【対談企画】なぜ「組織内会計士」というキャリアを選んだのですか? File.4:最高峰の経営戦略コンサルティングファームBCGで活躍する坂本広樹氏の話(前編)


【編集部から】
公認会計士試験に合格した後のキャリアとは。

真っ先に思いつくのは、監査法人への入所でしょう。高い専門性からビジネス社会全体に活躍の場を広げ、「組織内会計士」としてキャリアを積む人も多くいます。

そこで、この対談企画では、ライフプランナーとして多くの会計士の人生設計をサポートしている菊池諒介先生(プルデンシャル生命保険株式会社:写真左)をコーディネータとし、「事業会社で働く会計士のリアルを知りたい」「興味があるけれどよくわからない」という人に向け、公認会計士資格と様々なキャリアとの親和性や多様性などについて語っていただきます。

第4回のゲストは、大手監査法人に就職後、業界最高峰の経営戦略コンサルティングファームに転職した坂本広樹先生(ボストン コンサルティング グループ(BCG):写真右)です。

【前編】では、コンサルタントとしてのキャリアスタートやBCGでの仕事のやりがいについて、たっぷりお話をお聞きしました。

「コンサルタント」を目指して会計士受験をスタート

菊池 「組織内会計士のキャリア」をテーマに、監査法人や会計事務所とは異なるフィールドで活躍している方とお話しするこの企画、第4回は坂本広樹さんが勤めるボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)の東京オフィスにお邪魔しました。

坂本さんとは、かれこれ6〜7年のお付き合いになりますが、監査法人からコンサルティングファームへ転職をしたきっかけなどを改めてお聞きする機会がなかったので、今日は順を追って色々とお伺いしたいと思います。

まずは坂本さん、そもそもなぜ公認会計士を目指そうと思ったのですか?

坂本 私、実は理工系の大学院出身でして、どちらかと言うと子どもの頃から「問題を解くのが楽しい」、「研究者になりたい」というようなタイプだったんですね。色々なことに疑問や興味が湧いて、小学生の時には「夢は科学者」と書いていたほどです。

菊池 理系だったのですね。それは初耳でした!

坂本 研究を一生続けるかを考えた時に、理系の研究ってものすごく難しくて…。生涯かけてある分野で成功できるかどうか、しかも成功したものを実用化できるかとなると、それこそ自分が生きているうちに実現できるかどうか、という厳しい世界…。そんな時に、「コンサルタント」という職業を知って興味を持ちました。

コンサルタントは、課題解決を通じて企業や社会に対してインパクトを出していくということが求められます。私がもともと好きだった「問題を解く」ということとリンクして、これだったら生涯で1つの研究というよりも、もっと色々なことができて面白そうだと思えたのです。

そう考えた時に、理系出身なので数学や物理はわかるけど、企業や経営のことが全くわからない…、これでコンサルタントになっても多分何もわからないな、と気づきました。そこで、コンサルタントに至るまでのステップとして、「公認会計士」だったら色々な企業も見られるし、すごく勉強になるんじゃないか、と考えました。それが会計士を目指したきっかけですね。

菊池 なるほど。もともとコンサルタントになりたいという志望があって、そのステップとして会計士の資格を取ろう、という順番だったのですね! それはいつ頃のことだったのでしょう?

坂本 大学院に上がる前なので、大学4年生の頃ですね。

苦労した会計士受験時代

菊池 会計士試験の受験勉強はいかがでしたか? 坂本さんは優秀なイメージなので、やはりサクッと合格されたのでしょうか?

坂本 いやいや。「会計士を目指す」と言っても、菊池さんも、この記事を読んでくださっている受験生の方もご存知の通り、めちゃくちゃ厳しかったですね…。

当初は「大学院の在学中に受かればいいかな」くらいに思っていたのですが、それは叶わず、大学院修了後、1年半受験に専念しました。相当苦労しましたよ。

菊池 受験生時代に苦労したエピソードなどはありますか?

