【会計士合格体験記】USCPAから公認会計士へ。やらないことを決め、自分が納得する方法で学習。1年間で5→8合格達成!


ならた(30代・受験専念)

【学習情報】
・学習スタイル:CPA会計学院(通信)
・受験歴:短答式(令和6年5月)→論文式(令和6年8月)
▶サムネイルは本人作成のExcelの論点管理表

はじめに

個人的な方針から、予備校のカリキュラムを外れる学習方法を採らざるを得ませんでした。
決して誰にでも推奨出来る方法ではありません。

一方で、自分の頭で考えてやること・やらないことの取捨選択をする、という考え方は合格に必要な要素の一つであると考えていますので、この点について伝わりますと幸いです。

USCPAとして監査法人で働きながら、JCPAへの挑戦を決意

元々は働きながらキャリアアップを実現するためにUSCPAに挑戦し、合格後から監査法人で勤務していました。
監査法人での勤務にはやりがいを感じる一方で、同僚の大半は日本の公認会計士資格保有者であることから、段々と自分も公認会計士試験に挑戦してみたいという意欲が湧くようになりました。

働きながら長期的な計画を立てて挑戦するか、休職して短期集中で挑戦するかを検討した結果、監査法人の年度が切り替わる7月から翌年8月の論文式試験合格を目指して休職し、公認会計士試験の学習に専念することにしました。

全体像の把握を最優先にした短答1回目

休職して公認会計士への挑戦を決心した2023年の年初に、予備校選びから始めました。

上記の通り7月からしか学習に専念できない一方、どうしても1年後の論文式試験に受かりたいと考えたものの、7月から同じ年の12月までの半年間で短答式試験の受験に備える方法はどこの予備校からも推奨されませんでした。
仕方がなく学習を開始した年の12月短答合格を目指すカリキュラムに無理矢理載せるため、2月に形だけ入校し、その年の6月までは仕事に集中していました(後のことを考えると、ここで忙しいなりにわずかでも計算問題を解く習慣をつけておけばよかったと考えています)。

7月に学習を開始した頃には、すでに標準のカリキュラムから数ヶ月遅れている状況でした。
本来、学習方法としての王道は一個ずつ論点の完成度を高めてから次の論点に進むことですが、私の場合財務会計論を例に取ると、予備校のカリキュラム通りにやると序盤に履修することとなる、売価還元法が苦手であることに早々に気がつきました。

一方、多くの人が苦手意識を感じると言われている論点の中でもさほど苦手意識を感じないものがあったので、学ぶ順番に対し比例的に難易度が上がるわけではないこと、また一般的な受験生の得意・不得意だけで自分の課題を決めつけてはいけないと感じました。

それに加え、一部の範囲が手付かずのまま試験に臨んだところで、その範囲が出題され失点したところで、勝手に自分の中で「ここは学習さえ追いつけば取れる」と、学習戦略において変な皮算用をしてしまうと考えました。反対に一度手を付けたからには、「まだ学習が追い付いていない」という言い訳が一切できないため、良い意味でのプレッシャーになるとも考えました。

したがって、論点の完成度を積み上げていくだけでなく、早々に試験の全体像を把握し、自分の得意・不得意を見極めてから、試験本番から逆算して考えることを意識しながら個々の論点の完成度を高めていくことが受験戦略上良いと判断しました。

具体的な学習の進め方としては、計算科目と理論科目で進め方を大別しました。
計算科目は講義と演習が同程度の割合で取り組めるスピードで進め、理論科目については全範囲を対象とした問題演習に少しでも早く着手できるよう、講義を一気に視聴する進め方を採りました。

しかし半年という期間では全ての計算論点にじっくりと向き合う時間が取れず、結果、1回目の短答式試験では計算問題が大きく足を引っ張り不合格でした。
一方で、理論問題では十分に戦えることがわかり、最初に全体像を把握した上で満遍なく完成度を高めていく戦略自体は自分に合っていると実感ができました。

やること・やらないことを自分で決めて臨んだ短答2回目

1回目の短答式試験受験直後に分析をするまでもなく、敗因は明らかな計算力不足でした。

論点ごとの完成度もそうですが、短答式試験当日に「自分は努力したんだから絶対受かる」という強い気持ちを持つに足りない演習量しかこなせず、どんな問題が来るのか不安なまま本番に臨まざるを得ませんでした。

5月の短答式試験本番までには「やるだけのことをやった」と胸を張って受験出来るよう、十分な演習量をこなすことが気持ちの面で重要であるとは感じていましたが、公認会計士試験の範囲は膨大で、全てを完璧にするのはなかなか難しいです。

