【『財務会計講義』のすゝめ】第3回:実践!最新22版を読んでみた


該当箇所を読んでみよう

次にそれぞれのページを読んでみましょう。該当箇所を実際に読んだうえで、学習上のポイントをそれぞれ示すと以下のようになります。

p.142-143

・貸倒懸念債権についての貸倒引当金を算定する方法のうち、キャッシュ・フロー見積法

・引当金の金額は、当初(貸付時)の見積もりキャッシュ・フロー(本来得られたであろうキャッシュ・フロー)に対する減少額部分の現在価値を意味している。(当初の約定利子率を引当金の測定に用いるのはこのためである。)

・時の経過により、「将来のキャッシュ・フローからストックを算定する」という流れで測定される債権金額は増価するため、引当金の取崩し額は、利息として計上される。(経済学的利益観)

p.193-194

・リース資産の取得原価(元本部分)を算定する方法(リース料総額の割引現在価値の算定方法と計算基礎)

・減価償却(時の経過による元本部分の費用化)と利息計算(時の経過による元本からの利息の発生の見越計上(リース料につき実際の現金支出を伴っているが、測定される利息額は取得時点当初のキャッシュ・フローの見積もりを基礎として算定される))の関係。

p.196

p.84-86と合わせて
・割引現在価値を基礎とする資産評価と利益計算の関係
・経済学的利益について

p.242-243

・退職給付の発生と期間配分(各期における勤務費用の発生)における割引現在価値の考え方

・なぜ、安全性の高い長期の債券の期末における利回りを基礎とする割引率を用いるのか?

・期首の退職給付債務(元本)と利息費用(時の経過による退職給付債務の増価)の関係

p.247-248

・資産除去債務の発生と期間配分における割引現在価値の考え方

・なぜ、割引率を貨幣の時間価値を反映した無リスクの税引き前の利率とするのか?

・減価償却(時の経過による元本部分の費用化)と資産除去債務調整額の計算(時の経過による元本の増価)の関係

p.84-87

・「割引現在価値」とはそもそも、どういう意味なのか

・今日の会計の測定で「割引現在価値」が用いられるケース

「割引現在価値」って、結局なんだ?

それぞれのページで「割引現在価値」を確認し、ポイントを学ぶことで、おおよその輪郭と各論点のつながりを把握できたのではないでしょうか。

できるかぎり短く、ふくろうなりに「割引現在価値」をまとめると以下のようになります。

今日の会計測定において割引現在価値計算は、固定的な将来キャッシュ・フローからストック(元本部分)を測定するために用いられている。加えて、時の経過に伴う利子配分による利益(費用)計算が存在する。また、測定されたストック(元本部分)は発生主義会計との兼ね合いにより、各期に適切に収益または費用として配分される。

各論点における相違点としては、計算基礎として、将来キャッシュ・フローおよび割引率に何を用いるかという点である。

整理の仕方は個人それぞれでしょうし、上記の説明ももっと詳細にしようと思えばいくらでもできると思います。厳密に言えば、それぞれの論点で違いはもっとあるでしょう。しかし、受験生レベルであれば、幹の部分の説明は上記の程度で問題ないのではと思います。

(もし学問的に興味があれば、参考の1つとして、石川純治「割引現在価値と会計配分-資産化と利子配分-」を読んでみてください。)

『財務会計講義』は、総合的かつ横断的な知識体系をつくることを目的にしていますから、索引を参照し、該当箇所を読み、各論点の共通点と相違点が把握できれば、受験生のレベルとしては十分だと思います。


固定ページ:
1

2

3

関連記事

ページ上部へ戻る