加藤大吾
(公認会計士・税理士)
本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。
【問い】
次の〔資料Ⅰ〕および〔資料Ⅱ〕に基づき、当期末(X2年3月31日)の貸借対照表の固定負債に表示される社債はいくらか、求めなさい。なお、円未満に端数が生じる場合は、四捨五入すること。
〔資料Ⅰ〕 決算整理前残高試算表
〔資料Ⅱ〕 決算整理事項
社債は、X1年4月1日に額面金額1,000,000円について、払込価額950,000円で発行した普通社債である。発行条件は、クーポン利子率年2%、利払日は年1回(3月末)であり、X2年3月31日を第1回として、3月末に200,000円ずつ定時償還する。社債の評価は、償却原価法(利息法)によるものとし、実効利子率は年3.8%である。なお、残高試算表の仮払金は、X2年3月31日に支払った償還金額とクーポン利息を処理したものである。
【解説】 ※誤りを含みます!
1.期中仕訳
(1) クーポン利息と償却原価法(X2年3月31日)
社債利息 36,100 / 仮払金 20,000
社債 16,100
社債利息:
950,000円(払込価額)×3.8%(実効利子率)=36,100円
仮払金:
1,000,000円(額面金額)×2%(クーポン利子率)=20,000円
社債:
36,100円-20,000円=16,100円
(2) 定時償還(X2年3月31日)
社債 200,000 / 仮払金 200,000
2.B/S固定負債の社債(解答の金額)
950,000円(払込価額)+16,100円(償却原価法)-200,000円(定時償還)=766,100円