税理士試験は8月18日から実施される予定ですが、例年、試験後は、税理士法人や会計事務所の説明会が開催されるなど、就職・転職の動きが活発になる時期です。新型コロナウイルスの影響も含め、試験終了後、すみやかに行動を起こすためのアドバイスを、株式会社大原キャリアスタッフの専門家にうかがいました。
第1回は、新型コロナウイルスによる就職・転職事情への影響と、事務所選びのポイント、をお聞きしました。
お話をうかがった専門家のプロフィール
佐々木優子さん
キャリアコンサルタント(国家資格)
株式会社大原キャリアスタッフ コーディネーター
これまでに3,000名近くの就職・転職相談を行い、大手・準大手税理士法人を中心にコーディネーターとして人材紹介業務に携わる。的確なアドバイスと親身さに定評がある。
宮崎愛子さん
キャリアコンサルタント(国家資格)
株式会社大原キャリアスタッフ コーディネーター/渉外
簿記の受験生から税理士官報合格者まで幅広い相談に対応。また、企業の窓口も担当しており、採用側の動向やニーズを踏まえたアドバイスが高い評価を受けている。
本記事は、「会計人コース」2019年12月号の記事を編集部で抜粋・再構成したものです。
【第1回】
新型コロナウイルスによる影響は?~未経験者には厳しい
-新型コロナウイルスの感染拡大によって求人や就職活動への影響はありますか。
宮崎さん:やはり例年より採用を渋っているというのが率直な感想です。説明会やセミナーも自粛されていたので、求職者もどう動いていいか分からなかったため、早めの活動が出来ずに試験の後にするという方も多いようです。夏は繁忙期前で指導する余裕もありますから、未経験でも採用されやすい時期なのですが、在宅勤務やテレワークを実施していて指導することが難しいため、今はかなりしぼられていますね。採用する側も、人手は欲しいのでしょうが、経験のない方には厳しい状況になっています。もちろん、今後、状況や方針が変わる可能性はあります。コロナの影響で働き方自体が変わっていますから、どのくらい採用していいのか、という絵を描けていないのかもしれません。
-ウェブの面接についての注意点はありますか。
宮崎さん:最終的には直接会って面談になりますが、その前段階としてウェブ面接で、というケースは増えています。実際に会う時には、お互いの持つ雰囲気など言葉以外で伝わるものもありますが、ウェブの場合、その空気感は伝わらないので、きちんと言葉で伝える必要があります。面接を受ける側としては、話す内容をしっかり準備しておくことだと思います。ウェブの面接が増えた事により、遠方の方には、チャンスは増えたと言えるかもしれません。
-未経験の方、実務経験のある方、それぞれにアピールするポイントはありますか。
宮崎さん:未経験の方は、自己PRとか志望動機などの、パーソナルな部分のアピールを、よりしっかりしていく必要があります。実務経験のある方は、どんなお仕事をしてきたか、という経験内容が一番のアピールポイントになるのはもちろんですが、転職して何をやりたいのか、将来どんなことをやっていきたいのか、をしっかり伝えることも大切です。
-大学院へ進学して科目免除を考える人もいると思いますが、採用する側はどのように受け止めているのでしょうか。
宮崎さん:官報合格してくれれば、業務に集中してもらえるので、大学院に行ってでも早く税理士になってほしいと、大学院進学を推奨するケースは増えています。授業料の補助を出したり、何年か勤務することを条件に学費を負担するという事務所もあります。ただ、科目免除でも1科目は合格しなければいけませんから、どの科目に合格しているか、ということは採用に影響するかもしれません。
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