【税理士試験】実務家が本気で選ぶ 税法科目選択ドラフト会議 2021


第3選択科目

伊東 修平
伊東 修平

相続税法を選択します。

 私は相続税法を受験しなかったため、いまだに苦手意識があります。お客様から相続に関する相談を受けることもあるのですが、実務としては取り扱っておらず、機会損失になっています。

 ちなみに、 事業税・住民税・固定資産税なども扱いますが、そこまで難しくなく、実務で覚えれば事足ります。そのため私は、法人税法・消費税法に続いて相続税法をお勧めします。

所得税法を選択します。

岩下 尚義
岩下 尚義

 「キラリと光る個性」という視点で指名します。ボリュームがあるため、受験者数は多くありませんが、主要な税目であり、実務では必須の知識といえます。

 実務で活かしやすいのもポイントです。個人事業主だけでなく、サラリーマンの税額計算も所得税法を使います。所得や各種控除の計算、家を建てたら・売ったら、NISAとiDeCoって何ですか…などなど。日常で受けている税務相談で最も多い科目が所得税法かもしれません。

 また、私の受験仲間や講師時代の生徒のうち、所得税法を受験した方は、わりと所得税法の知識を武器にしている傾向があります。株式や不動産に関する税制に強い税理士として活動している友人。所得税法とFP資格をあわせて取得することで生活設計や資産運用を武器にしている友人。私もブログなどで発信する際には、多くの人にとって身近な所得税法を話題にすることが多いです。冒頭の「キラリと光る個性」とは、そのような展開のしやすさからです。

 さらに、法人税法を指名した理由と同じく、受験時にボリュームのある所得税法を学んでおくと、その後の実務において大きな財産になるというのも1つのポイントです。

神野 裕一
神野 裕一

相続税法を選択します。

 とても迷いましたが、第3選択科目として相続税法を選択します。なぜ迷ったかというと、相続税法は税法科目の中でも人気が高く、そのぶんベテラン受験生が多いと言われているからです。最後の科目を相続税法にすると合格までに時間を要するケースも見受けられます。もし、税理士になることを最優先に科目選択をするのであれば、相続税法は外すのもアリです。私の周りの税理士は、最後の科目として国税徴収法を選択した方も多いです。

 ただ、相続はやはり近年関心の高い分野ですし、地域や税理士会などの税務相談会場では相続に関するご相談は多いです。今後、経営者の高齢化に伴い、中小企業の事業承継対策が必要になると考えられますので、法人顧問をメインとする場合においても、「顧客への提案の幅を広げる」という点で、相続税法の知識が重要性を増します。

法人税法を選択します。

尾藤 武英
尾藤 武英

 3位は私自身が選択しなかった法人税法です。当時の私が所得税法を選んだ理由は、なかなか法人税法に受からない友人を側で見ていて、法人税法は難しそうなイメージが強かったから。ただ、今の自分が当時の自分にアドバイスするのであれば、「法人やったほうがいいよ!」と言うでしょう。

 なぜなら、相続実務において、取引現場のない株式の評価や借地権の評価など、法人税法の知識を必要とする場面が意外と多いからです。また、会計科目の知識を活かせる、計算の知識が所得税法の事業所得の計算にも活かせる、事業税の学習に有利など、他の科目とのつながりが多いのも法人税法の特徴といえます。

 2位でも述べたように、試験で未学習の税法は、アンテナの感度が悪くなる(というか、そもそもアンテナが備わらない)のが怖いのですが、私の場合、法人税法がそれにあたるので、実は今も、世間一般の税理士が普通に知っていることすら知らないのでは? という不安を抱きながら実務に携わっています。