坂本 単純に時間がかかったというのもありますけど、大学院を修了する時点で合格できなかった時に、「さて、どうしようか」と考えたんですね。受験生って、普通は1つの専門学校で勉強すると思いますが、私は科目ごとに違う専門学校の授業を受けることにしたんです。色々と情報を集めて、この科目はこの学校のこの先生の授業を取る、というように。

過去問も自分で徹底的に調べて、出題パターンや解法パターンを分析し、自分なりに「これだ!」というのを見つけたんですね。すると、それがうまくいって、大学院を修了した年の短答式と、その翌年の論文式に合格することができました。

菊池 すごいですね、申し込む前にそこまでやる人はほとんどいないと思いますよ(笑)。

坂本 今思えば、これが私の初めての「戦略立案プロジェクト」でしたね(笑)。

菊池 素晴らしいです。複数の予備校を併用されていたということは、自習室も転々とされていたのでしょうか。

坂本 それが、移動時間も無駄だと思っていたので、基本は家で勉強して授業はオンラインで聞いていました。

菊池 なんと、10年以上前から今ドキの勉強スタイルを実践されていたのですね。僕は真逆で、とりあえずパックになっているスタンダードな講座を申し込んで、とにかく朝から晩まで自習室にいれば受かるんじゃないかと思って、ひたすら気合と根性で頑張っていました。今振り返ると、非効率な部分もあったんだろうなと思います。ただ、そこまで戦略的に取り組まれていた坂本さんでも苦労されたという話を聞くとちょっと安心しますね(笑)。

資格取得に苦労した分、会計士としての経験を早く積みたかった

菊池 会計士試験に合格した後は、EY新日本有限責任監査法人に入所されましたが、当時から「コンサルタントになる」というゴールを念頭に置いた上で、監査法人や部署選びでこだわったことなどはありましたか?

坂本 そういった意味では、コンサルティングはやはり大企業が相手なので、いわゆる四大監査法人の中から選びました。なので、中小というよりは大手という視点で考えていましたね。

菊池 監査法人には何年間いらっしゃったのですか。

坂本 シニアに上がる前なので、4年弱ほどです。最後、インチャージ(主査)を経験してから辞めました。クライアントの業種は問わず、メーカーも金融系もあったので、オールジャンルでしたね。

菊池 監査人としてのご経験はいかがでしたか。

坂本 「勉強になるな」という感覚はありました。当時、特に意識していたのは、単純に前年を踏襲してそのまま実行するというよりは、自分なりに考えて、「どうすれば前年より価値が出せるか」ということです。

たとえば、借入金が1億円増えているということであっても、確認状や契約書をチェックして終わらせるのではなくて、「なぜ、この会社のこの状況で1億円を借りなければいけないのか。そのお金は何に使っていて、それってどういう経営判断なのか」という点を考えると、その会社の実態が見えてきて面白かったですね。この辺りは、日頃から関心があったことだったので、コンサルタントになる前に経験が積めて良かったです。

菊池 今、サラッと仰いましたけど、すごく大切な話ですよね。特にスタッフ時代の仕事って、終わらせることだけを目的にするのなら、単純作業だけでこなせてしまう側面も正直あるかもしれないですけど、それを最初から将来も見据えて、この経験が将来の自分にとってどのような糧になっていくのかということを意識して業務にあたるということはすごく大事だと思います。

坂本 たとえば、「煉瓦を積んでいるのか、家を建てているのか」みたいな話がありますが、ただ煉瓦を積むだけでは面白くないのと同じですね。監査業務も、単純に証憑突合するだけではなくて、その裏にある取引を考えると面白いですよね。

菊池 仰る通りですね。特に、忙しくなると煉瓦を積むだけの意識になりがちですけれども、「自分がどういう家を作りたいのか」という意識があるかないかで、同じ仕事を経験していても、成長スピードが全く変わってくると思います。ちなみに、スタッフの仕事とインチャージの仕事を経験して、どのようなところに違いを感じられましたか。

坂本 インチャージだと全体を見渡す上で、今やっていることの位置付けを見ることができます。他には、周りの人とよりコラボしながら仕事を進めるので、「チームとして働く」、「お客さんの全体感を把握する」という点がスタッフの仕事との違いです。

