Ⅵ 損益会計③
3.収益認識に関する会計基準
73.開発にあたっての基本的な方針 ★★
当委員会では,収益認識に関する会計基準の開発にあたっての基本的な方針として,IFRS 第15号と整合性を図る便益の1つである国内外の企業間における財務諸表の比較可能性の観点から,IFRS第15号の基本的な原則を取り入れることを出発点とし,会計基準を定めることとした。また,これまで我が国で行われてきた実務等に配慮すべき項目がある場合には,比較可能性を損なわせない範囲で代替的な取扱いを追加することとした。
74.基本となる原則と収益認識のための5つのステップ ★★★
本会計基準の基本となる原則は,約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように,収益を認識することである。
基本となる原則に従って収益を認識するために,次の⑴から⑸のステップを適用する。
⑴ 顧客との契約を識別する。
⑵ 契約における履行義務を識別する。
契約において顧客への移転を約束した財又はサービスが,所定の要件を満たす場合には別個のものであるとして,当該約束を履行義務として区分して識別する。
⑶ 取引価格を算定する。
変動対価又は現金以外の対価の存在を考慮し,金利相当分の影響及び顧客に支払われる対価について調整を行い,取引価格を算定する。
⑷ 契約における履行義務に取引価格を配分する。
契約において約束した別個の財又はサービスの独立販売価格の比率に基づき,それぞれの履行義務に取引価格を配分する。
⑸ 履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する。
約束した財又はサービスを顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて,充足した履行義務に配分された額で収益を認識する。履行義務は,所定の要件を満たす場合には一定の期間にわたり充足され,所定の要件を満たさない場合には一時点で充足される。
75.履行義務の充足による収益の認識 ★★★
企業は約束した財又はサービス(本会計基準において,顧客との契約の対象となる財又はサービスについて,以下「資産」と記載することもある。)を顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて,収益を認識する。資産が移転するのは,顧客が当該資産に対する支配を獲得した時又は獲得するにつれてである。
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