渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)
この連載講座では、「日商簿記では学ばないけれど、税理士試験の簿記論・財務諸表論では必要になる論点」を学習します。
簿記論・財務諸表論の学習は広範囲にわたるため、日商簿記では深く学んでいない論点も対策しなければなりません。
税理士を目指して簿記論・財務諸表論の学習を始めた方、「いずれは税理士に」と考えている方は、この連載講座を使って効率的に学習を進めていきましょう。
前回は、税理士試験で出題される可能性のある「荷為替手形」について学習しました。
今回は、実際に練習問題を解いていきましょう!
練習問題
次の取引について仕訳をしなさい。
① 当社は、得意先に商品200,000円を販売し、船便で発送した。その際、取引銀行で額面160,000円の荷為替を取組み、割引料2,000円が差引かれた残額を当座預金口座に預入れた。
② 当社は、仕入先から商品1,000ドルを仕入れ、このうち取引銀行から手形代金800ドルの荷為替の引受けを求められたので、これに応じ、船荷証券を受け取った。なお、取引時の直物為替相場は115円/ドルであった。
③ 決算にあたり、買掛金200ドルと支払手形800ドルについて必要な決算整理を行う。当期末の直物為替相場は120円/ドルであった。
④ 得意先の売掛代金60,000円の回収として、自己(当社)振出しの為替手形を裏書譲渡された。
解 答
(単位:円)
①の仕訳
(借) 売掛金 40,000 ※2
当座預金 158,000 ※1
手形売却損 2,000
(貸) 売上 200,000
②の仕訳
(借) 未着商品 115,000
(貸) 買掛金 23,000 ※3
支払手形 92,000 ※4
③の仕訳
(借) 為替差損益 5,000
(貸) 買掛金 1,000 ※5
支払手形 4,000 ※6
④の仕訳
(借) 受取手形 60,000
(貸) 売掛金 60,000
※1 160,000円-2,000円=158,000円
※2 200,000円-160,000円=40,000円
※3 200ドル×115円=23,000円
※4 800ドル×115円=92,000円
※5 200ドル×(120円-115円)=1,000円
※6 800ドル×(120円-115円)=4,000円
次回、総まとめ問題を解いていきましょう!