1つの会社全体を見ることができるので、インチャージの経験はすごく活きますね。実際、私もいつかは監査法人を辞めると思っていましたが、とはいえ、インチャージは絶対に経験してから辞めようと考えていました。なので、早めに経験できるように、上司などにも折に触れて伝えるようにしていました。

菊池 監査法人に入社される時点で、「何年後に次のステップへ進もう」といった明確な計画はお持ちだったのでしょうか。

坂本 特に決めてはいなかったです。もともと勉強することが目的だったので、強いて言えば、一通り学んでからですね。インチャージを経験して、自分の中でも「一通りできるようになった」と感じたので、それなら早いほうがいいかなと。会計士資格の取得に苦労した分、できるだけ早くしたいという思いはありました。

菊池 知人を思い浮かべても受験生時代に苦労して合格された人は、その後のキャリアで取り返そうというハングリー精神が強い方が多い印象です。僕もそうでしたが、「苦労して取ったこの資格を1年でも早く自分なりの成果に繋げたい」という感覚が強いのだと思います。

坂本 私も、その感覚はあったかもしれません。

監査法人から外資系の総合系コンサルティングファームへ

菊池 ところで、監査法人を辞めて初めての転職活動に話題を移したいと思いますが、最初の転職先である外資系の総合系コンサルティングファームはどのようにして決められたのですか。

坂本 当時はコンサルティング業界のことがまだあまりわからなかったので、転職エージェントを活用したり、法人の説明会などで一通り話を聞いたりしました。

いくつか内定を頂いた中で、一番フィット感があり良さそうだと感じた前職のコンサルティングファームに決めた、という流れです。

菊池 転職エージェントの活用法は気になる方も多いのではないでしょうか。やはりコンサルティング業界が得意なところを探されましたか? 現役の監査法人勤務会計士へのアドバイスという観点でも詳しく教えてください。

坂本 そうですね。私自身は、コンサルティング業界が得意だというエージェントを探しました。

今だと、実際にコンサルタントとして何年も働いた経験がある人がエージェントをしているというところも増えているので、そういったエージェントを探すといいんじゃないかなと思います。少し調べれば出てくると思いますよ。

菊池 なるほどですね。エージェントを使うなら、その人の経歴もきちんと調べることが大事ですね。

坂本 そうですね。きちんとコンサルタントとして実績を出していたかどうか、です。最初にお話しした専門学校の講師の話と同じで、エージェントも「会社」ではなくて「人」を選ぶといいと思いますよ。

菊池 前職のコンサルティングファームでは、どのようなお仕事をされていたのですか。

坂本 多かったのは基幹システムの仕事です。クライアントの課題を解決するためには、どういうシステムを導入すればよいのか、業務とシステムの関係で見ると、どういう機能が必要で、どういうオペレーションがあれば、お客さんの業務がより改善するかというようなプロジェクトが多かったです。

会計士業界とコンサルティング業界のカルチャーギャップ

菊池 監査法人からコンサルティングファームに移って、カルチャーの違いなどは感じましたか。

坂本 まず、ものすごく苦労しましたよ。最初の半年くらいは、自分としても全然立ち上がれていない感覚がありました。

「頭の使い方」とか「動き方」が全く違ったんですね。どう違うかというと、監査法人の仕事は一定程度網羅的に調べて「きちんと調べたよ」という結果を出しますが、コンサルタントの仕事は「仮説思考」といわれるように、「ここが大事なんじゃないか」というアタリをつけて、その仮説に向かって最短で進むので、頭の使い方が全く違いました。

そもそも、前年度の監査調書のような資料があるわけでもありません。「どんな問題があるのか」を自分で設定して、しかもそれには正解がないわけです。自分なりにちゃんと確からしい答えを出して、クライアントに納得して頂くというのがコンサルタントとしての仕事です。

あとは、「スピード感」も全く違いました。監査だと、四半期決算が終わるまで、といった感覚ですが、コンサルタントの場合は「あと数日で結果を出さないといけない」、「今週中にレポートをクライアントに提出しないといけない」ということも多々あります。初めは本当に全くついていけませんでした。

