最後に各論に戻ろう
さてここで、各論に戻りましょう。今回は「資産除去債務」(p.246~)です。
さきほど抽象化した「割引現在価値」の説明に、「資産除去債務」の詳細を入れ込み、具体的に説明するとこうなります。
今日の会計測定において割引現在価値計算は、固定的な将来キャッシュ・フロー(合理的で説明可能な仮定および予測に基づく自己の支出見積もり額)からストック(取得時の資産除去債務額、資産と負債に両建て計上される)を測定するために用いられている。時の経過に伴う利子配分による利益(費用)計算(時の経過による資産除去債務の調整による費用計上)が存在する関係にある。また、測定されたストックは発生主義会計との兼ね合いにより、各期に適切に配分され、収益または費用として計上されている。(取得時に資産計上された資産除去債務の減価償却による費用化、上記資産除去債務調整額の見越計上) 各論点における相違点としては、計算基礎として、将来キャッシュ・フローおよび割引率に何を用いるかという点である。(今回は、合理的で説明可能な仮定および予測に基づく自己の支出見積もり額を、貨幣の時間価値を反映した無リスクの税引き前の利率e.g. 将来キャッシュ・フローが発生するまでの期間に対応した利付国債の流通利回りで割り引く。) |
このように、抽象的な説明と具体的な説明を行き来すれば、体系的に理解を深めることができると思います。
あとは、実際に計算問題を解くなかで、今は○○(上記の説明だと太字の部分)をやっていると説明できるようになれば、合格レベルには十分達していることでしょう。
全3回でお送りした「『財務会計講義』のすゝめ」ですが、ここらでお別れのようです。楽しんでいただけたでしょうか?
もし、ここまでご紹介した読み方を「新鮮だな、役に立ちそうだな」と感じてもらえたようでしたら、ぜひ試していただけると嬉しいです。
みなさまが『財務会計講義』をうまく活用し、合格をつかむことを願っています。
それではまたどこかで!
【書誌情報】
著者:桜井 久勝
定価:4,180円(税込)
発行日:2021/03/17
A5判 / 464頁
ISBN:978-4-502-38641-1
【編集部から】
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