うだ
〈執筆者紹介〉
うだ
山形県出身。地元の商業高校を卒業後、地元の税理士事務所に就職。のちに法人化し、現在まで勤務。税理士試験に初挑戦したのは1988年(昭和63年)。通算22回受験することになった簿記論に苦しみながらも、「なせばなる」というモットーと仲間たちに支えられ、33年の受験生活を経て2020年(令和2年)に念願の官報合格を果たす。受験歴は以下のとおり。
消費税法(2回・1990年)→法人税法(4回・1991年)→所得税法(6回・1998年)→財務諸表論(3回・2016年)→簿記論(22回・2020年)
最後の簿記論 本試験でのこと
「株式払込金の資本金勘定への組み入れは会社法の定める原則処理とする」
という指示があったにもかかわらず、資本金を払込金額の2分の1にしてしまい、芋づる式に推定10点もの失点。
昨年(2020年)の簿記論の本試験で私が犯した、本当の話です。自己採点をして「ああ、終わった・・・」と絶望しました。
しかし結果は合格、官報に名前が載りました。
ここまで重大な過ちを犯しながら奇跡的に合格できたのは、その他の設問でA・Bランク箇所をほぼ完答でき、かつCランク箇所を無駄なくスルーできたからだと、今になって思います。
どうしたらケアレスミスが減るのか?
計算で高得点をたたき出すためには、スピードアップを図りつつ、ケアレスミスを減らすという、一見相反する要素を両立させる必要があります。私は次に掲げる方法で対策しました。
① まず、間違いを記録します。私は、Excelで作成した間違いノート(合格体験記を参照)に、日々の間違いを記録していました。
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② 間違いのパターンを「理解不足」と「ケアレスミス」に大別し、Excelの間違いノートから「理解不足」のパターンを抽出します。
抽出した「理解不足」の項目を、テキストや計算問題集に戻って復習します。標準時間を気にせず、じっくり解くのがポイントです。時間を気にするのは、スムーズに解けるようになった後のほうがよいでしょう。苦手項目をしっかり潰さないかぎり、結局、合格は遠のいてしまいます。負荷を負荷と感じなくなるまで、時間をかけて諦めずに取り組むことが大切です。
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③ 自信がついたら、「理解不足」への対策は完了です。Excelの間違いノートから該当する行を削除(または非表示に)します。
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④ それでも残ったものが「ケアレスミス」です。私は大量に残りました(笑)。
「ケアレスミス」の態様はさまざまあると思います。読み飛ばしは、一行一行を丁寧に、端から端まで読むよう心がけるしかないでしょう。メモ書きは、解読できなければ意味がありません。特に、数字と数字をくっつけないように意識してください。電卓は、ゆっくり一回で確実に合わせましょう。
このように対策をし、ゆっくり丁寧に解くことで、ケアレスミスを回避できるようになりました。また、随所に散りばめられたCランクの存在もしっかり見抜いて、スルーできるようになりました。結果としてこれがスピードアップにもつながり、簿記論の得点を上げることができたのだと感じています。
とはいっても、ケアレスミスは完全にはなくならないでしょう。私がそうでした。そのため、紙の間違いノートを作成されている方は、自分なりのクセを目立つようにメモして、試験場まで持っていきましょう。
試験まで、そして試験当日の過ごし方
試験まで
試験までの直前期は、他の専門学校の模試も、できれば受験しましょう。普段と違うので点数が伸びないと思いますが、これも練習のうち。気にする必要はありません。
他校の模試で重点的に出題された項目があれば、押さえておいてください。私は資格の大原の「時間の達人」という講座で勉強していましたが、TACの全国模試をきっかけに「リース」を深掘りしたことも勝因の1つでした。
また、ケアレスミスが命取りの税理士試験。合否は当日の体調にも大きく左右されます。
私のように簿記論だけという方は、普段から体調のピークを、本試験の時間帯である午前9時から11時に合わせましょう。
簿記論は朝の1時限目です。早起きが苦手な方も、今から朝型に切り替え、できれば早朝に勉強しましょう。
試験当日
試験当日は、試験場の控室では、資格の大原の要点チェックノート、前年度から繰り越した紙の間違いノート(書き込みが増えて、いい財産になりました)の2冊を軽く見直しました。
この他に、修正テープも必需品でした。私は、問題用紙に書き込むために普段から多色ペンを使用しています。答案作成の際、誤って赤や緑で書いてしまったときに備え、お守り的に持ち込んでいました(幸い、出番はありませんでした)。
また、若い方々にはピンとこないかもしれませんが、年齢を重ねると、トイレを意識しはじめたときの切迫感は、ただならぬものがあります(笑)。
落ち着いて問題を解くコツとして、トイレに行きたくなったら、迷わずすぐに行きましょう(私は行きました)。
本試験を迎える受験生へのメッセージ
本試験まで残すところ2ヵ月。
的(教材)を絞って、実行可能な、日々の学習計画を立てましょう。
自分を信じて、立てた計画を微調整しながら、あふれんばかりの情報に惑わされることなく、計画を実行しましょう。
自分で決めたら、誰の言うことも聞かない。それくらいでちょうどいいです。
簿記論は重箱の隅まで知り尽くさなくとも、全員がとるべきところをとれれば、十分勝負できます。
実際に、合格した昨年度の試験では、完答したわけではありません。
とるべきところを取捨選択し、時間も少し余ったくらいですが、合格することができました。
どうか最後の最後まで走り切って、「合格」の二文字を、皆さまの手中に収めてください。
なせばなる!
【編集部から】
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執筆者うださんの税理士試験 合格体験記
「なせばなる! 33年目の受験で官報合格!」