加藤大吾
(公認会計士・税理士)
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題!
もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
○×問題
決算に際して、売掛金200ドル(取得時1ドル=101円)及び前渡金100ドル(支払時1ドル=102円)について、決算時の為替相場は1ドル=105円である。
(借)売掛金 800
前渡金 300
(貸)為替差益 1,100
解答
×
前渡金は金銭債権債務に該当しないために、取引発生日の為替相場で換算する。
(借)売掛金 800
(貸)為替差益 800
根 拠
会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」
外貨により授受された前渡金及び前受金(注解(注1)) 25.外貨により授受された前渡金及び前受金は、金銭授受時の為替相場による円換算額を付す。前渡金は将来、財又はサービスの提供を受ける費用性資産であり、前受金は将来、財又はサービスの提供を行う収益性負債であるから、外貨建金銭債権債務ではない。 |
ワンポイントアドバイス
現行の会計基準は貨幣非貨幣法の考え方により、将来に金銭の受払を予定している外貨建金銭債権債務は為替変動リスクを負っているので、決算時の為替相場により換算します。
一方、前渡金や前受金のように、将来の金銭の受払がなく為替変動リスクを負っていないことから、取引発生日の為替相場により換算します。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。