つぶ問7-1(簿記論)―外貨、デリバティブ、ヘッジ、税金、税効果


【解答】

①繰延税金資産  X2年度(78,400)、X3年度(54,600)

②繰延税金負債  X2年度(   0)、X3年度( 3,000)

③法人税等調整額 X2年度( 5,600)、X3年度(11,800)


【解説】

 税効果会計についての確認問題です。留意すべき項目は次のとおりです。

●未払法人税等のうち未払事業税
 法人税と住民税は会計上の費用であるのに対し税務上は損金算入が認められません。しかし、事業税は支払った期の損金として算入することができます。税金を支払ったらその分の税金が少なくなるというのは変な感じがしますが税制で認められているため、費用(未払)計上時に将来減算一時差異として税効果会計の対象となります。

●税務上の繰越欠損金
 本誌(2019年3月号 財務諸表論)で説明をしたとおり、過年度の税務上の欠損金(赤字分)は翌期以降に一定額・一定年数の範囲でプラスの課税所得と相殺できます。そのため、会計上と税務上の資産・負債の差異ではありませんが、一時差異に準じて税効果会計の対象となります。

●受取配当金及び罰課金
 それぞれ、一定の要件を満たした場合は益金不算入もしくは損金不算入となりますが、翌期以降の課税所得計算に算入されるものではないため、永久差異として税効果会計の対象にはなりません。

●法定実効税率
 税効果会計で使用する法定実効税率は、その年度の税額を計算する際に定期用されるものではなく、差異が解消する時に適用される税率を使用します。

 永久差異を除く各項目について法定実効税率をかけ合わせた金額と、それを集計した結果は次のとおりとなります。その他有価証券評価差額金は評価損相当額が△表記となっていますが、評価損相当の場合に繰延税金資産、評価益相当の時に繰延税金負債となるため、集計時に他の項目とプラスマイナスを逆転させてください。

 上記の表をもとに、法人税等調整額は繰延税金資産・繰延税金負債の変動額(その他有価証券評価差額金に対するものを除く)として計算できます。

つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。


固定ページ:
1

2

関連記事

【広告企画】会計大学院(アカウンティングスクール)12校の魅力を探る!

重版出来✨『わかる! 使える! うまくいく! 内部監査 現場の教科書』

【広告のご案内】掲載要領(PDF資料)

ページ上部へ戻る