【編集部より】
資格は組み合わせでさらに輝く!『かけ合わせとつながりで稼ぐ資格のかけ算大全』(実務教育出版)が話題です。本連載では、資格の組み合わせで活躍する方々にご登場いただきます。
マンション管理士 澤田 亮
マンション管理士って?
みなさん、はじめまして。
「おとうふマンション管理士」こと、澤田亮です。
私は新潟県でマンション管理士を生業としています。
マンション管理士とは、分譲マンションに存在する管理組合の手伝いが主な役割です。
手伝いと一口に言っても非常に多岐にわたります。
管理組合運営の助言のほか、外部の役員として監事や理事に就任することもあります。
ここ最近、区分所有者の高齢化や管理会社の撤退等により管理の担い手が不足しており、依頼が増えてきています。
資格手当目当てに資格を取得
さて、私が保有している資格は以下のとおりです。
会計人コースwebの読者の皆さんにはなじみのないものが多いかもしれません。
マンション管理士
宅地建物取引士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
測量士補
管理業務主任者
第二種電気工事士
ボイラー技士2級
消防設備士乙4類
危険物取扱者乙4類
賃貸不動産経営管理士
日商簿記3級
ビジネス実務法務検定3級
日本化粧品検定2級
タイピング検定イータイピングマスター3級
上記の資格は、会社員時代に「資格手当」がもらえるものを中心に取得しています。
ビル管理会社に勤務していた時にはビル系の資格を、マンション管理会社に勤務していた時にはマンション管理系の資格をそれぞれ勉強しました。
私自身には、あまり資格を多く取得しているという認識はありません。
いつの間にか増えていたという感覚です。
ちなみに、取得資格の多さを人から指摘されることが結構ありました。
「資格を多く取得していること」が一つの差別化になるのではないかと考えた時期もありましたが、インターネット上には既に数百の資格を取得している猛者がたくさんいることを知り、早々に断念しました。
マンション管理士×宅建士
さて、私は「マンション管理士」を生業としていますので、当然この資格を最も使っています。
副業として不動産会社にも業務委託で参加しているため、「宅地建物取引士」(以下、宅建士)も非常に重宝しています。
では、その他の資格に意味がないかと言いますと、目に見えた働きはしていませんが、マンション管理士及び不動産業を行うための予備知識として役立ってくれています。
さて、マンション管理士と宅建士のかけ合わせですが、正直なところ、メリットもデメリットもあります。
マンション管理士として業を行うのに、宅建士の資格の知識というのは非常に役に立ちます。
マンションの区分所有者や理事役員と話をする際、「近隣相場」や「売却相談」など、会話の幅が広がります。
実際に取引につながることもあります。
一方、宅建士として不動産購入の相談を受けた場合は、非常に悩ましいです。
マンションの購入相談をよく受けるのですが、なまじ管理状況を知っているマンションだったりすると一般の不動産屋では考えないようなリスクや「余計なこと」が浮かんでしまいます。
そして、正直者ゆえに強くお勧めできなくなってしまいます。
例えば、築40年程度のいわゆる「高経年マンション」を壁紙や床、キッチンだけ入れ替えるような「表層リフォーム」を施し売却するという手法があります。
一般的にはよく行われるのですが、床下の配管等の状況を確認せずに表層リフォームを行った結果、購入後に劣化した排水管から漏水したというケースを複数見聞きしています。
それゆえ、表層リフォームの手法には違和感を持っています。
もちろん、買主には配管劣化のリスクも伝えた上で売却するため法的な責任はありません。
しかし、劣化した旧排水管の破損による漏水は、場合によっては保険対応とならないこともあります。
どうしても慎重にならざるを得ないです。
以上から、マンション管理士と宅地建物取引士のかけ合わせは、知識面では互いを高め合うものである一方、実務としては一筋縄ではいかないと日々感じています。
高経年マンションをめぐる問題の解決を目指して
資格をまだまだ勉強したいという欲はあるものの、まだ開業して3年目の駆け出しマンション管理士であるため、今は日々の仕事をこなすことで精一杯です。
また、高経年マンションをめぐる問題は待ったなしの状況です。
「管理の担い手不足」は深刻化し、必要な管理や修繕ができない「管理不全マンション」が増えています。
他のマンション管理士や管理会社、自治体と協力しながらこの難しい問題の解決を目指していきたいと考えているところです。
<プロフィール>
おとうふマンション管理士事務所
代表 澤田 亮(さわだ りょう)
マンション管理士。高経年マンション管理支援センター代表。15年超のマンション管理会社勤務を経て、現在は主に新潟県内の高経年自主管理マンションや小規模マンション管理会社のコンサルティングを行う。マンション管理士の他、宅地建物取引士や管理業務主任者、2級ファイナンシャルプランニング技能士等複数の国家資格取得。
著 書:マンション管理士の「お仕事」と「正体」がよ〜くわかる本(秀和システム)
記事執筆:設備と管理(オーム社)「体当たり!マンション管理」(月1連載)
その他週刊エコノミスト(毎日新聞出版)マンション管理センター通信等多数