【税理士合格体験記】県庁職員からキャリアチェンジ!1年でも早く税理士になるため酒税法を選択


伊藤 世哉(31歳/税理士法人勤務)

<受験情報>
合格科目と合格年、受験回数:簿記論(2022年度・1回目)、財務諸表論(2023年度・2回目)、酒税法(2024年度・2回目)
学習スタイル:TAC(通信・上級コース)、大原(通信・直前コース)

県庁職員から税理士を目指す

大学卒業後、県庁職員として4年間勤務していました。
当時は特にやりたいこともなく、「安定しているから」という理由で就職を決めました。
しかし、組織での働き方が自分には合わず、不満を抱えながらも行動に移せない日々が続いていました。
何か変えたいと思い、計算が得意だったことを活かして簿記の勉強を始めたのが転機です。
簿記2級を取得後、勉強内容に抵抗がなかったことと独立ができる職業という点に魅力を感じ、税理士を目指しました。

酒税法を選んだ理由

総勉強時間が少ない

酒税法は、他の税法に比べて合格レベルに達するまでの勉強時間が少ない科目です。
目安としては消費税法の1/3程度の勉強時間で合格を目指せます。
私は、1年目に300時間を費やして57点、2年目に200時間を費やして合格しました。
不合格で再受験となった場合でも、短期間で合格レベルに引き上げられる点が魅力的でした。

理論暗記が少ない

酒税法は暗記すべき理論が約15題。消費税法の約50題と比べれば圧倒的に少なく、暗記が苦手な私にはピッタリでした。
暗記の苦痛で勉強を投げ出してしまう事態を回避できたことが、酒税法を選んでよかった理由のひとつです。

運要素を減らせると考えた

「ミニ税法は満点勝負だから運要素が大きい」と耳にして最初は不安を感じていました。
しかし2年間の受験を通して、ケアレスミス対策や解き方の工夫次第で運要素を減らすことができるということがわかりました。

合格するために行ったこと

科目選択にこだわった

私は「実務で役立つか」よりも「効率よく合格を目指せるか」を重視し、酒税法を選択しました。
受験する科目を酒税法に絞り、それとは別に実務の勉強として法人税法や消費税法などの講義を受講することが、自分にとって最善の選択だと思ったからです。
周りの意見に流されることなく、自分の優先順位や目指す方向をしっかりと考えて選んだことが、後悔のない結果につながりました。

ケアレスミス対策を徹底的に

酒税法のようなミニ税法は1つのミスが命取りになることが多いため、ケアレスミス対策に最も力を注ぎました。
具体的にはミスノートを活用して対策しました。

ミスノート

ミスノートを作る際のポイントは「頭に浮かんだことを感情のままに書く」ことです。
綺麗な言葉で言い換えたりせず感情のままに書くことで、何に注意すべきなのか、どういう場合にミスをしやすいかが明確になります。

例えば、掲載した写真のピンクマーカー部分では「こすという単語を見落とした」という1つのミスから、それに付随して注意すべきポイントが浮き彫りになっています。
ミスを軽視せず、1つひとつ丁寧に向き合うことで、同じミスを繰り返さない力がついていきました。

書くスピードを上げた

時間に追われる試験科目においては「他の受験生より早く書く」ことで優位に立てると考えています。
書く時間を減らして判断する時間に充てることでミスをする可能性が減り、また解き終わらないボリュームの問題に直面しても焦らず対応できるためです。

書くスピードを上げた方法は次の2つです。

・「字を小さく書く」:1画が短いため、書く量が多いほど効果的。
・「画数を減らす」:焼酎(22画)を5画、清酒(21画)を6画に短縮するなどの工夫。

画数を減らす工夫

このように解き方を工夫した結果、試験本番では終了10分前に解き終え、見直す時間を確保できました。

心構えとモチベーション維持

優先順位を明確にした

「1年でも早く税理士になる」という目標を常に軸にしていました。
最初は働きながら3科目の合格を目指していましたが、受験2年目に仕事と勉強の両立が難しくなり、直前期に退職を決断をしました。

お金の面で不安になる時期もありましたが、この軸をぶらさなかったことが合格につながったと感じています。

目標を再確認した

モチベーションが下がったときには、税理士の方々のブログを読み、自分の目指す方向を再確認しました。
「自分が将来やりたいことを実現するには、税理士試験に合格するしか道はない」と言い聞かせることで、目の前のやるべきことに集中できました。

受験生活

1年目:簿記論○、財務諸表論×(税理士法人勤務)

1月から簿記論の勉強を開始。3月末に県庁を退職し税理士法人へ転職。
平日の勉強時間は多いときで計5時間。
内訳は通勤時間に1時間、会社の昼休みに50分間、仕事終わりにカフェで3時間。
休日の勉強時間は、図書館やカフェなど場所を変えながら8時間。
勉強時間の合計は簿記論に900時間、財務諸表論に100時間程度

2年目:財務諸表論○、酒税法×(直前期に退職)

仕事が忙しくなり試験勉強はほとんど手付かずで、実務の勉強をしていた。
このままじゃまずいと思い、思い切って5月末に退職。
退職後は貯金を切り崩しながら、1日6時間勉強。
勉強時間の合計は財務諸表論に300時間、酒税法に300時間、実務の勉強に200時間程度。
試験後は、会計事務所でアルバイトをしながら消費税法と法人税法の受験生向け講座を受講し、実務に役立つスキルを磨く。

3年目:酒税法○(大学院+アルバイト)

3月までは引き続き消費税法と法人税法の講座を受講。
4月から酒税法の勉強を開始。
週4日の大学院と週2日のアルバイトをしながら、1日3時間勉強。
勉強時間の合計は酒税法に200時間、法人税法と消費税法に200時間程度。
大学院(修士1年)に費やした時間は4月~7月の4ヶ月間で250時間程度(授業は週13.5時間)。
試験後は、税理士法人へ入社。

おわりに

私は「1年でも早く税理士になる」という目標を軸としていたため、30歳を超えてからの転職や無職期間も経験しました。
簡単な決断ではありませんでしたが、今ではその選択を肯定できています。
税理士受験生の方は「選んだ道を正解にする」という強い気持ちを持って、自分の軸を大切にしながら突き進んでいただきたいです!

最後までお読みいただきありがとうございました。


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