【会計士】12月短答まであと1カ月! 今から合格率をマックスに引き上げる方法


【編集部より】
いよいよ11月になり、12月短答までのカウントダウンが始まりました。今ある実力を最大限に発揮するために、ここからの1ヵ月をどのように過ごし、実戦力を高めていくとよいのでしょうか。
そこで、TAC講師の小野友輔先生(公認会計士)に、直前1カ月の過ごし方と取捨選択のポイントについてアドバイスをいただきました。

小野 友輔(TAC講師・公認会計士)

直前1カ月は取捨選択がポイントになる

公認会計士試験を突破するには適切な戦略を練ることがとても重要になってきますが、基本的には各専門学校のスケジュールに従って勉強していれば、自動的に上手くいくようにカリキュラムが組まれています。

そうはいっても、専門学校のスケジュールを完璧にこなしている方もそこまで多くない中、「合格点」をとるためにはある程度重要性(=過去の出題実績に基づいた、試験に出題される可能性の高さ)によって論点を絞る、つまりは取捨選択していく作業が必要になります。

そこで、短答式試験まで残り1ヶ月ほどとなった現在、合格点を取るための戦略についてお話したいと思います。

まず、大前提として、会計士試験の受験勉強においては、計算科目を先に学習し、概要をつかんでから理論の学習をしたと思います。これは、以下の点において非常に理にかなっています。

・計算科目は習得するのに時間がかかることから、早期から学習する必要があること
・最終的に差がつくのは計算科目であること
・理論科目を早くから詰め込んでも忘れてしまうこと

おおよそ、12月の短答式試験においては、10月末までに計算科目を固めて(=本試験レベルまで持って行く)、11月からは理論に重きを置くように指導しています。計算と理論の比率としては、10月末までは7:3、11月以降は次第に逆転して、最終的には3:7くらいになると思います。

ちょうど本記事が公開されるタイミングでは、後者になっていると望ましいかと思います。計算については10月末までに理解した論点のみをメンテナンスし、理論について最大限詰め込む作業をする必要があります。

以上は、一般的な受験生が目標とするべきスケジュールであり、特に初年度の方については理想通りに進んでいないこともあるでしょう。

もし学習が想定通りに進んでいないなら…

では、学習が想定通り進んでいない場合に、今からできる、合格率をマックスに上げる方策を考えてみましょう。

①計算科目を固めるのは最長で11/15まで(それ以降はメンテナンスに留める)。
②毎回出題されるような論点は理解度をなるべく100%に近づける。
③計算と理論のバランスを考える。
④模試は本試験当日までに理解していれば良いと考える(過度に点数を気にしない)。

①計算科目を固めるのは最長で11/15まで
 (それ以降はメンテナンスに留める)

11/15まで、あと数日しかないかもしれませんが、その時点で理解度が半分以下の論点は、本試験に出ても無闇に解いてはいけません。結局解答が出ない問題にかける時間は極力ゼロにして、他の得点できそうな問題に注力すべきです。

合格する人が全員すべての論点を完璧に理解をして合格しているわけではありません。きっぱりと諦めて、取れるところを取る戦略が大切です。

逆に、その時点で理解度が半分を超えていれば、ラストスパートの驚異の吸収力で合格レベルの理解度に上がることはありますので、計算を伸ばす戦略もありです。ただし、③に記載の、必ずやらなくてはならない理論の詰め込みタイムとのバランスを見ながらです。

②毎回出題されるような論点は理解度をなるべく100%に近づける

財務会計論計算でいえば、連結財務諸表、リース取引、固定資産の減損、商品売買、収益認識あたりはほとんど毎回出題されています。中でも連結財務諸表はここ最近は総合問題で必ず出題され、配点は200点中の24点を占めます。

TACの方であればテキスト⑤はほぼ100%、⑥⑦テキストも、良く出る論点については100%に近い理解をしてほしいです。

③計算と理論のバランスを考える

どちらに極端に偏るのも良くないです。多くの受験生が、ラストスパートで理論科目の詰め込みをすることから、同様の戦略をとらないと細かい選択肢で正答が選べなくなり、差が付いてしまいます。

大きな傾向として、理論科目は平均に固まりやすく、計算科目は平均からバラつきます(人により出来不出来の散らばりが大きい)。結果的に、計算科目が目標得点に届かずに残念な結果になる人でも、理論科目は合格点に届いていることがほとんどです。

そのため、最後に理論科目を詰め込むことは、最低限やるべき必須事項になりますし、平均に固まりやすいということはそれだけ直前期の伸びが期待できるということになります。

④模試は本試験当日までに理解していれば良いと考える
 (過度に点数を気にしない)

模擬試験は大切ですが、特に初年度の方は結果に一喜一憂しないで下さい。常に前を向いて、本試験までに理解できていれば良い、これが本試験でなくて良かった、とポジティブ思考でいきましょう。

大学受験での私の経験ではありますが、最後の模試まで点数の取れなかった化学が、残り1ヵ月で急激に伸びました。悪かった模試の結果を客観的に受け止め、焦ることなく逆算をしてやるべきことをやった結果です。

合格者に共通することとは

さて、いろいろ書きましたが、合格した人に共通することって、いったい何なのでしょう。

それは、一握りの天才を除いて、「情熱」です。
いかに公認会計士になりたいか。その一言に尽きます。

直前期になると不安や緊張から勉強が手につかなくなる方もおりますが、そんなもん、気合いで吹っ飛ばして下さい。今までの積み重ねがあるからこその不安だし、試験直前に緊張していないのは勉強の準備を怠っている証拠です。受験勉強にまつわる、そういった心理的マイナス材料は、勉強をすることでしか除去できないのです。

受験勉強を始めようと決意したあの日、あなたにはあふれんばかりの情熱があったはず。
いま、それを思い出そう。ここから始まるラストスパートがあなたの人生の転機になる。
そして全てが終わった後に、自信になる。良い想い出にもなる。

それでは、最後のひと踏ん張り、気合いを入れて頑張ろう!

【執筆者紹介】

小野 友輔(おの ゆうすけ)

公認会計士
東京大学経済学部卒業。EY新日本有限責任監査法人、小規模税理士事務所、東陽監査法人を経て、TAC公認会計士講座財務会計論計算科目主任講師(現職)、(株)プルータスコンサルティングにてコンサルタント(現職)。


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