【編集部より】
新年度スタート目前! 「スキルアップがしたい!」、「キャリアやプライベートで新しい発見がしたい!」と考えている人も多いのではないでしょうか。そこで、本企画では、実務家・講師などの読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「春休みの課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を順不同で掲載します・不定期)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
今回の記事では、『USCPAになりたいと思ったら読む本<改訂版>』の著者・どこさん(USCPA)に課題図書をお薦めいただきました!
収益認識会計基準が理解できるようになる本、英文決算書が読みこなせるようになる本、伝わる文章が書けるようになる本の全3冊をご紹介します!
春休みに読んでみることで新しい発見があり、新たなチャレンジにつながれば幸いです。
オススメ書籍①『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』(金子裕子・植野和宏、中央経済社)
収益認識会計基準って難しくないですか?
実務や試験の学習で、なかなか理解できなくて困っていませんか?
私も仕事で収益認識会計基準を理解する必要がありましたが、どんな文書を読んでも具体性のなさから今ひとつピンと来ず、モヤっとしていました。
そんなとき、助けを求めて訪れた大型書店でみつけたのが『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』でした。
さまざまな会計本が平積みされている中で、コック姿の猫の表紙がひときわ目立っており即購入(会計本では初めてのジャケ買い)。
『注文の多い料理店』は、宮沢賢治の代表作のひとつである「童話」。
収益認識会計は、難解で理解しにくいと言われている「会計基準」。
「童話」と「会計基準」という関連がなさそうな2つをコラボさせたのが『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』なのです!
カワイイ猫の表紙だからユルイ本かと思いきや、予想をいい意味で裏切って内容は骨太。
具体的なイメージがしやすいよう児童文学が取り入れられていますが、収益認識会計基準の解説書としては本格派です。
この本を読めば、収益認識会計基準の論点を理解し、実務に対応できる力が身につきます。
「注文の多い」収益認識会計基準を「おいしく食べきる」工夫が盛りだくさん。
全27話を通して、多彩なビジネスの会計処理がストーリー仕立てで解説されていきますので、楽しく読み終えるころには、難解な収益認識会計基準が腹落ちしていますよ!
オススメ書籍②『50の英単語で英文決算書を読みこなす』(齋藤浩史・伊藤勝幸、中央経済社)
プライム市場で英文開示義務化らしいし、この機会に英文決算書を学んでみたい!
でも英文決算書なんて自分にはハードルが高すぎる!
そう思う方におすすめするのが『50の英単語で英文決算書を読みこなす』です。
著者のひとりである伊藤勝幸氏は、国際資格の専門校アビタスでUSCPA(米国公認会計士)講座の講師をしており、理解しやすい解説に定評があります(私も受講しましたので、わかりやすさに太鼓判を押します)。
「英文決算書は難しくない」と英文決算書に対する心のハードルを下げてくれます!
✔英文決算書を読むのに必要な英単語は多くない(特に重要なのはたった50個)。
✔高い英語力は必要ない(決算書は小説ではない。上から下まで味わって読むのではなく、決算書内の必要なキーワードを拾って分析)。
✔簡単な計算ができれば大丈夫(決算書の分析に必要なのは、足し算・引き算・掛け算・割り算のみ)。
この本を読めば、PART1「英文決算書入門」で英文決算書の基礎知識が身につき、PART2「英文決算書分析術」で英文決算書の「読みこなし方」がわかります。
「読みこなし方」が身についたら、さらなるチャレンジとして、興味がある米国企業(たとえばApple)の英文決算書(Form 10-Q:四半期報告書 やForm 10-K:年次報告書)を入手して読んでみるといいですね。
英文決算書は「Morningstar」からの入手が初心者向けとしておすすめされていますが、個人的には米国SECの「EDGAR」が使いやすく感じます(金融庁の「EDINET」のモデルだからかもしれません)。
また、日本のIFRS(国際財務報告基準)適用企業(たとえば楽天グループ)は、日本語だけではなく英語でも情報開示しており、カッコイイAnnual Report(アニュアルレポート)も海外向けに用意しています。
IR(Investor Relations:投資家向けの情報開示)にて入手できますので、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで「会社名 IR」(たとえば「楽天 IR」「Rakuten IR」)と入力してアクセスしてみてくださいね!
オススメ書籍③『文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(藤吉豊・小川真理子、日経BP)
伝わる文章が書けるようになりたい!
スラスラ文章を書くコツが知りたい!
そう思う方に読んでいただきたいのが『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』です。
文章で生計を立てている文章のプロがおすすめしていた本で、この本を読んだ結果、私が書く文章もグッと伝わりやすくなったと自負しています。
『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』はその名の通り、文章術の名著100冊の「書き方のエッセンス」が1冊にまとまった本。
文章術の本なだけあってタイトルからして的確で、興味がそそられますね!
「文章の書き方」をテーマにしたベストセラー100冊に書かれているノウハウが「書かれていた本の冊数」でランキング化。
上手な文章を書くコツが、わざわざ100冊も買って読まなくても手に入る、コスパ・タイパのいい本です!
✔ビジネスパーソンは、報告書・議事録・資料などで意図が明確に伝わる文章が書けるように。
✔学生や資格試験受験生は、論文・レポート・答案などで論理的な文章が書けるように。
✔情報発信者は、SNSなどで人を惹きつける文章が書けるように。
この本を読めば、上手な文章と自分が書く文章の違いを知り、改善点が発見できるでしょう。
この春休み、文章力をレベルアップさせ、あなたの強力な武器にしてしまってくださいね!
<執筆者紹介>
どこ
ワシントン州USCPA(米国公認会計士)
USCPA試験全科目合格後、大手監査法人に転職し、東京事務所の国際部にて、外資系企業をメインのクライアントとする会計監査人になる。その後タイのバンコクに移住し、米国企業のタイ子会社にて、親会社への会計レポートを担当し、さらに帰国後、日系グローバル企業の東京本社にて、連結決算に携わる。
著書に『USCPAになりたいと思ったら読む本<改訂版>』(中央経済社)がある。
・ブログ(USCPAどこのブログ)
・Xアカウント(@dokoblog)
<あわせてオススメの書籍>
<バックナンバー記事>
「『USCPAになりたいと思ったら読む本』の著者に聞く 資格の活かし方、試験のリアル」
初版刊行時に著者のどこさんにインタビューをした内容です。