公認会計士 栗林利紗
こんにちは、“ギャル会計士おりさ”こと栗林利紗です。
まずは5月23日の短答式試験を受験された皆さま、本当にお疲れ様でした! 新型コロナウイルスの影響により12月の短答式試験が中止になったり、自習室が閉鎖されたりと環境変化が大きいなか、めげずにここまで乗り越えてきたこと自体が大きな自信になると思います。
論文式試験に進まれる方、次の短答式試験にチャレンジされる方、それぞれ状況は異なるかと思いますが、私の勉強法やメンタル術が少しでもお役に立つようでしたら嬉しいです。
前回の【キャリア編】はこちら。
毎日のやることを「見える化」する
論文式試験まで時間がなく、何から手をつければいいのかわからず、とても焦っています。
まずは、試験までの残り日数とやるべきことを「見える化」しましょう! そのうえで計画を綿密に立て、目の前のことに集中することが大切です。
「あれもこれもやらなきゃ」「試験までに間に合わないかも」と、不安と焦りがこみあげてくる時期かと思いますが、“パニックで何も手につかない”という状態に陥らないように、仕組みを作ることをおすすめします。
その方法として、試験までの勉強計画を綿密に立てることはとても有効です。
暇だとつい余計なことを考えてしまいますが、忙しいときって考える暇もないですよね?
私は、論文本番約5ヵ月前の模試で成績がまさかのD判定でした。勉強方法が悪かったからなのか、論文対策にあまり時間を割けていなかったからなのか、色々と考えすぎて原因がわからなくなり、3日間寝れなくなったことがあります。
「こんなんじゃまた1年受験生活が延びちゃうじゃん!」と思い、そこでまず、漠然とした不安を「見える化」してみることにしました。
具体的には、次の手順で行いました。
① 試験までにやっておきたいこと(テキスト3回転や答練3回転など)、それに必要なおおよその時間を書き出す。 ↓ ② 試験までの残り日数を計算し、それが現実的かを考える。ここで明らかに無理そうであれば、優先順位の低いもの(C論点など)は回転する数を減らすなど調整する。 ↓ ③ いつ何をやるか、具体的に手帳に書き込んでいく。 |
このように「見える化」することで、その日のやることだけに集中できるようになりました。
また、私は圧倒的に勉強量が足りていなかったので、試験までにやりたいことをすべて終わらせるためには、1日の勉強時間を増やさなければいけませんでした。
以下が、私の1日のスケジュールです。睡眠時間は確保しつつ、1日14時間勉強していました。
なお、週に1日、何も予定を入れない「調整日」を作っておくといいです。計画通りにいかないとパニックを起こしてしまうかもしれませんし、私は「調整日」を苦手な論点の復習日としても活用していました。
計画ができたら、あとは目の前のことに集中し、淡々とこなしていくだけです。問題を一つひとつ、本試験で出題された場合をイメージしながら、丁寧に。
そして、「もう見なくて大丈夫!」という答練は、次々にごみ袋に入れていました。「もう復習できないんだ」と思うと、より集中できるのでおすすめです。
(ちなみに小心者なので、そのごみ袋を捨てたのは合格発表後でした(笑)。)
受験生活のリズムだけはキープする
今回の短答がおそらくダメだったと思うのですが、すぐに次に向けて勉強をする気になれません。どのように過ごしたらいいでしょうか。
集中できなかったとしても、受験生活のリズムは崩さないことをおすすめします。
私は短答に2回落ちています。周りが論文に進むなか、自分はまた次の短答。悔しくて悔しくて、自然と涙が出てきたことを覚えています。
テキストなんて見たくもないし、もう受験すらやめてしまおうかとも思いました。しかし、気分転換に出かけても全然気がまぎれず、勉強していない自分に対して罪悪感が消えませんでした。