 今もし税法科目を選び直すとすれば、1位で挙げた相続税法の相方には法人税法を選ぶでしょう。そして、2位の消費税法との3つで官報合格を目指します。

藤井 太郎
藤井 太郎

国税徴収法を選択します。

 実務経験8年を経たいま、もしプラス1科目を勉強するとしたら、国税徴収法を選択します。

 2020年以降、コロナ禍により納税の猶予(換価の猶予)に関する相談が増加しました。体系的な知識を習得できれば、より深みのある対応につながりそうだと感じています。

 「課税」は、財産権・基本的人権・生存権といった憲法で保障されている権利と相反します。納税者を保護しながら、どのように「納税の義務」とのバランスを取って「徴収」という法的秩序を保っていくのか、非常に興味があります。

 税理士は実務家であると同時に「税法の探究者」でもあると僕は思っています。同じように考える、文系の社会科が好きな受験生は楽しく学べそうです。「理論のみ」というのも最大の特徴ですね。

 そもそも「税金って払わないとどうなるの?」という素朴な質問に「それはね…」とスマートに語れたら、すごくカッコいいじゃないですか。

相続税法を選択します。

前川 秀和
前川 秀和

 私は、残り1つの税法科目として固定資産税を選択しました。比較的ボリュームが少ないと言われている固定資産税。たしかにテキストは薄いですが、税理士試験の試験時間はどの科目も2時間。つまり、ボリュームが少ない科目でも、練習時間はそれなりに必要となります。固定資産税は、実務でまったく使えないわけではないと思いますが、ほぼ使わないです。雑学です。

 早く合格したいからボリュームの少ない税法。この考え方はギャンブルです。もちろん当たればよいのですが、私は外しました。たしか5〜6回受験したと思います。現在はわかりませんが、当時の固定資産税は、計算は満点勝負という、非常にギャンブル性の高いものでした。

 というわけで、私は受験していないのですが、消去法で「相続税法」でしょう。迷う余地はありません。

 ただし、最も優先すべきは、官報合格すること。受かるのであれば、どんな科目だってOKです。ここまで書いてきてなんですが、必要以上に実務を意識しなくてもよいと思います。どの科目も難しいのは間違いないので、自分が納得できるのであれば、どんな理由で選択してもよいと思います。むしろそのほうがよいかもしれません。

峯松 麻衣子
峯松 麻衣子

相続税法を選択します。

 税額が大きい傾向のある相続税への不安を解消し、「相続税申告にも対応できる税理士になりたい」との願いを込め、最終科目として選択しました。講義が週2回ではあるものの、法人税法や所得税法に比べてボリュームが抑えられたため、育児や仕事との両立も「なんとかなる! 大丈夫!」という思いもありました。

 相続税は、事業ではなく「人」が主人公となるため、事業を前提とする税目とはまた違った魅力があり、新鮮で楽しく学ぶことができます。最終科目に選ぶ人も多いため、ハイレベルな戦いになると聞くこともありますが、基本をしっかりマスターし、地道に努力を重ねれば、必ず合格できる科目です。

 実務においては、相続専門事務所ではないため、受注する機会は多くありませんが、普段の税務顧問業務で、顧問先企業の株式評価や社長の相続税対策の相談にもすんなり応じることができるため、勉強しておいてよかったと思っています。


「税法科目選択ドラフト会議 2021」、いかがだったでしょうか? 

一番人気だったのは、順位に関係なく全員が挙げた「相続税法」でした。次いで、ともに6名が挙げた法人税法・消費税法が並ぶ結果に。

ほかの税法科目に関しても、所得税法は「武器や個性になる」というお話があり、国税徴収法は受験しようと考えている方が最近になって増えていると聞きます。

本企画が受験生の皆さんの「税法科目選択」の参考になれば嬉しいです。ぜひ“自分にピッタリの税法科目”を見つけてください!


【この記事を読んだ方にオススメ】
プロが本気で選ぶ 税法科目選択ドラフト会議【はじめての税法】(2020年掲載)

プロが本気で選ぶ 税法科目選択ドラフト会議【最後の税法】(2020年掲載)


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