採用のプロが語る 第一志望の監査法人に就職したいならココが大事!


株式会社TACプロフェッションバンク
出川 雅人

令和2年度公認会計士試験を受験された皆さん、お疲れ様でした。

新型コロナウイルス感染症流行の影響で、6月短答式試験の8月への延期に始まり、論文式試験の11月開催、さらに論文式試験は2日間に短縮して実施されました。

しかも、全科目が時間短縮なしで例年と同じ試験時間。

本当にお疲れ様でした。たいへんな年でしたね。

しかし、今だから言えることかもしれませんが、皆さんは、この令和2年度公認会計士試験を乗り越えたことで、「集中力を持続するスキル」「継続力」を証明できたのではないでしょうか?

「集中力の持続」や「継続力」は、受験生の皆さんや公認会計士の方々にとっては当たり前のことかもしれませんが、一般的にみれば、簡単なことではないのです。

これら「集中力を持続するスキル」や「継続力」は、監査法人での仕事をはじめ、あらゆるビジネスシーンで役立つことでしょう。

この記事では、皆さんが取り組まれているであろう就職活動について、求職者と監査法人の橋渡しをしてきた立場からお話ししたいと思います。

CONTENTS
買い手市場になった噂ってホント?

どうやって第一志望を見つける?

採用担当者は何を見ている?

「最強の志望動機」はこう作る!
 事例1:管理栄養士からBIG4へ
 事例2:銀行マンから公認会計士へ

コロナ禍の就活は模擬○○で対策!

買い手市場になった噂ってホント?

監査法人への就職は、2017年まで完全な売り手市場が続きましたが、2018年から論文式試験の合格者数と監査法人の採用枠が、ほぼバランスがとれている状態です。

ただ、一部の若い論文式試験合格者がBIG4に入社できなかったことで、「一挙に買い手市場に転じた」「一部の監査法人が採用枠を減らす」といった情報が流れました。

しかし、実際はそうではありません。

「採用枠に余裕があっても要求水準に達しない人は採用しない」「まじめに就職活動をしないと採用されない」という、一般社会で当たり前のことが起きたにすぎないのです。

各監査法人の採用担当者の言葉を総合すると、今年度の採用枠も昨年度とほぼ同じと思われます。

加えて、TACプロフェッションバンクが発行している「公認会計士受験生のための就職ガイド」への求人広告掲載のお問い合わせも昨年度より多いので、採用枠が大きく減少することはないと思います。

どうやって第一志望を見つける?

それでは、たくさんの選択肢があるなかで、どこに就職するのがよいのでしょうか?

単刀直入に言うと、「あなたに一番合った職場」です。

それなら、どのようにして自分に一番合った職場を探すのでしょうか?

多くの方は、「自分に合った法人」というより、「イメージで入社したい法人」を選択しているように思われます。

実際、「第一志望の法人はどこですか?」「なぜその法人が第一志望なのですか?」という質問に、どう答えるでしょうか?

第一志望の法人は答えられても、その理由が「大手法人だから」「BIG4だから」「知り合いがいるから」などでは、具体性も説得力もありません。

たとえば、「大手法人だから」は大手ならどこでもよいということですし、「知り合いがいるから」は主体性がまったくありません。

自分に合った法人を見つけるには、まず法人を知りましょう。

法人をしっかり研究すると、その法人の特長が見えてきます。

その特長に魅力を感じるかどうかを真剣に考えてみましょう。

採用担当者は何を見ている?

法人を研究すると、「志望動機」もおのずと見えてくるはずです。

そして、採用担当者が「志望動機」を聞くのは、まさにこの「自分たちの法人をちゃんと研究してくれているか?」を知るためなのです。

採用サイドは、求職者が複数の法人にエントリーし、志望順位があることを知っています。

そのなかで、入社してくれる可能性の高い求職者に絞って採用活動を進めたいと考えています。

そのために、「志望動機」を問い、求職者が真剣に入社したいと思っているかを判断しているのです。

本当に入社したければ、その法人のことを真剣に調べているはず。

これが就職活動のポイントの1つです。

「最強の志望動機」はこう作る!

