井ノ川博行
令和2年5月15日付、公認会計士・監査審査会のホームページにおいて『新型コロナウイルス感染拡大に伴う令和2年公認会計士試験第II回短答式試験及び論文式試験の実施方針に係るお知らせとして、現時点の新型コロナウイルス感染症の拡大状況等を踏まえ、延期することとした令和2年公認会計士試験第II回短答式試験につきましては、現時点では、8月下旬を目途に実施することとして調整しております。また、これに伴いまして、令和2年の論文式試験(当初、本年8月21日~23日実施予定)につきましても、11月上中旬を目途に延期いたします。』
と公表されました。
このような状況下において、受験生の皆様は非常に不安な毎日を送られていることと思います。
そこで、公認会計士受験予備校を30年以上運営してきた経験から、短答式本試験までの受験生の心構えや過ごし方についてアドバイスしたいと思います。
全受験生にお伝えしたいことは、「短答式本試験が約3ヵ月延期になったことを前向きにとらえていただきたい」ということです。
次に、学習進度に合わせたアドバイスをします。
■万全な準備をしてきた方へ
まず、万全な体制で準備されてこられた受験生の方は、計画が狂って暗記の準備等をもう一度、計画し直さなければならないかと思いますが、前向きにとらえて、不十分な点はなかったかどうかを確認する時間が与えられたと考えてほしいものです。
また、計算についても間違えない工夫の機会を与えてもらったと考えるようにしてはいかがでしょうか。
「勝って兜の緒を締めよ」ということわざがあるように、念には念を入れていただきたいです。
■準備に不安のある方へ
次に、ある程度の受験勉強の準備はなされているが、部分的には十分ではない受験生の方には、その不十分な点が、本当に本試験で必要なものかどうかを再考してください。
それでも必要だと判断したならば、ある程度の時間をかけて自分のものにしてください。
その時に常に意識してほしいことは、不十分なところだけで一日の勉強を済ませるのではなく、必ず4科目すべてを回すような計画を立てて実行してください。
記憶は日ごとに薄れるものです。
忘れないためにもぜひ必要です。
また、惰性で勉強しないように勉強方法の工夫も必要かと思います。
例えば、今まで目次の順番通りに学習していたことを終わりの章から前に学習していくとか、簡単な論点や得意な論点から学習していたことを比較的難しい論点や苦手な論点から学習してみるといったことです。
人には必ず、弱い分野があるものです。その弱い分野をじっくり学習する時間に充てることも必要かと思います。