【簿・財 間違いさがしで実力チェック】第24回:外貨建取引①


加藤大吾
(公認会計士・税理士)


本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。


【問い】
次の〔資料〕に基づき、当期(X1年4月1日~X2年3月31日)の損益計算書の売上高はいくらか、求めなさい。

〔資料〕

1.輸出取引による外貨建売上高は、次のとおりである。

(注1) 掛けにより販売しており、X1年12月20日に売掛金を全額回収している。回収時の直物為替相場は、1ドル=103円である。

(注2) 輸出金額のうち、X2年1月10日に受け取った手付金50ドル(受取時の為替相場:1ドル=105円)を充当し、残額は掛けとした。なお、売掛金は当期末現在、未回収である。

(注3) 輸出金額の全額について、輸出時に取引銀行とドル売の為替予約(予約レート:1ドル=101円)を付している。

2.決算日の直物為替相場は、1ドル=106円である。

【解説】 ※誤りを含みます!

1.期中仕訳(輸出に係る取引のみ)

(1) X1年7月15日
(借) 売掛金 10,000
 (貸) 売上 10,000

(注) 100ドル×100円(直物為替相場)=10,000円

(2) X2年2月10日
(借) 前受金 5,100
 売掛金 10,200
 (貸) 売上 15,300

(注1) 前受金:50ドル×102円(直物為替相場)=5,100円

(注2) 売掛金:100ドル×102円(直物為替相場)=10,200円

(注3) 売上:150ドル×102円(直物為替相場)=15,300円

(3) X2年3月20日
(借) 売掛金 20,200
 (貸) 売上 20,200

(注) 200ドル×101円(予約レート)=20,200円

2.P/L売上高(解答の金額)

10,000円(X1年7月)+15,300円(X2年2月)+20,200円(X2年3月)=45,500円

答え合わせ


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