ココが間違い!
X2年2月10日の前受金を充当した売上について,手付金受取時の為替相場により換算しなければならない。
【間違った解説】
1.期中仕訳(輸出に係る取引のみ)
(2) X2年2月10日
(借) 前受金 5,100
売掛金 10,200
(貸) 売上 15,300
(注1) 前受金:50ドル×102円(直物為替相場)=5,100円
(注2) 売掛金:100ドル×102円(直物為替相場)=10,200円
(注3) 売上:150ドル×102円(直物為替相場)=15,300円
2.P/L売上高(解答の金額)
10,000円(X1年7月)+15,300円(X2年2月)+20,200円(X2年3月)=45,500円
【正しい解説】
1.期中仕訳(輸出に係る取引のみ)
(2) X2年2月10日
(借) 前受金 5,250
売掛金 10,200
(貸) 売上 15,450
(注1) 前受金:50ドル×105円(手付金受取時の直物為替相場)=5,250円
(注2) 売掛金:100ドル×102円(直物為替相場)=10,200円
(注3) 売上:5,250円(前受金)+10,200円(売掛金)=15,450円
2.P/L売上高(解答の金額)
10,000円(X1年7月)+15,450円(X2年2月)+20,200円(X2年3月)=45,650円
チェックポイント
「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」26項において、外貨建取引高のうち、前渡金または前受金が充当される部分については、前渡金または前受金の金銭授受時の為替相場による円換算額を付し、残り部分については取引発生時の為替相場により換算することとされている。
また、8項により、為替予約が外貨建取引の前に付されている場合には、売上高を予約レートで換算することができる。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。
本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。