渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)
この連載講座では、「日商簿記では学ばないけれど、税理士試験の簿記論・財務諸表論では必要になる論点」を学習します。
簿記論・財務諸表論の学習は広範囲にわたるため、日商簿記では深く学んでいない論点も対策しなければなりません。
税理士を目指して簿記論・財務諸表論の学習を始めた方、「いずれは税理士に」と考えている方は、この連載講座を使って効率的に学習を進めていきましょう。
前回は、税理士試験で出題される可能性のある「荷為替手形」の練習問題を解きました。
今回は、「債権債務」の総まとめ問題を解いていきましょう!
総まとめ問題
次の<資料>から各問を答えなさい。
<資料> 満期保有目的債券に関する期中の取引
※ 会計期間をX2年4月1日からX3年3月31日とする。
当社は、当期首において満期保有目的で社債(額面総額???円、年利率???%、利払日3月末、償還期限??年)を、額面100円につき95円で取得し、取得金額を当座預金で支払った。社債の額面金額と取得金額の差額について、金利の調整として認められたため、償却原価法(定額法)を適用する。利払日における利息は当座預金に振込まれた。
X2年4月1日(当期首)
(借) (満期保有目的債券) 1,235,000
(貸) (当座預金) 1,235,000
X3年3月31日(利払日)
(借) (有価証券利息) 78,000
(貸) (当座預金) 78,000
X3年3月31日(決算における仕訳)
(借) (満期保有目的債券) 13,000
(貸) (有価証券利息) 13,000
問1:社債の額面総額はいくらか。
問2:社債の年利率は何%であるか。
問3:社債の償還期限は何年であるか。
問4:決算整理仕訳後の満期保有目的債券はいくらか。
解 答
問1:1,300,000円
問2:6%
問3:5年
問4:1,248,000円
解 説
問1:社債の額面総額
額面X円×(95円/100円)=1,235,000円
X=1,300,000円
問2:社債の年利率
額面1,300,000円×X%=78,000円
X=6%
問3:社債の償還期限
(1,300,000円-1,235,000円)÷X年=13,000円
X=5年
問4:決算整理仕訳後の満期保有目的債券の金額
1,235,000円+13,000円=1,248,000円
今回で「債権債務」は終わりです。
次回から「帳簿決算」について学習します。