
Y.G
(30代、会社員)
〈受験情報〉
学習スタイル:専門学校(通信)
合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、国税徴収法(令和6年官報合格)
▶トップ画像はY.Gさんが利用していた法人税法の理論マスター(本人提供)
税理士を目指したきっかけ
私は企業の経理に所属していますが、業務において、組織再編、連結会計、国際会計、国際税務等、専門性の高い会計・税務の論点を取り扱うことが多く、体系的かつ専門的に会計・税務の知識を習得したいと考えたことでした。また、学生の頃から父のアドバイスも受けていたのですが、自分の人生において、何か一つ強みを得たい、という思いもあったため、税理士試験に挑戦しました。
結婚、仕事、家事、育児と並行しながら計7回受験
税理士試験は計7回受験しましたが、私生活の転機と重なり、かなり大変でした。
まず、簿記論から勉強を開始したのですが、同時に、妻と結婚しました。1月から勉強を開始し、その後、引っ越し、結婚式、新婚生活、共働き生活と、かなりバタバタしていましたが、運よく一発で合格できました。
次の年、財務諸表論を勉強し始めたのですが、一時期、体調を崩し、入院もしたため、その年の受験は諦めかけましたが、入院中も勉強をしながら、何とか合格することができました。
次の年は法人税法の勉強を開始しました。
喜ばしいことに、妻が妊娠をし、その年に第一子が誕生。とても喜びながらも、初めての子育てに翻弄されながら、通勤時間や赤ちゃんが寝ている間等の数分のスキマ時間をフルに活用し、勉強しました。
それでも勉強量が不足しており、その年は残念ながら50点代で不合格でした。
翌年も仕事、家事、育児との両立で忙しかったですが、再度、法人税法にチャレンジし、合格。
受験期間中、妻と子供が大いに協力してくれたこと、本当に感謝しています。
各科目の難易度
自身にとって難しかった順番は、法人税法、消費税法、国税徴収法、簿記論、財務諸表論でした。
中でも法人税法は群を抜いていました。
主な理由はボリュームが圧倒的に多いこと、受験生のレベルが相応に高いことです。
5科目合計で5,600時間程度勉強しましたが、おおまかな内訳は、法人税法が4割、消費税法が3割、国税徴収法が2割、残り1割が簿財です。
税法科目はとにかく難しかったです。
税法のなかでボリュームの少ない国税徴収法が簡単かと言うと、全くそんなことはなく、とっつきにくい内容でかつ、最後の科目というプレッシャーもあり、非常に苦労しました。
勉強方法
勉強方法は以下です。
人によって異なると思いますが参考になれば幸いです。
本試験で実力を出せるようにする
これが最も大事ですので冒頭に書くのですが、模試でS判定でも本試験で緊張してミスをすれば不合格になります。
本番で実力を発揮するために、以下を重視しました。
①模試等で試験の雰囲気に慣れる
②本試験のシミュレーションをする(難問が出たら必ず飛ばす等、ルールを決めておく)
③本試験前日は早めに寝て、頭をフル回転できるようにする(会場近くのホテルに泊まったこともある)
④空欄(=0点)は避ける(必ず何か書く)
⑤採点者にわかりやすく伝える書き方をする(結論から書く、ロジックを明らかにする、接続詞や改行を意識する)こと
理論マスターを回し続ける
365日、理論マスターをそばに置き、3分のスキマ時間でも毎日読んでいました。効率的に暗記するために、以下を心掛けました。
①必ず理解する(丸暗記はしない。不明点は講師に質問する等)
②書かずに読む(時間を削減する)
③計算をある程度こなしてから理論を暗記する(頭に入りやすい)
④別ノートは作らず、理論マスターにメモ書きし情報を集約すること
手を広げすぎない
予備校の授業、テキスト、問題集をやるだけで、十分に合格できます。
実質競争試験であり、基本論点ができれば合格できる試験なので、マニアックな論点は深追いしないのが得策です。
計算はミスノートを作り、とにかく繰り返すことで、基本をおさえることを意識しました。
ライフスタイルに応じて、選択科目を決定する
自身の場合、結婚、子育て等の状況から、徐々に忙しくなっていくことが分かっていたため、「難関科目から受験する」と決めていました。
結果的にはこの選択が功を奏しました。
モチベーションの保ち方
受験期間中、税理士試験を諦めようと思ったことは一度もありませんでした。
モチベーションを高く保つには、税理士試験を目指した頃の思いや、合格した後のイメージを明確に持つこと等が大事だと思います。
また、家族のほか、会社の上司が応援してくれたこともありがたく、感謝しています。
合格後の感想
非常に嬉しいのはもちろんなのですが、「やっと解放された」、という気持ちも強いです。
仕事、家事、育児も多忙でしたので、受験期間中は苦しいことも多々ありました。
特に試験直前はプレッシャーが極めて大きかったです。
それでも無事、合格者となれたのは、家族の協力のおかげで、本当に感謝しています。
仕事、家事、育児等と両立しながら、過酷な試験を乗り越えたことは、大きな自信になりました。
また税理士試験に合格したことで、人生の選択肢も色々と広がったと思います。
そして会計・税務の知識を体系的・専門的に習得できたことは、仕事にも活かせており、大きな財産となりました。
税理士試験にチャレンジして良かったと心から思います。
今後の目標
今後も、これに慢心することなく、引き続きスキルアップを図っていきたいと思っています(仕事、家事、育児との両立をしながら)。
これまで、税理士試験のほか、中小企業診断士試験、簿記1級、証券アナリスト等に合格していますが、これらの知識と税理士試験で得た知識を掛け合わせながら、さらに、国際会計、所得税、相続税、英語、人事関連のスキルアップに努め、自身の付加価値や会社への貢献度を高めていきたいと思っています。
最後になりましたが、お忙しいなか、この記事を読んでいただいた読者の皆さま、ありがとうございます。
少しでも役に立つ情報があれば幸いです。税理士試験は過酷ですが、得るものは非常に大きいです。
皆さまの試験合格を祈念いたします。
【こちらもオススメ!】
合格体験記の一覧