加藤大吾
(公認会計士・税理士)
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題!
もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
○×問題
期末の普通株式数(自己株式を除く)は100株、株主資本合計10,000円(うち、新株式申込証拠金1,000円を含む)、評価・換算差額等合計500円、新株予約権300円のとき、1株当たり純資産額は98円である。
解答
×
期末純資産額は10,000円(株主資本合計)+500円(評価・換算差額等合計)+300円(新株予約権)=10,800円となる。よって、1株当たり純資産額は{(10,800円(純資産)-1,000円(新株式申込証拠金)-300円(新株予約権)}÷100株=95円となる。
根 拠
企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」
34. 1株当たり純資産額は、普通株式に係る期末の純資産額(第35項参照)を、期末の普通株式(普通株式と同等の株式(第8項参照)を含む。以下同じ。)の発行済株式数から自己株式数を控除した株式数で除して算定する。(以下、省略) 35. 第34項にいう普通株式に係る期末の純資産額は、貸借対照表の純資産の部の合計額から以下の金額を控除して算定する。 (1) 新株式申込証拠金 (2) 自己株式申込証拠金 (3) 普通株式よりも配当請求権又は残余財産分配請求権が優先的な株式の払込金額(当該優先的な株式に係る資本金及び資本剰余金の合計額) (4) 当該会計期間に係る剰余金の配当であって普通株主に関連しない金額 (5) 新株予約権 (6) 非支配株主持分(連結財務諸表の場合) |
ワンポイントアドバイス
普通株主に帰属する純資産額を求めるために、純資産額に含まれる普通株主以外に帰属する部分は除いて算定します。
よって、新株式申込証拠金や新株予約権は新株式が交付される前の払込額であり、現時点では普通株主ではないので、これらを控除します。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。