働く母
【編集部より】
公認会計士試験では5月短答式試験が終わり、合格発表を来月に控える中、8月論文式試験に向けて一息つくまもなく論文対策をスタートさせています。いわゆる「5→8合格」(5月短答・8月論文に合格)を目指し、ここからの3ヵ月を1日も無駄にすることなく過ごせるかが結果につながるという厳しい戦い…。
そこで今回は、昨年の公認会計士試験で5→8合格を達成した社会人合格者の「働く母」さんに、5月短答後の取り組みにフォーカスを当てて教えていただきました! 社会人受験生はもちろん、論文式を受験予定の方にとって、学習戦略のヒントが満載です。
▶︎「働く母」さんの合格体験記「学生時代の夢にリベンジ!「働く母」が家族と一緒につかんだ5→8合格‼」
短答式試験の手応えと自己採点結果
試験の手応えとしては「おそらく大丈夫だろう」という感じでしたが、自己採点の結果は399点(79.8%)と、思った以上に取れていました。マークミスさえなければボーダーは超えていると思われたので、合格発表まではそれなりに落ち着いて過ごせました。
とはいえ、時間ギリギリだった管理会計で最後のマークチェックができなかったのが若干不安で、合格発表までは常にうっすら「お願いだからマークミスしていませんように…!」と祈っていました。
まずは論文式試験までの方針作成と時間の確保
最初に予備校のガイダンスを試聴し、科目ごとの方針を立てました。私の場合、短答式前は経営学と租税法に手をつけず、短答科目のみ論文式と並行して学習する形で進めていました。したがって、さしあたり経営学と租税法の講義消化が最優先でした。
このあたりは短答前にどの科目をどこまで進めていたかによってやるべきことが異なると思いますので、進め方に迷いがある場合は講師に相談するなどして固めていくと良いと思います。
また、社会人の場合は「学習時間の確保」も重要な課題です。私もこの時期は特に重点的に、有給休暇取得(合計で7日間程度)、夫の協力、ベビーシッターの依頼などで可能な限り学習時間を確保しました。
5→8は時間が足りなくて当然ですが、あとで振り返った時に「やれるだけのことはやった」と思えるように臨むとよいのではないかと思います。
■スケジュール管理に用いていた予備校の日程表
(左端の列に1週間の受講予定、日毎の列にその日の受講予定を書き込み、終わったものに黄色でマーカーを引いていた)
論文式試験に向けての心構え
私は長期的に根気良く努力を続けることが苦手なので、今回は科目合格に絞って残りの科目を翌年受けるという戦略をとることは考えられませんでした。また、家族にもかなり協力してもらっていたので、あと1年同じことを続けるというのはかなり負担を強いてしまうと感じていました。なので、絶対に総合合格したかったですし、「ここまで来られたのだからそれが絶対に可能である」と自分に言い聞かせていました。
それでもしばしば不安になり、夫に「だめかもしれない…」と弱音を吐くことも。そんな時は、私以上に私を信じてくれている夫(少なくとも、私がそう思えるよう振る舞ってくれていた夫)が「またまた〜、大丈夫でしょ!」といつも笑い飛ばしてくれて、単純な私は「そうだよね!! いけるいける」とまた自分を奮い立たせていました。
6月末の模試を目指し、経営学・租税法を突貫工事
短答科目は論文を見据えた学習を並行して行っていましたが、経営学と租税法は手付かずでした。まずは6月末から7月頭の3日間で実施される論文式の模擬試験を目標に、経営学と租税法の講義を急ピッチで進めていきました。
短答式試験後に3日間休みを取り、重点的に学習を進めることで勢いをつけました(本当は5日間休む予定だったのですが、短答式試験の直前になって知識の穴が不安になり、うち2日は短答前に回しました)。
経営学の速習講義が10コマ、租税法の速習講義が15コマで計25コマあったのですが、初めの3日間で7コマ終わらせたことで、少し気持ちに余裕ができました。その週は週末も含め13コマの講義を消化できたため余裕ができ、その後は週4〜5コマくらいのペースで進めていきました。消化するのが手一杯で、特に租税法は演習不足でしたが、なんとか模試を受けられるレベルまで持っていくことができました。
模試後は未消化の答練で演習&論証のインプット
短答直前期以降の論文答練は未消化だったので、この時期に可能な限り消化し、演習を重ねていきました。明らかに学習時間が足りていない経営学と租税法はもちろん、監査論と企業法の論述についても演習不足は明白なので、結果が悪くても気にしないようにしていました。
実際、監査論と企業法の答練ではD判定かE判定しか取れたことがなく、経営学は一度だけB判定を取れたもののそれ以外はC〜E判定、租税法は全てC〜E判定という感じでした。
また、各科目の理論の論証のインプットも足りていなかったため、スキマ時間にテキストを見ては論証の暗記、まとまった時間をとれる時は答練消化という感じで進めていきました。
論文模試は総合C判定
論文模試の結果が出たのは7月17日でした(私の受験時)。結果は、総合でC判定。科目別の判定では、監査論A、租税法D、会計学午前C、会計学午後C、企業法C、経営学Dでした。
前年度の論文模試のデータによれば、模試で私の得点率(50.50)を取った人の66%程度が本試験に合格しているとのことでした。
私としては、C判定が取れたのは大きな自信になりました。明らかに租税法と経営学が足を引っ張っている一方、この2科目については模試からの2週間強で確実に伸びていると思えたため、「このペースで学習を進めれば確実に合格できる」と心から信じていました。
論文式試験直前までの過ごし方
全科目の論証についてインプットの繰り返しと、経営学の理論の暗記を進めました。
昔から暗記がとにかく苦手なのでしんどかったです。また、答練の結果を確認し、できていない部分の復習も並行して進めました。
SNSとの付き合い方
私の場合、SNSを通じて、同じ道を歩んでいる方達と励ましあったり、「みんな辛いんだな」と慰められたり、ちょっとした思いを吐露したり決意表明したり、結構救われました。
ただ、あまり深入りしてしまって学習に差し障っては元も子もないので、適度な距離感を保てない場合はいっそきっぱり離れるのも1つの手段かと思います。
5→8を目指す方へ
何度も心が折れそうになる時があるかもしれません。私もそうでした。みんなそうだと思います。
とにかく、最後の最後まで諦めないで頑張ってください! 不恰好でもなんでも、受かればいいんです。
合格への1点1点をもぎ取るつもりで食らいついてください。応援しています!!
<執筆者紹介>
働く母
1児の母。会社員。四十代を目前にした2022年、二十代で一度諦めた会計士試験にまさかの再挑戦を思い立ち、CPA会計学院で通信コースの受講を開始。家族の協力を得ながら、およそ1年半の学習期間を経て2023年8月に公認会計士試験論文式試験合格。現在は2024年の修了考査受験を目指して補習所の短縮スケジュールと格闘中。
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