【解答】
解答は以下の通り。
【解説】
割賦販売取引における記帳方法の区別を問う問題です。未実現利益控除法と対称勘定法は、「同じ場面でどのように処理が異なるか」という視点からの整理も重要です。これらの仕訳形式をしっかり把握しておくとともに、「期中に行われた処理が、決算整理前残高試算表(前T/B)にどのような形で現れるか」という点を整理しておきましょう。
たとえば、それぞれの記帳方法による前T/Bにおける各勘定残高からは、次のような情報が得られます(未処理や誤処理がないことを前提とします)。原価率計算の問題では、前T/Bの勘定残高から状況を分析し、適切な原価と売価の関係をとらえることが必要になります。
●未実現利益控除法
割賦売上…当期における割賦販売高。
割賦売掛金…当期末時点での未回収割賦金残高。過年度販売分と当期販売分の合計になっている点に注意。
繰延割賦売上利益…前期末の割賦売掛金に含まれる利益の金額。貸倒れがあった場合には、貸倒分の割賦売掛金に含まれる利益の金額を控除した後の金額になっているため、前期販売分の利益率の計算上は注意。
戻り商品・戻り商品損失…取り戻した商品の評価額と、価値下落分。通常は貸倒れが未処理になっていることが多いため、前T/Bに計上されていることは少ない。
繰延割賦売上利益控除…(稀なケースだが)当期販売分の割賦売掛金が当期中に回収不能になった場合、その利益部分が前T/Bに計上される。他方、繰延割賦売上利益戻入が前T/Bに計上されることはない。
繰越商品…手許商品の期首棚卸高。
●対照勘定法
割賦販売契約・割賦仮売上…当期末時点での未回収割賦金残高。
割賦売上…当期に回収した割賦代金の額。
戻り商品・戻り商品損失…取り戻した商品の評価額と、価値下落分。通常は前T/Bに計上されていることは少ない。また、問題文の指示(処理方法)によっては、損失部分のみを処理している場合もあるので注意。
繰越商品…手許商品の期首棚卸高+前期末時点での未回収割賦金の原価部分。(稀なケースだが)貸倒れの処理方法によっては、取り戻し商品の原価部分が減額されている場合もある。
つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。