担当編集者が教える!『財務会計講義』の読み方・使い方②


前回は、本書の優れた点をみてみました。

今回は、本書の具体的な使い方を考えてみましょう!

2.では、どう読めばいい?

いざ意気込んで1頁目から読んだものの、途中で挫折しないために、読み方のポイントをお話します。
(唯一無二のものではありません。念のため)

① 全体の構成とその意義をおさえて読むと効果的!

まず、本書の目次をみてみましょう。

<目次>
第1章 財務会計の機能と制度
第2章 利益計算の仕組み
第3章 会計理論と会計基準
第4章 利益測定と資産評価の基礎概念
第5章 現金預金と有価証券
第6章 売上高と売上債権
第7章 棚卸資産と売上原価
第8章 有形固定資産と減価償却
第9章 無形固定資産と繰延資産
第10章 負債
第11章 株主資産と純資産
第12章 財務諸表の作成と公開
第13章 連結財務諸表
第14章 外貨建取引等の換算

さて問題。
この中で、最も重要な章はどこでしょうか?

もちろんすべて重要ではありますが、特に重要と考えられるのが「第4章」

本書は、大きく分けて
第1章~第4章:総論
第5章以降:各論

という構成になっています。

そして、第4章は、財務会計の基本的な考え方が凝縮されており、第5章以降の内容と密接にリンクしています

したがって、第5章以降を読む際も第4章の関連する箇所をあわせて読んでいくのです。
これにより、基本的な考え方と各論のつながりがみえてきて、理解が深まります。
また、この読み方をすることで、基本的な考え方を理解すれば、かなり応用が利くようになります。
そして、むやみに暗記する内容・量も大幅に減らせますよ。

この意識のもとに、通読していくと非常に学習効果が高いと思います。

この読み方は、これまで本誌の基本書の読み方に関する多くの記事でも紹介されていますので(参考文献参照)、自信をもってオススメします!

② 簿記、連結がニガテな方は?

簿記がニガテ、という方。
特に会計士・税理士受験生は難しい問題ばかり目がいってしまい、なかなか実力がUPしない人も見られます。
そうした方は、3級レベルの簿記の全体構造が理解できていないことも多いですね。

本書の「第2章 利益計算の仕組み」は実は簿記の基本構造を解説しています。
26頁でその本質が復習できるので、ぜひ読み込んでみてください!

連結も同じ。
「第13章 連結財務諸表」を読み込んで(分量は68頁に凝縮されています)、その基本的考え方・全体構造をおさえた上で、計算問題を解いてみましょう。

幹の部分となる基本的な考え方をしっかりおさえることで、暗記に頼っていたこれまでの解き方から、理解したうえでの解き方=真の実力につながるでしょう。

3.よくある質問

ここまで本書の編集を担当してきて、読者の方々からさまざまな相談・質問を受けました。

たとえば、……
① 本書だけ読んでいれば、税理士試験に合格できますか?
② たとえば、退職給付は5頁、資産除去債務は2.5頁しか解説されていないが、これでは内容的に足りないのではないか?

などなど。

①については、Noですね。
1.でも述べたとおり、本書は財務会計の全体像を的確に解説する、というコンセプトですので、基本論点はカバーしているものの、カバーできていない論点もあります。
その点については、『新版 会計法規集』を併用してフォローいただくとよいと思います。
法規集の会計基準(原文)にあたることで、より深い理解が得られるでしょう。なかでも、各会計基準の本文に続いて示されている「結論の背景」を読み込むことが有益です。

理論の学習は会計法規集で

また、試験問題に対応するため、問題演習は欠かせません。
ですので、過去問、問題集などは解く必要がありますね。

なお、毎年編集部に、本書+法規集+会計人コース(問題集・過去問)だけで税理士試験・財務諸表論に合格しましたという連絡を多数いただきます。
ですので、理論はこの3点セットで学習するのも有効だと思います。

②の解答も①と同様です。本書の主眼は体系を理解することにあるので、細かい論点等は『新版 会計法規集』などで原文をみて補足していただければと思います。そのような細かい論点は、会計基準を補足するために設定される「適用指針」でとりあげられており、それに関連する「設例」を例題として活用すれば、会計基準の細かい論点も十分に習得できるでしょう

むしろ、退職給付や資産除去債務についても、全体像のなかでのウェートや、コアとなる考え方と論点は、本書でとりあげられている程度だと理解していただき、今後の学習に活かしていただくほうが、有益だと思われます。

*なお、『新版 会計法規集』の使い方は、以下をご覧ください。
理論征服の救世主『会計法規集』の読み方・使い方1

理論征服の救世主『会計法規集』の読み方・使い方2

理論征服の救世主『会計法規集』の読み方・使い方3


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