
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(平日)出題! もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
加藤大吾
(公認会計士・税理士)
【〇×問題】
その他有価証券として保有するK社株式(取得価額10,000円)を売買目的有価証券へ保有目的を変更した。振替時の時価は9,000円である。
売買目的有価証券 9,000 / その他有価証券 10,000
その他有価証券評価差額金 1,000

【正解】 ×
その他有価証券から売買目的有価証券への変更は、時価により振り替え、評価差額は当期の純損益に計上する。
売買目的有価証券 9,000 / 投資有価証券 10,000
投資有価証券評価損 1,000
【根拠となる実務指針】
会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」
(その他有価証券から売買目的有価証券への振替)
86.その他有価証券への分類はその取得当初の意図に基づいて行われるものであるから、取得後における売買目的有価証券への振替は認められない。ただし、資金運用方針の変更又は法令若しくは基準等の改正若しくは適用により有価証券のトレーディング取引を開始することとした場合、又は有価証券の売買を頻繁に繰り返したことが客観的に認められる場合には、売買目的有価証券への振替を行わなければならない。この場合、振替時の時価をもって売買目的有価証券に振り替え、振替時の評価差額は、その他有価証券の評価差額について採用していた会計処理方法にかかわらず、振替時の純損益に計上する。

その他有価証券から売買目的有価証券へ保有区分を変更する場合、振替時に発生する評価差額は売却により近い将来に実現すると考えられることから、当期の純損益とします。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。