会計人コースWebでは12月8日から全3回にわたり、千葉商科大学「瑞穂会」の指導をされている渡邉 圭先生と学生の方々による、「日商簿記1級」をテーマとした座談会の内容をお届けしています。
第1回は、先日の第159回で1級をはじめて受験した学生2名に感想を、第2回は、日商簿記1級合格者4名に勉強法をお話しいただきました。
最後となる第3回は、受験生と合格者の両方にご登場いただき、日商簿記1級を目指したきっかけや合格後の進路についてお話しいただきます。
第3回にご協力いただいたメンバー
司会進行:渡邉 圭先生 1級受験者:晴山 美来さん(2年生)、佐藤 凌央さん(1年生) 1級合格者:木内 沙弥さん(4年生・千葉県教員採用試験合格)、梶井 佑太さん(3年生・税理士試験受験生)、桐生 竜雅さん(2年生・公認会計士試験受験生)、橘 啓介さん(2年生、税理士試験受験生) |
渡邉先生 第3回の座談会は、皆さんに日商簿記1級を目指したきっかけや合格後の進路について聞いていきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。
一同 お願いします!
渡邉先生 まずは木内さん、このなかでは唯一の教員志望で、今年の千葉県教員採用試験にも合格しました。教員を志望した理由や日商簿記1級を目指した理由は何だったのでしょうか。
木内さん 高校生の頃から学校の先生に憧れていて、将来は簿記の知識を活かして商業高校の教員になろうと思っていました。ただ、高校の先生と話したとき、日商簿記1級までを取得している先生が本当に少ないと聞いたんです。それを知り、「1級をもっているスゴい先生になりたい!」と思いました。そこから高校時代に3級を、大学で2級、1級に合格することができました。
渡邉先生 なるほど、そんなきっかけがあったのですね。たしかに、千葉県教員採用試験の問題を見ると、2級や1級の知識も問われていますが、「簿記」というよりは「商業」に関する全般的な内容が問われていると感じます。佐藤さんも教職課程を履修していますが、日商簿記1級に合格した後の進路としては、どのようなことを考えていますか?
佐藤さん 今は教職課程も履修しているのですが、先日に日商簿記1級の受験を終え、次は税理士試験の勉強も始める予定です。税理士か教員、どちらを目指すにしろ、難しい試験だと思うので頑張っていかなければいけないと思っています。ただ、木内さんが言っていたように、たしかに高校には日商簿記1級まで教えることができる先生は少ないと感じます。僕も高校時代に2級を取得したのですが、“ほぼ独学で”勉強していました。そのため、簿記に関する高度な知識や技術を教えることができる先生になりたい、という思いもあります。同じく、企業を助けることができる税理士にも興味があるので、今は進路に迷っているところです。
渡邉先生 1年生なので、まだ悩める時間もたくさんあります。1級合格後の進路は多様なので、考えながら進路を決めていってもらいたいと思います。佐藤さんと同じく、今回1級を受験した晴山さんはどうですか?
晴山さん 私も商業高校で簿記の勉強を始め、高校時代に2級まで合格しました。その後、「どうせなら1級まで合格したい」と思い、大学入学後に1級を目指しました。将来は地元に根差した仕事をしたいと思っているので、税理士を目指しています。
渡邉先生 晴山さんのように、「2級に合格したし、それなら」という思いで1級にステップアップする人は多いですね。桐生さんはどうでしょう? 公認会計士に興味をもったきっかけはありますか。
桐生さん 中学2年生のとき、自営業をしていた母から「確定申告やお金の管理は難しい」といった話を聞くなかで、「公認会計士」という職業について知り、興味をもったことがきっかけです。当時は「小さなカフェも経営したい」という夢があったのですが、母に「カフェだけだと生活できるかどうかわからないよ」と言われ、それならお金に少し余裕のできる公認会計士を目指そうと思いました。公認会計士になれば、2階・3階を会計事務所に、1階をカフェにすることもできるのかな、と考えたというのもあります。その後、商業高校に入学し、簿記の勉強を始めました。
渡邉先生 桐生さんの言うように、資格をきっかけに、さまざまなことに挑戦するというのもいいですね。税理士を目指し、すでに勉強を始めている梶井さんや橘さんは、どうでしょうか?
梶井くん 高校3年生で日商簿記2級を取得し、大学生になったら1級はとろうと思い、瑞穂会に入りました。ただ最初は、1級に合格できたら勉強をやめて、一般企業に就職することを考えていたんです。しかし、1級を一緒に勉強していた友人たちが税理士を目指していたり、その友人たちに「1級をとったなら簿記論・財務諸表論を受験しないともったいないよ」と言われ、そこから自分も税理士を目指そうと思いました。1級を勉強するなかで学習習慣もできてしまっていたので、今やめても他にやることがないな、とも思い、ここまで勉強を続けています。
橘くん みんなの話を聞いた後だと、本当になにげない感じなのですが、高校2年生のとき、クラスで唯一2級に合格することができ、「すごいじゃん!」と言われたことが簿記の勉強を続けようと思ったきっかけです。「もっとちやほやされたい」という軽い気持ちがありました(笑)。ただ、日商簿記1級を本格的に受験しようと思ったのは、瑞穂会に入ってからです。そして、瑞穂会で勉強するなかで1級を受験したら、なんとか一発で合格することができました。そこから僕も、気づいたら税理士試験の勉強を始めていた、といった感じです。
渡邉先生 梶井さんや橘さんのように、ふとしたことがきっかけで税理士試験の勉強に進む人は多いですね。瑞穂会の学生には、日商簿記1級合格後に、実際に税理士を目指すかどうかは置いておいて、教養として国家試験である税理士試験の簿記論を受験する、という人も多くいます。瑞穂会の皆さんの進路が、特に同じ学生の方々にとって、参考になるといいですね。皆さんの今後のステップアップを応援しています。
今回ご協力いただいた、千葉商科大学「瑞穂会」とは?
会計教育の実践の場として、千葉商科大学の学生を対象に、日商簿記検定、税理士試験科目(簿記論・財務諸表論)の講座を開講し、無料で受験指導を行っている。専用の教室を有し、専任教員が常駐して学生の受験指導にあたる。現在、多くの合格者を輩出しており、毎回の合格率は全国平均を大きく上回る。また、大学の授業と資格試験の両立に悩む学生に効率的な学習方法をアドバイスするなど、個々の学生の状況に応じた細やかな指導を行っている。
HP:https://www.cuc.ac.jp/iaer/mizuho/index.html