税理士試験受験生にも実務家の方にも、ぜひ読んでもらいたい新しい租税法の教科書が出版されたので、ご紹介します。
「税」を通して社会のあり方を考える、 『ホームラン・ボールを拾って売ったら二回課税されるのか』(浅妻章如著、中央経済社刊)です。
本書の著者は租税法学者。
著者は、はしがきで本書について次のように説明しています。
・本書は、法学の研究者である著者が、二重課税について考えるきっかけを読者に提供したい、という動機で書かれています。
・本書のテーマに二重課税を選んだ理由は、百年経っても租税法学の中で共通了解が達成されそうにない難題である、と私が予想しているからです。
・本書によって租税法の面白さをお伝えできたら嬉しいです。
本書を読まれた方は、本書で披露される著者の思考から、「税の面白さ」を感じ取られるに違いありません(その思考の一端は下記〈目次〉の構成からうかがい知ることができます)。
〈目次〉
第1章 ホームラン・ボールを拾って売ったら二回課税されるのか?
第2章 生命保険年金受給権に相続税を課すのに、さらに所得税も課すのか?
第3章 公平と中立性との違い
第4章 所得税があるのに相続税も課すのはおかしいのではないか?
第5章 家族を扶養したら、寄附金と同じように所得を分割できるのか?
第6章 【利子に課税しないほうが中立・公平である】という考え方は金持ち優遇とは別
第7章 資産課税も利子課税と同様の二重課税を含んでいる
第8章 法人所得課税と個人所得課税の二重課税を調整する方法はない
第9章 今年黒字なのに税金を納めない輩がいるのは、けしからん?
第10章 消費税(付加価値税)の納税義務者を規定しても負担者は分からない
第11章 外国で納めた税額について日本で二重課税を救済する
第12章 貧しい人に低価格で保育や教育を提供すべきか?
第13章 才能を測定できるなら才能に課税すべきか?
そして、本書が読者の方々にお伝えする「税の面白さ」は、現在の税のしくみの何が問題か、どのような税のあり方が最善かという、最適課税論という高次元の税に対する興味にまで、みなさまをいざなうことでしょう。
本書は会計士・税理士試験にすぐに役立つものではありません。しかし、会計人コースWebをご覧のみなさまが、職業会計人となられたとき、必ずや価値のある「税に対する知見」を本書から得られると思い、オススメいたします(お買い求めはこちら)。
2020/02/18追記
上記にご紹介している弊社ホームページでは、お陰様で品切れ中となっています。
全国の大手書店さんでは販売しておりますので、ぜひ書店さんにてお買い求め頂けますと幸いです。