そのとき、「このままやめてしまったら、自分は一生、会計士に対してコンプレックスをもってしまうな」と思ったのです。そうして、再受験を決意しました。
やる気はすぐには戻ってきませんでしたが、とりあえず勉強の習慣を忘れないようにするため、毎日予備校には行くことにしました。正直、ずっと寝ている日も携帯ばかり見ている日もありましたよ(笑)。
ただ、そうしているうちに、「やっぱり絶対受かりたい」という思いがこみあげてきました。「最難関試験なんだから1回や2回で受からなくて当たり前、逆に自分なにか勘違いしてた?」という気持ちにまでなりました。
気持ちの切り替えには時間がかかるかもしれませんが、心残りがあるのなら、合格するまでチャレンジすべきだと思います。そのためにも、今はせっかくつけた勉強の習慣を崩さないことが大切です。
私は不合格を経験したことで、挫折からの乗り越え方を学び、それが今は財産となっています。もし今回がダメだったとしても、「あのとき落ちてよかった」と言える日がきっとくるはずです。焦らず一歩ずつ前に進みましょう。
直前期の不安はみんなが乗り越える道
メンタルを保つコツを教えてください。
悔いが残らないように勉強するほか解決策はありません。
直前期の不安は、結局は勉強でしか解消できません。
そんな私も、試験前かなり緊張するタイプでした。1週間くらい前から手は震えるし、心臓の音がバクバク聞こえてくるんです!
この緊張は大学受験や短答式試験でも経験していたので、だからこそプレッシャーに打ち勝てるように、「あんなに勉強したんだから大丈夫!」と思えるほど、自分に自信をつけることにしました。
試験勉強を始めた頃は、モチベーションを上げるために本を読んだり、会計士の先輩から話を聞いたりしていました。ただ、直前期になると「一刻も早く受かって人間らしい生活を送りたい!」という一心でした(笑)。
試験数週間前は文字を書きすぎて腱鞘炎になったり、緊張で食べ物が喉を通らなくなったりと、心身ともにボロボロでした。ですが、そのとき「これだけ勉強しても合格しなかったら、自分は会計士に縁がなかったと思えるな」と本気で思ったのです。
合格するためにみんなが乗り越える道です。不合格だったときに自分への言い訳をしないためにも、自分がもっている本気を出し尽くしましょう!
試験当日は目の前の問題に集中する
試験当日のアドバイスをください!
「できなかった問題はみんなもできていない」と言い聞かせ次の科目に集中しましょう!
当日は、途中で失敗したと思っても、最後の1問、1秒まで全力で向き合ってください。勝負は最後までわかりません。試験期間中は、どうしてもできなかった問題ばかり思い出してしまいがちですが、「自分ができなかった問題はみんなもできていない」と自分に言い聞かせましょう。
私は1科目目の監査論でしくじってしまい、「これまであんなに頑張ってきたのに!」と家に帰って大泣きしました。先輩に電話で励ましてもらい、なんとか残り2日を乗り越えたのですが、結果から見ると「落ち込みすぎだったな」と、今となっては思います。
できなかった問題が気になるのは、たくさん勉強してきたからこそ、他の問題ができたからこそです。次からの科目でカバーすればいいのです。最後まで諦めずにやり遂げましょう!
皆さんが実力を最大限に発揮できることを祈っております。
試験が終われば、いくらでもやりたいことができます! 私は試験終了1週間後からカリフォルニアに留学し、夢のラスベガスへ行くことができました。今が人生の踏ん張り時だと自分に言い聞かせ、最後まで乗り切りましょう!
〈執筆者紹介〉
栗林 利紗(くりばやし・りさ)
栗林利紗公認会計士事務所所長/株式会社Ri-speKt代表取締役/福島高専非常勤講師
2014年に公認会計士二次試験に合格し、有限責任監査法人トーマツに入社。監査事業部、アドバイザリー事業部を経て独立。
インスタグラム、Twitter(@cpa_risa)で会計士の魅力や勉強法について発信している。