菊池 坂本さんにもそんな時期があったのですね。その苦しかった最初の半年をどのように乗り越えられたのか、ぜひお聞きしたいです。

坂本 仕事ができる先輩に「どうしていますか?」と自分から聞いて回りましたね。あとは、当時のプロジェクトの上司も親切に教えてくれたので、そういう中で、どんな勉強をしたらいいか、日々のマインドセットについてなども色々と聞いて、必死にキャッチアップしていきました。

菊池 そうだったのですね。それは僕も非常に共感するところがあります。僕も会計事務所から保険営業という全くの異業種に転職したので、最初は何をどうしたら良いのか全く分からず、結果を出している先輩に時間をもらって、根掘り葉掘り質問していました。

会計士がカルチャーの違う業界に飛び込む場合、変なプライドを捨てて、先人たちに聞く姿勢はマストだと思っています。

坂本 本当にそうだと思います。いわゆる斜に構えるようなタイプだと、なかなか周りからも教えてもらえないので、何より「素直さ」が大事だと思いますね。

菊池 これから異業種へ飛び込む会計士の方には、ぜひ「自分は会計士だけど、この分野はゼロからのスタートだから、1年目として謙虚に多くのことを吸収しよう」という姿勢でチャレンジしていただきたいですね。余計なプライドが成長を妨げてしまうのはもったいないですから。

坂本 それは間違いないですね。

コンサルティング業界最高峰のBCGへ

菊池 では、よいお話が聞けたところで、現職のお話に移りましょう。

2回目の転職でBCGに入社されましたが、この転職はいつ頃から考えられていたのですか。

坂本 前職も居心地のいい会社だったので、当初から辞めるつもりだったわけではありません。結果的に、なぜ転職したかというと、「クライアント企業の経営にもっとインパクトを与えるような価値提供がしたい」という思いが強くなったからです。自分がやれることの幅をもっと広げたくなったんです。

前職でそれを実現できる道も探りつつ、他のファームも色々と見てみたり、実際に働いている人にも色々と会ってみたりして、いいなと思ったのがBCGでした。

それが前職で3年弱くらい経験を積んだ頃ですね。

菊池 そうだったのですね。実は、坂本さんからBCGに転職したと連絡を頂いてから、ゆっくりお話しする機会がなかったので、今日はその経緯などもぜひお聞きしたいと思っておりました。

ちなみに、コンサルタントとしての基礎は、3年くらいで一通り身についたという感覚だったのでしょうか。

坂本 そうですね。問題が与えられていない中で自分で問いを設定するとか、それに対して自分で答えを出しきる力だったり、短いタイムスパンで結果を出すといった基本的な仕事のやり方だったりは、前職時代で身につけられました。

菊池 どちらかと言えば自ら「他のファームを調べてみようかな」という気持ちで2回目の転職活動をスタートされたのですね。

坂本 おっしゃる通りです。もう少し色々なことがやりたい、お客さんにもっと価値を提供したい、お客さんを通してその業界や日本社会にもインパクトを与えたい、と思ったのが大きいですね。

菊池 1回目の転職経験を活かして、活動方法を変えた点などはありますか。

坂本 まず、エージェントをきちんと選びました。あとは、ちょうど色々なファームに友人が勤めるようにもなっていた頃だったので、直接話を聞くこともしました。なので、情報収集の仕方も1回目の転職とは違いましたね。

菊池 他のコンサルティングファームの人との繋がりは、どこで作られたんですか。

坂本 たとえば、コンサルタント出身の方がパワポ講座などのセミナーを開催していることがよくあるんですね。当時はまだ新型コロナ感染症の流行前だったので対面で参加すると、それこそ他の色々なファームの方が参加していて仲良くなれるので、そういった場で繋がりを広げていきました。

菊池 横の繋がりを広げる活動はものすごく大事ですよね。セミナーに参加した時に内容を聞いて終わりではなくて、参加者同士のネットワークを作っておくと将来の財産になることが多いなと感じます。僕も、おもしろそうなセミナーを見つけたときには、リアル開催時はなるべく現地に行くようにしていて、懇親会も可能な限り参加するようにしています。

