正しくリスク評価ができる会計士になろう!


3 正しくリスク評価をすべきなのは監査でも同じ

 以上の話は、実は監査において証憑類をサンプリングしていてエラーが出た際に、重要な虚偽表示が存在するリスクを評価するのと同じ構造を持っている。
 サンプリングのエラー率と、実際のエラー率には乖離が存在するのだ。
 
 エラーが発見されたからといって、むやみに不必要な監査手続きを追加的に実施していないだろうか。
 あるいは過小評価して、見過ごしたりしていないだろうか。

 正しくリスクを評価できれば、過剰な反応をしないですむし、難しい局面に遭遇したとしても、冷静に対応ができるようになる。
 そのような会計士を目指して欲しい。

(著者紹介)
坂上 学
(さかうえ まなぶ)
法政大学経営学部教授 博士(経営学、大阪市立大学)
1964年東京生まれ。1988年早稲田大学社会科学部卒業、1994年早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程中退。同年大阪市立大学商学部助手、1995年同大学講師、1997年同大学助教授、1999年アメリカ・イリノイ大学客員研究員、2000年オーストラリア・アデレード大学客員研究員、2007年大阪市立大学大学院経営学研究科准教授を経て、2009年より現職。証券アナリスト試験委員(2012年~現在)、不動産鑑定士試験委員(2018年~現在)。現在、日本経済会計学会副会長、日本会計研究学会評議員、日本社会関連会計学会理事(学会誌編集委員長)、日本簿記学会理事、中小企業会計学会理事を務める。
<主要著書>
『事象アプローチによる会計ディスクロージャーの拡張』中央経済社、2016年(日本経営分析学会・森脇賞)
『新版 会計人のためのXBRL入門』同文舘、2011年
『XBRLが拓く会計情報開示-IFRS対応の切り札』(共編著)中央経済社、2009年
『財務情報の利用可能性と簿記・会計の理論』(共編著)森山書店、2008年
他多数

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