<直前期集中連載>財表理論 インプット&アウトプット同時マスター講座(第31回)―自己株式等会計基準②


Ⅴ 純資産会計③

2.自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準②
(2) 資本剰余金と利益剰余金の混同禁止
62.資本と利益の区別の原則の意義
 ★★★
 資本取引と損益取引とを明瞭に区別し,特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。

(1) 資本取引・損益取引区別の原則
  ①期間損益計算の適正化の観点から,維持されるべき資本は②期首株主資本(払込資本+留保利益)であり,これを運用し,維持してなお余りある③当期純利益を確定しなければならないことを要請する原則である。

(2) 資本剰余金・利益剰余金区別の原則
 ④企業資本維持の観点から,⑤株主資本内部における構成(取引源泉)区別の峻別・維持を要請する原則である。ここで維持すべき資本は,⑥(期末)払込資本であり,これと⑦留保利益との峻別が要請される。

63.資本剰余金の利益剰余金への振替を無制限に認める場合の問題点 ★★★
 資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金を利益性の剰余金へ振り替えることを無制限に認めると,①払込資本と払込資本を利用して得られた成果を区分することが困難になり,また,資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金を②その他資本剰余金に区分する意味がなくなる

64.資本剰余金と利益剰余金間の振替が認められる場合とその理由 ★★★
 利益剰余金が①負の残高のときにその他資本剰余金で補てんするのは,資本剰余金と利益剰余金の混同にはあたらないと考えられる。もともと②払込資本と留保利益の区分が問題になったのは,③同じ時点で両者が正の値である場合である。①負の残高になった利益剰余金を,将来の利益を待たずにその他資本剰余金で補うのは,④払込資本に生じている毀損を事実として認識するものであり,②払込資本と留保利益の区分の問題にはあたらないと考えられる。

*自宅学習などで音読可能であれば、ぜひ音読しましょう!


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