
M・K(38歳)・主婦・独学
私は、3人の子育てをしながら、独学で日商簿記検定1級に合格いたしました。
実は、日商簿記検定1級には17年前に一度合格しています。
二度目の受験を志した理由と、受験を通して感じたことをお伝えできればと思います。
一度目の受験は学生時代。勉強に専念できる環境は今となっては贅沢だったと実感
20年程前の大学生時代、専攻していた哲学の勉強と並行して、簿記の勉強も始めました。
難易度の高さに苦戦しながらも、四度目の受験で日商簿記検定1級に合格。
大学卒業してからも公認会計士試験の勉強を続け、論文式試験三度目の受験で合格することができました。
その頃の自分を振り返ると、親に生活を支えてもらい、受講料を出してもらいながら、一日の大半を専ら勉強に費やすことができる恵まれた環境だった、と感じます。
勉強のことだけを考えていられる時間はとても貴重で、ありがたかったと実感しています。
結婚・出産・育児を経て8年ぶりに仕事復帰。脳みそが働かないことに驚愕
公認会計士試験合格後、大手監査法人に3年弱勤務した後、結婚を機に退職し、家事・育児に専念する日々が始まりました。
3人の子どもを出産し、専業主婦として育児に励む日々は、子どもの成長を間近で見守ることができ、非常に充実した日々でした。
末っ子の幼稚園入園と同時に、税理士事務所で週3日働くことになりましたが、いざ働き始めてみると、自分の脳みそが全然働かないことに驚愕しました。
8年間家事・育児に専念して、仕事や勉強から完全に離れていたため、脳みそが錆びついたブリキのようになってしまっていたのです。
もちろん、家事・育児でも脳みそを使うことは多々ありますが、それは仕事や勉強に使うものと全く異なることに気づきました。
このままでは仕事に復帰できないと焦り、まず簿記の勉強をし直さなくては、と思い立ちました。これが、二度目の日商簿記検定1級を受けようという思いに至ったきっかけです。
独学で勉強開始。衰えた記憶力・勉強時間の確保・新たな会計基準など、多くの課題
簿記の勉強は、公認会計士修了考査の試験勉強以来で、実に8年ぶりでした。子育ての合間に柔軟に勉強できるように、TACのよくわかる簿記シリーズ『合格テキスト』6冊と、『合格トレーニング』6冊を購入し、独学で勉強を始めました。
4月に勉強を開始し、6月の受験を志すというかなりハードな目標設定でしたが、とにかくやるだけやってみよう、と決意しました。
実際勉強を始めてみると、20代の頃とは違い記憶力が衰えていることや、以前学習したことがあるとはいっても忘れていることも多く、しかも1級は分量が多いため、インプットに時間がかかりました。『合格テキスト』を読み込み、その単元の『合格トレーニング』で練習問題を何度も解くことを繰り返しました。
一番の課題は、勉強時間の確保でした。
子どもが寝た後や幼稚園に行っている時間を使って勉強していましたが、子どもの体調や機嫌の良し悪しによっては、ちょっとした隙間時間も取れないことがありました。
特に4月・5月は、ゴールデンウィークや、学校・幼稚園の授業参観など行事も多く、なかなか進まない勉強に不安を覚えました。
それでも、仕事を休ませてもらったり、夫に子どもの面倒を見てもらったりと周囲の協力を得ながら、勉強を進めました。
5月後半は、問題集や過去問で実際に問題を解くアウトプットを中心に勉強を進めていきました。
8年間のブランクを一番感じたのは、2018年3月に公表された「収益認識に関する会計基準」が適用されていたことです。
独学で新収益認識基準を一から理解するのは非常に困難でした。
そのため、解説動画を見たり、テキストを何度も読み込んだりして重点的に勉強をし、理解するよう努力しました。
2度目の簿記検定1級に合格。達成感とともに、何事にも挑戦する大切さを実感
受験本番当日は、子どもを夫に預けて試験に臨みました。
やはり難解な新収益認識基準に関する問題が出題されましたが、勉強してきたことを思い出し、落ち着いて解くことができました。
そして、合格点ギリギリの70点でしたが、二度目の合格をすることができました。
子どもを連れて合格証書を受け取りに行った際は、達成感で胸がいっぱいになりました。
学生時代と違って社会人になると、様々な事情で満足に勉強時間が取れず、また記憶力や集中力も衰え、新しいことへの挑戦に臆病になる方も多いと思います。
しかし、今回の受験勉強を通して、「とにかくまず始めてみる!」ことが、今後の自分を変えることに大事だと感じました。
この体験記が、何かに挑戦しようとしている方への一助となれば幸いです。