そこで、私は「やりきった」と感じられるようなスケジュールを立て、取り組むことにしました。

まず、計算に特化したスケジュールを立てることです。自分が納得いく完成度に到達するまで、とにかく計算問題の演習に特化する期間を決めました。
決めた期間の間は極力理論科目には触れず、どうしても計算している論点の理論が気になったらそこだけを確認しにいくようにしました。
この方法により、早く計算を仕上げなくてはいけないというプレッシャーの中で集中力を保てただけでなく、理論の想起学習にもなり、結果的に理論の学習にとってもプラスになりました。

次に、やると決めた論点は漏れなくやれるようスケジュールを立てました。
答練・模試・過去問演習を繰り返していくうちに、「出来るか自信が無いけれどとりあえずその場の判断で手を出してみる」計算問題があることに気づきました。
こういった中途半端な完成度の論点があることが、試験を運任せのものと捉えてしまう要因でないかと考えるようになりました。
そこで、論点ごとに自分が納得できる完成度に至っているかを判断しました。納得できる完成度に至っていない論点が出題され、手を出したくなっても、キッパリと解くことを諦めることを自分に約束し、「本番になって特別なことはやらない」という状況を作りました。
演習の後に解説を見て、「手を出せば解けていたのではないか」という悔いが残ったら、二度と同じような思いをしないよう、その論点の強化を重点的に行いました。

一度手を出すと決めた論点は、漏れがないようエクセルの表で演習日と出来具合の管理を網羅的に行いました。

模試の評価は最後まで芳しくありませんでしたが、悔いなくやることを心掛けた結果、本番では何とか力を出し切り、合格することができました。

2回の短答式試験の教訓から学んだ論文式試験

5月の短答式試験から8月の論文式試験までは本当に時間がなく、何か特別なことをしないと受からないのではないかとも考えがちです。

しかし、科目ごとに振り返ってみると5月の短答式試験を勝ち抜くまでの基本戦略は、論文期も変わらないと感じました。
例えば、会計学の計算問題はどうしても他の論文科目を優先する必要があることから後回しにしがちですが、後回しにした上で、答練で悔いが残ったら徹底的に復習することを心掛けました。これは2回目の短答式試験から学んだことです。

次に論文科目について触れます。
経営学は、1回目の短答式試験で実践した科目の全体像の把握と、2回目の短答式試験で実践した特化期間が活きました。
一般的に後回しにされがちな経営学の理論ですが、一般的に後回しにされやすいからこそ、学習が追い付いていない範囲に対して変な皮算用をしてしまうのではないかと考えました。数日かけてある程度納得のいく完成度に到達するまで、他の科目には一切触れず、一気に講義を消化し全体の完成度を少しずつ高めていきました。

租税法も最初は科目の全体像を把握するために一気に講義を消化しましたが、残された時間の中で全体の完成度を高めていく方法は限界があると感じました。
そこで、まずは法人税を中心に固めていき、所得税と消費税は答練で悔いが残るまではあまり触れずに捨てていきました。
演習を繰り返すうちに所得税に手を出したくなってきたので、論文式試験本番1ヶ月前から一気に所得税の完成度を高めていきました。
論文式試験本番後の講評では消費税法が比較的簡単だったとのことでしたが、法人税法と所得税法についてある程度自信をもって取り組めたので悔いは残りませんでした。

全体像を把握する1回目の短答式試験の学習方法と、やること・やらないことを明確にした2回目の短答式試験の学習方法が活き、何とか論文式試験に備えることができました。

食事から試験本番に備える!

受験勉強の合間のリフレッシュ方法は人それぞれかと思いますが、試験当日(論文式試験の場合は3日間)を乗り切るための取り組みは、時間の制約上どうしても出来ることが限られてしまいます。

私の場合、勉強以外に意識してきた取り組みとして、食事面においても「本番になって特別なことはやらない」ことを心がけました。

短答式試験時には模試のたびに写真のゼリータイプの補食セットとコンビニおにぎり2つを用意し、食べるタイミングをいつも同じにすることで、試験中思わぬ空腹や眠気を感じないように心がけました。

論文式試験の模試でも、論文式試験期間中に宿泊するホテルの近くで食べられる朝食と全く同じものを3日間食べ続け、当日の流れを完璧にシミュレーションすることで、5月の短答式試験後1回しかない模試の機会をフル活用し本番に備えました。


関連記事

ページ上部へ戻る