増山 英和
1.ビジネスドクターとしての使命
自らの命を懸けて日々新型コロナウイルスと闘っている医療従事者の方々と同様、ビジネスドクターと表現される私たち職業会計人も、日本の99%を占める中小企業を護り抜くために、税務のみならず会計、そして経営支援に使命感をもって取り組まなければならない。
多くの職業会計人が認定されている経営革新等支援機関には、会計の活用により経営力の強化を図る担い手として社会から大きな期待が寄せられている。
この有事を乗り切るために経営者にとって一番近くにいる「親身な相談相手」である職業会計人が会計で会社を護り、強くするために何をすべきか、どう動くか。
今、その真価が問われている。
2.枯渇する資金
2020年版「中小企業白書」によれば、経営相談窓口には3月末までに30万件近い相談が寄せられており、そのほぼ全てが「資金繰り」関連である。
また「業種別・規模別に見た固定費と流動性の高い手元資金の比率(2018年)」は、資本金1千万円未満の宿泊業ではわずか2.9か月、飲食サービス業は5.6か月となっている。
平時でさえこの数値である。
ここから売掛債権を控除した手元流動性比率ともなると、中小企業の手元資金は月商の1カ月程度(日本経済新聞3月11日)ともいわれる。
売上激減により資金が枯渇し、厳しい資金繰りの局面をむかえていることが容易に想像できる。
それゆえに職業会計人には、緊急資金繰り支援が求められる。
3.現状把握と予兆を読み取る
コロナショックの影響を把握するには、「月次試算表」とこの勘定科目残高の月ごとの推移を一覧にした「科目残高推移表」が必要となる。
科目ごとの推移を分析することで業績と資金繰りの状況を把握すると同時に、悪化する予兆を読み取ることができる。
特に売上高や利益、現預金、売上債権、買入債務、在庫は要チェックだ。