坂本 そうですね。場合によっては、LINEグループを作って交流を続けるようにします。

自分も情報がほしいけど、逆に相手も情報を求めていたりするので、お互いにとっていいですよね。

菊池 僕の場合、小規模な会計事務所からキャリアをスタートさせたこともあり、セミナーや交流会等のイベントには積極的に参加し、名刺交換をして、Facebookでつながって、「また何かおもしろそうな会があればぜひ呼んでください」などと言って、社外の繋がりを広げるようにしていました。

坂本さんのようなコンサル業界でバリバリ活躍されている人でもそうした水面下での地道な活動の積み重ねが今の土台を作っているのですね。

坂本 泥臭く頑張っていますよ。

菊池 素晴らしいです。ちなみに僕はBCGのようなトップコンサルティングファームに対する勝手なイメージとして、いわゆる超ハイスペックな新卒や第二新卒などしか入れないという印象を持っていたのですが、転職活動を通じてコンサル業界特有の採用ハードルの高さは感じられましたか?

坂本 そうですね。前提として、どこのファームも採用ハードルは高いというのはあると思います。ですが、たとえば東大生しか採用しないのかというと、全くそんなことはありません。実際にBCGに入社して感じるのは、バックグラウンドが多種多様だということです。もし機会があれば、BCGのホームページに載っているリーダー陣のプロフィールを見てみて頂けるとわかるとおり、それこそ、色々な大学、色々な業界を出た人が多くて、特定のバックグラウンドというのは全くないんです。これは私も入ってから驚いたことですね。

「外」から見たBCGと「中」に入って感じるBCGの魅力

菊池 実際にBCGに入って、どんな方々とご一緒されているのでしょう。

坂本 本当に色々な人がいるので、コレと示すのも逆に難しいですが、パッと思いつくところで言うと、お医者さんもいるし、研究者もいますね。あとは、メーカーや金融業界出身の方もいますし、コンサルティングファーム出身の方もいます。東大出身の方もいますが、特にここの大学やここの業界の出身というように偏っているわけでもないですよ。年齢もさまざまな世代の人がいます。

菊池 坂本さんがBCGに入社されたのは何歳頃でしたでしょうか。

坂本 ちょうど35歳になる前の頃ですね。入るポジションにもよるとは思いますが、どちらかというと、採用時には「どんなことをやってきたか」「どんな人か」というのをよく見られている気がします。形式的に年齢で切られるということはないと思います。

菊池 それはちょっとイメージと違いました。僕も会計事務所にいた頃、セカンドキャリアについて考えて色々と調べていた時に、大手コンサルティングファームは第二新卒くらいまでで、かつ東大クラス出身でないと入れないというような話を聞いて、「あ、自分には縁がないところだな」と思った記憶がありました。

坂本 実際には、全くそんなことはないですね。形式的なキャリアとか年齢だけではなく、それよりももっとしっかりと「人」を見ていますね。なので、単に若くて会計士だからという理由だけで有利になることはないですし、逆に会計士だから適性がないと思われることもありません。

”Unlock the Potential”

菊池 採用については、この対談の後編でもまたお聞きするとしまして、外からのイメージとしてもう1つ。「BCGは戦略コンサルティングファーム」というイメージも強いですよね。

坂本 確かに一般的なイメージはそうですが、実は、個人的にはそういう認識はないんですよ。というのも、プロジェクトにおいて、確かに戦略は大事ですけれども、仮に戦略を作っている段階で、「これを早く実行したほうが、インパクトが出るよね」という側面があれば、その次のフェーズを待たずに実行に移しますし、逆に、システム導入のような実行系とされるプロジェクトであっても、「そもそもお客様が本当に求めていることからすると、こういうことを目指すべきなのではないか」と遡って考えることもあります。

