPadで問題ないと思います。ただし、容量は多いほうがオススメです。少ない容量だと、インストールしたアプリだけでiPad本体の容量の大部分を占めてしまいます。
iPadを導入するには費用がかかります。上記の価格も7万円弱と、決して安い買い物ではありません。しかし、利便性・効率性を考えると、わたしは導入して本当によかったです。
また、iPadにはリセールバリューがあります。わたしが約3年前に購入したiPad(第7世代)も売却すれば、35,000円ほどで売却できます(2021年10月時点)。
新型iPadが発売された今のタイミングが、勉強にiPadを導入する絶好の機会です。
iPadは本当になんでもできるタブレットといっても過言ではありません。自分が「こんなことをしたいな」ということがほとんどできてしまいます。
ここからはアップルペンシルがあることを前提としてお話しします。
勉強するためにはノートが欠かせません。iPadにもノートがあります。正確にはノート「アプリ」ですが、そのなかでも「Goodnotes」というアプリがダントツで使いやすく、利用している方も多いです。
Goodnotesの使用方法はすでにたくさんのブログなどで説明されているので、ここでは簡単にどんなことができるのかを説明します。
前もってダウンロードしておいたPDFをGoodnotesで開きます。これはiPad縦向き1画面のケースです。
次にiPadを横画面にして、2画面でGoodnotesを開くケースです(「スプリットビュー」という機能です)。
このケースの場合、左画面に問題、右画面にノートを表示させることができます。右画面を計算用紙として使うのも便利です。
また、右画面に解答のPDFを表示させて答え合わせをするなど、2画面使用の用途はたくさんあります。
アップルペンシルがあれば、自由自在にPDFを拡大・縮小して、文字を書き込んだり、マーカーを塗ることができます(他のスタイラスペンでも書き込みはできますが、アップルペンシルの利便性には劣ります)。
さらにGoodnotesで便利な機能は「なげなわツール」です。なげなわツールで囲んだ箇所を切り取って、他のノート(他の画面)に貼り付けることもできます。
このツールを使えば、自分が間違えた問題だけを集めた、自分専用の弱点問題集を作ることもできます。
上部になげなわツールがあるので、それを使い、問題10を切り抜きます。
すると、問題10だけが分離できます(正確にはスクリーンショットを撮ることになります)。
最後にその切り抜いた画像を右の画面にドラッグ&ドロップします。
このように、問題をまとめていけば、自分専用にカスタマイズされた問題集ができあがります。
【動画】GoodNotesの「なげなわツール」
「Planner」で楽しくスケジュール管理
Planner for iPad はアップルペンシルでも書き込める、いわばデジタルとアナログが同居しているようなスケジュール管理アプリです。
年間・月・週間(レフト)・週間・日単位での切り替えが可能で、アップルカレンダーとの同期も可能です。
【週間単位】
【日単位】
スタンプもあるので、予定をアップルペンシルで書き込み、予定が完了したらスタンプを押す。デジタルなのに、アナログな感じがするのも面白いアプリです。
これまで紙の手帳にスケジュールを書き込んでいた人にも、楽しく活用できるアプリではないでしょうか。
【動画】「Planner」を使用
iPadで勉強するためには、テキストなどのいろいろな資料をiPadにダウンロードする必要があります。
そのダウンロードする前の資料を「どこに」保存しておくか、具体的には「どのクラウドに」保存しておくか決めることが大事です。 ひとくちに「クラウド」といっても、いまやたくさんのクラウドがあります。下記は簡単なクラウドの比較表です。
無料プラン容量 | ||
Googleドライブ | 15GB | Androidユーザーに最適 |
iCloud | 5GB | iPhone/iPadユーザーに最適 |
Dropbox | 2GB | |
Box | 10GB |
このほかにもクラウドサービスはありますが、勉強用途であればGoogleドライブとiCloudをうまく使い分けることで、資料の整理はできると思います。
資料はいったんクラウドに保存する。スマホで勉強するにせよ、iPadで勉強するにせよ、クラウドから必要な資料をスマホやiPadにダウンロードすれば、どこでも勉強できるようになります。
またクラウドの容量についてですが、書類レベルであれば無料プランでも十分なはずです。写真や動画も保存するとなると、あっというまに無料の容量を超えてしまうので注意してください。
もともとPDF化されたテキストや問題集であれば、そのままiPadにダウンロードするなどしてすぐにノートアプリで書き込むことができます。しかし、紙の書籍である場合そうはいきません。
前回紹介したスマホ用アプリで、テキストをスキャンしてPDF化することもできますが、大量のページ数のテキストでは時間がいくらあっても足りません。
そこで大活躍するのがScanSnapです。わたしも自宅にあるさまざまな書類をScanSnapでPDF化しました。
ScanSnapは大量の書類をあっというまにスキャンしてPDF化してくれます。そしてパソコンがあれば、パソコン上でOCR処理ができます。OCR処理をすれば、PDF内の単語を検索できるようになるので、勉強の際に「特定の単語」を検索したい場合には非常に便利です。
たとえば、100ページあるテキストのなかから「営業利益」という単語を検索したい場合、1ページ、1ページ確認するのは骨が折れます。しかし、OCR処理されたテキストであれば、ノートアプリ内で「営業利益」と検索すれば一瞬で、その単語があるページを抜き出してくれます。
さいごに
前回とあわせ、スマホ編とiPad編と2回にわたり、デジタル勉強法の“ほんのさわり”を紹介してきました。もちろん今回紹介した内容以外にもできることはたくさんあります。
一度にデジタルに移行する必要はまったくありません。日商簿記など実際の資格試験自体もペーパーとデジタルの併用であり、過渡期でもあります。
ペーパー試験を受けるのであれば、試験直前には、きちんと印刷をして問題を解いて勉強するべきだとわたしは思います。
デジタルで楽に勉強できることはデジタルで、ペーパーで勉強するべきことはペーパーで、と自分がこれから目指す資格試験の形態に合わせて、臨機応変に、柔軟に勉強スタイルを変化させてみましょう。
勉強にデジタルを取り入れたいけれど、どこから手をつければよいのかわからない。どんなことができるのかわからない。そんな方々がこの記事で、デジタルを取り入れた勉強を、少しでもイメージできたら嬉しく思います。
<執筆者紹介>
堀井 博一(ほりい・ひろかず)
ITストラテジスト
明治大学文学部卒業後、海底ケーブルメーカー、自動車部品メーカー、IT系専門商社にて生産管理、総務人事を経験。IT系資格最高峰のITストラテジスト試験に一発合格。日商簿記1級・全経簿記上級を取得し、現在は、簿記の教室メイプル(通信講座)でグループウェアを使った講座システムの運用サポートをメインに、受講生からのデジタル勉強環境や学習内容などに関する質問に幅広く応じている。趣味は読書、ガジェット・アプリ研究、企業分析など。読書は年間100冊以上。
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