渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)
第159回日商簿記検定試験が2021年11月21日(日)に実施されます。直前期は、問題集での学習が完了し、次のステップである模擬試験問題を解いて、本試験に備えることになります。しかし、受験生のなかには点数がなかなか伸びない、または、正答数をもっと増やしたいと感じている方もいるのではないでしょうか。そこで、本試験前2週間で合格可能性を高める勉強法をご紹介します。
今回は3級についてです。
本試験前2週間は、次の3つを意識しましょう。
1.模試は必ず2回解く
本試験の問題に慣れるには模擬試験問題を解くのが効果的です。
ただ、はじめて模試を解く方は、出題形式に慣れておらず、結果がよくない場合があります。
そのため、1回転目は時間制限をつけず、ヨコ解き(大問別)で模試に取り組むことをオススメします。
第1問(仕訳問題)のみ第1回の模試・第2回の模試・第3回の模試……と解いていきます。第2問と第3問も同様です。
日商簿記3級は試験時間が60分なので、適切な時間配分やケアレスミスがないように学習することが求められます。しかし、これは基本的な論点がしっかりと身についていることが前提です。
ヨコ解きをすることで、効率よく一つひとつの論点を学習することができます。
そして、2回転目は時間制限をつけて、実際の試験形式で演習していきましょう。日商簿記3級では解答のスピード力が求められるので、それを意識した学習をしてください。
もちろん、初見の問題を最初から試験形式で演習したいという方は、そのまま第1問・第2問・第3問と解いてもかまいません。
その場合は、時間制限つきで演習を行い、点数を把握します。結果が70点以上であれば、次も同じように演習を行います。70点未満であれば、今度は時間制限をつけずに解いてみましょう。
こちらのフローチャートを参考にしてください。
2.点数が取れなかった論点は問題集などで振り返り学習をする
模試を2回転以上すると、不合格の点数が続く場合があります。これは、現時点の自分のレベルに合った学習ができていないことが原因です。
単純に学習量が少ない場合もありますが、複数回転しても点数が伸びない場合は、模試を解いた後、できなかった論点について、使用していた問題集で振り返り学習(復習)を行いましょう。
模試を解いて合格点の70点以上に達成できているか否かを把握することも必要ですが、それよりも、点数が獲得できなかった論点について把握するほうが重要です。“できるところ”をさらに伸ばすより、“できなかったところ”を重視してください。
たとえば、模試を解いて自己採点をした結果、「剰余金の配当」、「訂正仕訳」、「保険料の前払い」ができなかったとします。その場合は、それらのできなかった論点について、もう一度学習します。
模試の演習を通して、対策すべき論点を「見える化」し、問題集を使って、ピンポイントで振り返り学習をしていきましょう。
3.仕訳問題は毎日解く
日商簿記3級の第1問では、100点満点中45点分の仕訳問題が出題されます。第2問と第3問も、仕訳をしっかりすると獲得できる点数が増えていきます。模試に加えて、模試を解く前に20分~40分を使って仕訳の練習をしましょう。
たとえば、毎日10問練習する場合、10日で100問、20日で200問解くことができます。1日の練習時間は少ないですが、日々の積み重ねによって合格可能性をより高めることができます。
今回、会計人コースWebのnoteにて仕訳問題100問を論点別に作成。
「商品売買」や「現金預金」など論点ごとに10問ずつ仕訳問題を作成しており、基本的な論点から応用論点まで幅広い構成となっています。
主に、第1問対策として作成したので、第2問・第3問で出題される「前払・前受」・「未収・未払」の論点は除いています。
ただ、基礎問題も応用問題も含んでいるため、論点別に、どのレベルまで学習が完了しているかを把握することができるでしょう。ぜひ使ってみてください。
第159回試験を受験する方へ
日商簿記3級は、第1問の仕訳問題で高得点をとり、第3問の決算整理事項をしっかり正答できれば合格することができます。
試験全体で合格点が獲得できかるかという視点に加えて、第1問(45点)+第3問(35点)だけで合格点が獲得できるかという視点ももちながら、本試験までの直前期をお過ごしください。