菊池 なるほど。

坂本 中には、「実行案件ではなくて戦略案件をやりたい」という人もいるんですが、戦略とか実行とかいうことで分けるのではなくて、もう少し複雑に絡み合った問題を解きに行くという感覚を持っています。なので、「戦略」という言葉にあまり縛られると、少し実態と合わない印象があって、むしろ絵に書いた戦略ではなくて、「ちゃんと実行して、効果が出るところまでクライアントと伴走するよ」というところがBCGの魅力でもあります。それこそ、効果を出すために会社の立ち上げが必要であれば、今なら、BCG Digital Venturesのような組織もできていて、いわゆる絵に描いた戦略ではないというのが、BCGの強みでもありますね。

菊池 坂本さんご自身は、BCGで現在どのようなお仕事をされているのですか。

坂本 今は、金融業界を中心とした仕事をしています。新規事業開発や中期計画の策定、他にはデータやデジタルの活用・推進などですね。特にジャンルは問わず、クライアントの課題解決に向けて取り組んでいます。

菊池 やりがいやおもしろさについても教えていただけますか。

坂本 簡単には解けなくて難しい課題だからこそ、BCGはチャレンジするという考えなので、そこに大きなやりがいを感じています。クライアントが何年かけても解けなかった難題だからこそ、BCGはそこを支援する。しかも、その課題はCxOクラスのような経営者層が抱えている難しいもので、それを我々がチーム一丸となって解決しに行く、それがBCGでの仕事の面白いところです。

BCGの Purpose(存在意義)として、「Unlock the Potential」という言葉があるんです。これは、プロジェクトを通じてクライアントの新しい可能性を切り開くという意味合いがあって、実際に「BCGさんのおかげで、これができました」と言ってもらえて、お客さんと喜びを分かち合える時間が増えてきたことも、私自身のやりがいにつながっていますね。

菊池 良いですね。そういった経験を通して、自分自身の新しい可能性が広がることもきっとあるのでしょうね。

坂本 確かにおっしゃる通りです。自分もまた、新しいことに挑めるようになりますね。当然に、相手からの期待値も高まるので、プレッシャーを感じることもありますが、そこはBCG内にすごくハイレベルなナレッジが蓄積されていて、様々なバックグランドの人たちが集まっているので、それらの英知を結集して、チームが一丸となって取り組む土壌が根付いていますね。

仮に、医学知識が必要になったら、社内を探せば医者がいたり、会計系の話であれば、私のように会計士がいたりします。もちろん、そういう知識面だけではなくて、新規事業やブランドの立ち上げ経験がある人だったり、デザインセンスのある人がいたり、そういった知見を総合して問題に取り組むというあたりが、仕事の楽しさですね。

さらには、日本国内だけではなくて、グローバルとの連携もあるので、海外のエキスパートにインタビューしたり、海外の先進事例を取り入れたり、実際に海外チームと日本チームがコラボして取り組んだりすることもよくあります。課題解決は非常に難しいですが、そこに日本だけでなくグローバルが一丸となって取り組む楽しさは日々感じています。

菊池 スケールの大きさからも魅力が伝わってきますね。ちなみに営業マンの僕としてはちょっと気になるところなのですが、そういったクライアントからの相談というのは、どのようなルートで来ることが多いのですか。

坂本 BCGは歴史が長く、企業の経営者クラスとも深い付き合いが長く続いているので、たとえば、1つのプロジェクトが終わっても、そのプロジェクトを受けて次にどんな課題があるかとか、全く問題がないところでも月1回など定期的にご訪問して、「今、ここに悩んでいるんだよね」というような意見交換や議論をするなどの接点を設けさせていただいています。そこで新しい問題を考えたり、実際に悩みが出てきたら、次回はその分野のエキスパートを連れてきて、では仕事としてプロジェクトを組んで取り組みましょう、というような感じです。

なので、営業活動というよりも、どちらかというと、意見交換や議論を通じて関係性の中で培っている部分が大きいと思います。

菊池 これも勝手なイメージからすると意外でしたが、地道な活動をされているんですね。僕も、目先の契約云々ではなく、「目の前の方に今どうしたらお役に立てるのか」という姿勢で仕事をするようにしています。

坂本 クライアントに満足していただければ、「BCGさんよかったから今度紹介するね」と広がっていきます。少なくとも、こちらの都合でこのソリューションを売りたいからという姿勢ではないですね。

