株式会社M-Cass代表取締役 平井孝道
この記事は会計人コース8月号第2特集「簿・財 間違えてはいけない重要論点 最終チェック20問」を抜粋・再構成したものです。
<目次>
1 はじめに~勝負のための「カード」
2 最終確認論点チェックリスト
1 はじめに~勝負のための「カード」
⑴ 合格への道は「手持ちのカード」を揃えること
いよいよ直前期になりました。時が経つのは本当に早いですね。この時期はどうしても焦りが出てくるかと思います。頭の中では,問題集や過去問,さらに専門学校に通われている方は,大量の答練や模試,直前テキストなど,やらなきゃいけないことで頭がいっぱいではないでしょうか?
私も受験生時代に同じような状況でした。「問題集の山に埋もれて,本試験まで勉強が間に合わず,焦っている」という夢をよく見ました。では,このような状況でどのように対処すればいいのか? わたくしがオススメするのは以下のものです。
- 手持ちのカードを増やす
- すべてのカードを揃える必要はない(というか無理)
- まず,そろえるべきカードは,基本論点で頻出の論点に関するカード
- カードをそろえるためには,「一点集中各個撃破作戦」が有効
ここでいう「カード」とは,税理士試験「簿記論・財務諸表論」に合格するために習得しておくべき「論点」のことを意味します。「試験合格のために習得すべき論点であるカードを,本試験までにそろえる」というイメージです。まず,そもそも論なのですが,本試験までにすべてのカードをそろえないと合格できない,なんてことはありません。そろえなくても,わたくしは合格できましたし,そんなことは無理です。ただし,勝負するために絶対に揃えておかないといけないカードは存在します。
そのカードこそ,「基本論点で頻出の論点」に関するカードであり,本試験において,そのカードに関する論点が出題されたら確実に得点しなければいけません。
⑵ 得点すべき基本論点が本試験においてどのくらい出題されているか?
では,上述のことを裏付けるため令和元年度の第69回税理士試験簿記論を分析してみたいと思います。合格率は17.4%となっており(平成30年度は14.8%),合格ボーダーライン62点程度(第1問:17点,第2問:15点,第3問:30点)です。この年の簿記論では,出題80項目のうち,得点すべき基本論点(Aランク)は,下記のとおりです。
第1問(20項目):13項目
第2問(25項目):15項目
第3問(35項目):20項目
具体的な論点をみていくと,第1問の問2では「剰余金の配当」,「自己株式の取得・消却」,「新株の発行と自己株式の処分」といった論点が出題されています。これらはいずれもテキストレベルであり,本試験において確実に得点すべき基本論点です。
このことから,難関とされる税理士試験においても,難しい問題を得点するよりも,正答率の高い基本論点を確実に得点していくことが合格するためには不可欠であることがわかります。