【編集部より】
本を読むのにぴったりな季節。「何かオススメはないかな~」と探している人もいるのではないでしょうか。
そこで、本企画では、実務家などの読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「読書の秋の課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を順不同で掲載・不定期)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
今回の記事では、 すらじろうさんに課題図書をお薦めいただきました!
今回は「読書の秋」に、会計系受験生や会計業界で働く方々に読んで欲しい本というお題で執筆の機会をいただきました。そこで、自分らしく、会計とアニメをテーマに皆さんに読んでいただきたい本を3つピックアップしました。
オススメ書籍①『会計のヒストリー80』(野口昌良・清水泰洋・中村恒彦・本間正人・北浦貴士編、中央経済社)
会計系資格の試験問題には必ず解答があります。
これ自体は当然のことなのですが、その結果、ビジネスの中での会計処理にも必ず明快な答えがあることが無意識に刷り込まれるように思います。
本書は現行の会計ルールや概念がどんな流れでできたのかを項目別に見開きで解説したものです。
なぜ、私が本書を選んだのか。それは会計基準等の変遷を知ることで、制度上の会計処理がその時々の状況を受けて決まるし、時を経て変化していく、つまり、きれいな1通りの解答ではないということがわかるからです。
普段の企業内の会計処理の検討も似ているところがあると感じています。まず、会計処理の対象となる事実に対してどのように光を当てるのか、浮かび上がった事実に対してどの会計基準等を当てはめていくのか。そして社内の状況も加味すると、どういった会計処理が良いのか。
こうしたプロセスの中で会計処理に複数の解答があり得るというのが、むしろ会計処理の奥深さを感じて、私にはちょっと楽しいです。
解答を追い求めるため視野が狭くなりがちな資格勉強に取り組むにあたり、本書を読むことで、少し違う角度から勉強内容を見られるようになると嬉しいです。
オススメ書籍②『図解入門業界研究 最新アニメ業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版]』(谷口功・麻生はじめ著、秀和システム)
コロナ禍以降、テレビや動画配信プラットフォームでアニメを見る機会が増えたという方は読者の皆様の中にもいらっしゃるのではないかと思います。このような時代の変化を受けて、テレビアニメの本数も一昔よりも増えており、ヒットしている映画の多くもアニメ映画が目立っています。
とはいえ、ほとんどの皆様にとってアニメはあくまで見るもの。アニメ制作の状況まで詳しく把握されている人は少ないのではないかと思います。
このアニメをビジネス面から見てみると、詳しい人なら以前は赤字が多く厳しい世界という印象があったかと思いますが、近年では「日本の輸出産業」とも呼ばれるようになるなど、ビジネスとしての注目度も急速に高まってきました。
さて、アニメはどうやってお金を稼いでいるのでしょう? テレビの放映料? 映画の興行収入? 動画配信プラットフォームからの収入? ブルーレイ・DVDの販売収入? アニメを使った商品からの収入……? 意外とわからないものですよね。
本書はタイトルの通り、こうしたアニメビジネスの状況、その業界動向を一通り記述してある本です。本書は項目ごとに内容がうまくまとまっており、アニメビジネスの全体像を理解できる数少ない本なので、知らない業界を知るための入り口として是非読んでいただきたいです。
また、会計系の皆様であれば、その裏側でどんな仕訳が切られているか想像してしまいますよね!? そんな人には、電子書籍限定なのですが、『【業種別アカウンティング・シリーズ】9 コンテンツビジネスの会計実務 業種別アカウンティングシリーズ』(有限責任 あずさ監査法人、中央経済社)が参考になるかと思います。こちらもどうぞ!
オススメ書籍③『オタクを武器に生きていく』(吉田尚記著、河出書房新社)
X(旧Twitter)上では、会計士受験生、税理士受験生や試験合格直後の方の今後のキャリアの悩みを見かけます。こうしたキャリアに関するお悩み。資格を持っていると、その分可能性が生まれ、かえって悩みが増えるのかもしれません。
しかし、「キャリア」は、その意義からすると過去に何をやってきたかに重点があり、将来どのような道を選ぶかはもっと自由なはずです。自分自身、キャリア上の選択の際には「自分にとって面白いかどうか」で決めてきたような気がします。
本書はアニメ・マンガ・アイドルが好きなアナウンサーが、こうした業界で働く人のキャリアを取材した本です。日本公認会計士協会制作「転校生は公認会計士!」で主役の声優を務めた竹達彩奈さまが声優となるまでの貴重なお話など、会計系とはちょっと違うキャリアの作り方を知ることができます。キャリアというものの視野を少し広げる意味で本書はいかがでしょうか。
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以上、3冊を選んでみました。仕事の中で会計処理を考える上では、その時の制度の状況、業界固有の事情といったことが大切になりますし、また、資格をとってからのキャリアというのも気になるところです。今回、これらについて、アニメを1つの切り口に紹介してみました。会計系受験生や会計業界で働く方々にぜひ観ていただきたいアニメはまた別の機会に!
<執筆者紹介>
すらじろう
新卒から一貫して会計関係のお仕事をしてきました。何度か転職をする中で、月次決算、開示、原価計算、予算管理などの経験をしてきました。この数年は、計算すると1年間に1000話以上テレビアニメを見ており、最近では「アニメと会計に詳しい人」として知られているようです。
・Xアカウント(@sura_jiro)