BCGのワークライフバランスはホワイトか

菊池 またコンサルティング業界は激務なイメージも強いですが、実際に働かれてみて、ワークライフバランスはいかがですか。

坂本 それはよく聞かれることですが、まず原則として常時深夜まで働くということはなくて、土日も仕事は入りません。そういう意味で言うと、ホワイトな働き方だと感じています。

菊池 土日も深夜の業務もないというのは意外でした。すると、時間の使い方が皆さん効率的なのでしょうね。

坂本 そうですね。それができる前提として、BCGでは、プロジェクトのリサーチやプレゼンテーション資料のデザイン、あとは日程調整や単純な入力作業などは、社内の専門部隊にアウトソースできます。なので、我々コンサルタントは純粋に頭を使うことにフォーカスできるので、それがかなり大きいです。

たとえば、朝、プレゼン資料作成の依頼を投げて、自分は他の仕事をやって、プレゼン資料が上がってきたのを確認して、という段取りです。それぞれ、デザインやリサーチ、秘書といったバックグラウンドがある人が担っているので、専門性も高いですよ。

BCG東京オフィス・エントランスにて。

後編では、BCGのワークライフバランスやコンサルタントと会計士資格の親和性についてお聞きしました!)


【対談者のプロフィール】

◆坂本 広樹(さかもと・ひろき)

ボストン コンサルティング グループ プロジェクトリーダー
公認会計士

1986年生まれ、群馬県出身。早稲田大学創造理工学研究科修了(工学修士)。
2012年、公認会計士試験に合格。新日本有限責任監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)で、財務諸表・内部統制監査に従事。その後、外資系の総合系コンサルティングファームに入社し、大手企業での基幹システム導入プロジェクト等を経験。現職では、金融業界を中心に、新規事業開発、中期戦略策定、カスタマージャーニー構築、デジタル・データ活用等のプロジェクトを手掛けている。

ボストン コンサルティング グループ/BCG Japan

・コーポレートサイト https://www.bcg.com/ja-jp/
・採用情報トップページ https://careers.bcg.com/locations/japan
・DigitalBCG紹介ページ https://digitalbcgjapan.com/
・YouTubeチャンネル「Meet BCG Japan」 https://youtu.be/gjGQua1IE-M

◆菊池 諒介(きくち・りょうすけ)

プルデンシャル生命保険株式会社 東京第三支社
コンサルティング・ライフプランナー
公認会計士
1級ファイナンシャルプランニング技能士

2010年公認会計士試験合格。約3年間の会計事務所勤務を経て、「自身の関わる人・企業のお金の不安や問題を解消したい」という想いで2014年、プルデンシャル生命にライフプランナーとして入社。MDRT(下記参照)5年連続入会の他、社内コンテスト入賞や長期継続率特別表彰など、表彰多数。2016年より会計士の社会貢献活動を推進するNPO法人Accountability for Change理事に就任。公認会計士協会の活動として組織内会計士協議会広報専門委員も務める。趣味はフットサル、カクテル作り、カラオケなど。

MDRTとは
1927年に発足したMillion Dollar Round Table(MDRT)は、卓越した生命保険・金融プロフェッショナルの組織です。世界中の生命保険および金融サービスの専門家が所属するグローバルな独立した組織として、500社、70カ国で会員が活躍しています。MDRT会員は、卓越した専門知識、厳格な倫理的行動、優れた顧客サービスを提供しています。また、生命保険および金融サービス事業における最高水準として世界中で認知されています。

個人ページ:https://mylp.prudential.co.jp/lp/page/ryosuke.kikuchi


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File.1:新卒でメガベンチャーへ、その後、老舗酒蔵へ転職した川口達也氏の話
前編
後編
File.2:ビッグ4から28歳でIoT×SaaSベンチャーへ、若くしてIPOを成功させた村上航一氏の話
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File.3:大企業で働くダイナミズムとは? 監査法人から大手タイヤメーカーにキャリアチェンジを果たした横井智哉氏の話
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