ココが間違い!
「短期借入金の純増加額」は、投資活動によるキャッシュ・フローではなく、財務活動によるキャッシュ・フローの区分に表示する。
【間違った解説】
1.投資活動によるキャッシュ・フローの各金額
(4) 短期借入金の純増加額
15,000円(期末残高)-10,000円(期首残高)=5,000円
2.投資活動によるキャッシュ・フロー(解答の金額)(単位:円)
有形固定資産の取得による支出 △ 8,000
投資有価証券の売却による収入 7,000
長期貸付けによる支出 △ 1,000
短期借入金の純増加額 5,000
→投資活動によるキャッシュ・フロー 3,000
【正しい解説】
1.投資活動によるキャッシュ・フローの各金額
<(4) 削除>
2.投資活動によるキャッシュ・フロー(解答の金額)(単位:円)
有形固定資産の取得による支出 △ 8,000
投資有価証券の売却による収入 7,000
長期貸付けによる支出 △ 1,000
→投資活動によるキャッシュ・フロー 2,000
チェックポイント
投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、貸借対照表の借方項目である「資産項目」(ただし、営業活動に関するものを除く)が表示される。
また、財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、貸借対照表の貸方項目である「負債・純資産項目」(ただし、営業活動に関するものを除く)が表示される。
投資活動と財務活動の主な表示項目
【投資活動によるキャッシュ・フロー】
・有形固定資産の取得または売却
・無形固定資産の取得または売却
・定期預金の預入または払戻
・投資有価証券の取得または売却
・貸付金の貸付けまたは回収
・敷金保証金の差入または回収
【財務活動によるキャッシュ・フロー】
・借入金の借入れまたは返済
・社債の発行または償還
・配当金の支払額
・株式の発行または償還
・自己株式の取得または処分
・新株予約権の発行
・自己新株予約権の取得または売却
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。
本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。