法人研究と同じように大切なのが「自分自身を知る」ことです。

面接で必ずされる質問の1つに、「公認会計士になろうとした理由」があります。

目的があって公認会計士の勉強を始めた方はそれを答えればよいですし、「こんな公認会計士になりたい」「こんな仕事をしたい」という答えでもよいでしょう。

公認会計士を目指した理由や、目指す公認会計士像を考え、それを実現できる法人が見つかれば、それは「最強の志望動機」にもつながります。

実際に、公認会計士を目指したNさんとYさんの例を挙げてみます。

事例1:管理栄養士からBIG4へ

Nさん
Nさん

大学卒業後、人の役に立つ仕事がしたいと思い、専門学校に入学しなおして管理栄養士資格を取得、その後は病院で働いていました。
ところが、病院の経営状態を目の当たりにし、病院の経営を助けることができたら、もっとたくさんの人を助けることができないかと思い、公認会計士を目指すことにしました。
30代後半で試験に合格した後は、この想いを遂げるため、数多くの病院をクライアントとしている法人に絞って就職活動を行いました。
志望動機は「公認会計士を目指した理由をかなえられる法人だから」です。
私の合格年は就職難でもあり、また年齢的なハンディキャップもありましたが、BIG4の1社に入社することができました。

事例2:銀行マンから公認会計士へ

Yさん
Yさん

私は、都市銀行で総合職として働いていました。
順調に仕事はできていたのですが、時に自分の意思に反する仕事もしなければならず、それを苦痛に感じていました。
つまり、「会社にとって正しいこと」と「自分にとって正しいこと」にギャップがあったのです。
公認会計士の仕事は、「会社」と「自分」に加えて「社会にとって正しいこと」だと知り、公認会計士を目指すことにしました。

多くの方は、このお二人ほど明確な「志望動機」はないかもしれません。

しかし、勉強を進めていくうちに、公認会計士のことを知ることができたはずです。

この就職活動を機に、改めて「どんな公認会計士になりたいのか」をしっかりと考えてみてはいかがでしょう。

それが実現できる職場、そして、自分と相性のよい人たちがいる職場こそ、あなたが目指すべき職場です。

コロナ禍の就活は模擬○○で対策!

最後に、コロナ禍の就職活動の状況をお話しします。

コロナ禍の影響で、オンラインでの面談や説明会など、従来とは異なる形式で採用活動をしている法人もありますが、条件は誰しも同じです。

「オンライン面接の注意点は?」などというご質問をいただきますが、就職活動の本質は同じ。

小手先の対策ではなく、法人研究と自己分析をしっかりすることが大切です。

しかし、ひとつオススメするなら、オンラインでの模擬面接です。

ご友人などと実際に予行演習をしてみると、面接官からどう見えるのか、見苦しくないか、などを知ることができると思います。

公認会計士試験の模擬試験のようなものです。

ぶっつけ本番ではなく、ぜひ事前に体験してみてください。

就職活動は、お見合いのようなものです。

相手のこと知り、自分のことを知ってもらって相思相愛なら結ばれるのです。

しっかり「法人研究」をして「自己分析」をするとミスマッチも防ぐことができると思います。

皆さんの就職活動の成就を心より祈念いたします。

〈執筆者紹介〉
株式会社TACプロフェッションバンク
出川 雅人
キャリアコンサルタント
伝統的な日本企業での海外駐在、外資系企業、ベンチャー企業を経て、TAC株式会社に入社。米国公認会計士講座責任者などを担当した後、TACプロフェッションバンクにて人材紹介コンサルタントなどを経験。現在は就職イベント企画・運営に携わる。大学経営学部の4つのゼミでの就職指導にも7年間従事。


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