河﨑照行
1 職業会計人は、今、そしてコロナ終息後何をすべきか?
新型感染症(新型コロナウイルス)が世界中で猛威を振るっている。経済活動の縮小が余儀なくされ,業種・業界を問わず大きな影響が出始めており,未曾有の景気後退が懸念されている。このような危機的状況に直面し,職業会計人は何をなすべきであろうか?
当面の最優先課題は,中小企業の事業存続に向けた,資金繰り対策であろう。緊急特別貸付等の資金繰り対策をフル活用し,中小企業のサバイバルに,全力で取組む必要があることはいうまでもない。
他方,感染終息を見据えた将来の役割も,職業会計人にとって重要な課題となりうる。「認定経営革新等支援機関」としての役割がそれである。
2 認定経営改革等支援機関としての役割
認定経営革新等支援機関制度とは,中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う機関を認定する制度であり,2012年8月に「中小企業経営力強化支援法」(本法律は,2016年5月に「中小企業等経営強化法」に変更された)によって創設された。
本認定制度の目的は,中小企業の多様化・複雑化する経営課題の中で,「税務,金融および企業財務に関する専門的知識」「支援に係る実務経験」が一定レベル以上の個人,法人,中小企業支援機関等(既存の中小企業支援者,金融機関,税理士・税理士法人等)を,経営革新等支援機関として認定し,中小企業に対して「事業計画の策定」等の専門性の高い支援によって,「中小企業の経営力を強化」することにある。
この認定経営革新等支援機関の業務は,次の4つのステップから構成される。
① 第1は「経営状況の把握」である。これは,中小企業の財務状況,事業の将来性,キャッシュフロー見通し,国内外の市場動・向等の経営資源の内容,財務内容その他経営の状況に関する調査・分析を行うことをいう。
② 第2は「事業計画の策定」である。これは,調査・分析の結果等に基づく中小企業の経営革新等のための事業の計画(経営改善計画,資金計画,マーケティング戦略計画等)の策定に向けた,指導・助言を行うことをいう。
③ 第3は「事業計画の実施」である。これは,経営革新等に係る事業の計画を円滑に実施するために必要な指導・助言を行うことをいう。
④ 第4は「モニタリングとフォローアップ」である。これは,巡回監査により,実施した案件の継続的なモニタリングおよび改善策の提案(フォローアップ)を行うことをいう。