【論述に強くなる!財表理論講座】第9回:固定資産会計①



全31回のプログラムで、税理士試験・財務諸表論に強くなる! 
論点ごとに本試験に類似したミニ問題を用意しました。まずは問題1にチャレンジし、文章全体を何度か読み直したところで問題2(回によっては問題3も)を解いてみましょう。そして、最後に論述問題を解いてください。


長島正浩
(茨城キリスト教大学経営学部教授)

まずは問題にチャレンジ!

ファイナンス・リース取引については,( ① )に係る方法に準じて会計処理を行う。
借手は,リース取引開始日に,( ① )に係る方法に準じた会計処理により,リース物件とこれに係る債務を( ② )及び( ③ )として計上する。
貸手は,リース取引開始日に,( ① )に係る方法に準じた会計処理により,所有権移転ファイナンス・リース取引については( ④ )として,所有権移転外ファイナンス・リース取引については( ⑤ )として計上する。

問題1
文中の空欄( ① )から( ⑤ )にあてはまる適切な用語を示しなさい。

問題2
ファイナンス・リース取引に該当するための要件を2つ挙げなさい。

解答

問題1

① 通常の売買取引
② リース資産
③ リース債務
④ リース債権
⑤ リース投資資産

問題2

ノン・キャンセラブル
フルペイアウト

基本的な考え方

・ファイナンス・リース取引は、所有権移転ファイナンス・リース取引所有権移転外ファイナンス・リース取引に分類される。

・フルペイアウトの判定には、現在価値基準経済的耐用年数基準がある。

・所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定する。

論述問題にチャレンジ!

リース取引とはどのような取引をいうか?

リース取引とは、特定の物件の所有者たる貸手が、当該物件の借手に対し、合意された期間(リース期間)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意された使用料(リース料)を貸手に支払う取引をいう。

ファイナンス・リース取引とはどのようなリース取引か?

ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件(リース物件)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいう。

なぜファイナンス・リース取引は売買処理しなければならないか?

ファイナンス・リース取引については、それが所有権移転ファイナンス・リース取引か所有権移転外ファイナンス・リース取引かにかかわらず、その経済的実態がリース契約に基づくリース物件について売買が行われたのと実質的に異ならないから。

ファイナンス・リース取引のリース資産の減価償却はどのように行うか?

自己所有と同様
所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定する。

残存価額ゼロ
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定する。

〈執筆者紹介〉
長島 正浩(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師、会計事務所(監査法人)、証券会社勤務を経て、資格予備校、専門学校、短大、大学、大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後、松本大学松商短期大学部准教授を経て、現在に至る。この間30年以上にわたり、簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。

※ 本記事は、会計人コース2020年1月号別冊付録「まいにち1問 ポケット財表理論」を編集部で再構成したものです。

〈バックナンバー〉
第1回:キャッシュ・フロー計算書
第2回:1株当たり当期純利益
第3回:金融商品会計①
第4回:金融商品会計②
第5回:金融商品会計③
第6回:棚卸資産会計①
第7回:棚卸資産会計②
第8回:収益認識会計


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