【税理士合格体験記】30歳を機に働きながらチャレンジ! 前TBの使い方を工夫して簿財W合格


ぱんな
(上場会社経理(正社員)、30歳)

<受験情報>
・合格科目:簿記論・財務諸表論(2023年)
学習スタイル:資格の大原(通学)
▶トップ画像は愛用していた電卓とタブレット(本人提供)

「お客様に寄り添いたい」という思いから、税理士試験にチャレンジ

税理士試験の受験を考えたのは、2022年の初夏「もうすぐ30歳になるけれど、自分はこのままでいいのだろうか」と考えたことがきっかけです。

企業の経理部に所属して、休日は趣味のテニスに明け暮れていましたが、「経理業務はいずれ AIに奪われる」と耳にすることもあり、より専門性を磨かなければならないと思うようになりました。

いろいろ資格がある中で、「税理士」を選んだ理由は、お客様の喜ぶ顔を見ることができる点に魅力を感じたからです。

これまで経理として勤めてきたので、企業の管理部門の困りごとはよくわかります。「お客様の気持ちに寄り添い、悩みや課題を解決できる税理士になれたらいいな」と思って、勉強を頑張っています。

教育訓練給付制度を利用して受講コストを抑える

私は、「一般教育訓練給付金」を効率よく使いたいと考え、働きながら簿・財2科目合格を目指しました。

教育訓練給付制度とは、働く人の能力開発やキャリアアップを支援する雇用保険の給付制度です。
支給要件期間と教育訓練給付金受給後の制限期間があるため、約3〜4年に一度しか給付金を受け取ることはできません。

もしも、5科目合格までの道のりが長丁場になった場合には金銭的負担を減らすためにも複数回利用したいと考え、初年度でこの制度を利用することにしました。
また、9月開講の「簿記・財表初学者一発合格パック」も給付金の対象講座になっており、1科目で申し込むより料金的にもお得だったのも、簿財2科目受験を後押ししました。

出席率や成績が修了要件になっているため、仕事で疲れていても授業に出ようという気持ちになり、勉強を継続するモチベーションにもつながったので、この制度を利用してよかったと思います。

総合問題での前TBの使い方

計算は総合問題で点数を稼げるように、トレーニングを重ねました。

私は、簿記論も財務諸表論も決算整理前残高試算表(前TB)に加減算する金額をメモしていくスタイルをとっています。
この方法は、解答用紙や前TBの情報をうまく活用できる点と、集計時間の短縮に繋がる点がメリットだと考えています。

具体的な手順は以下の通りです。

手順① 前TBのページは破いて切り離す。
手順② 解答用紙と見比べながら、解答箇所となりうる箇所にメモ。
手順③ 資料を見て、加減算する金額を前TBにメモ。
手順④ 遅くとも試験終了15分前には作業を切り上げて解答を転記。

このうち、手順②については、たとえば、第73回本試験の簿記論は決算整理後残高試算表に「小口現金(①)」と解答箇所が示されているので、前TBの小口現金の左側に「1」とメモします。
前TBにない科目については余白に「15 退費」のようにメモします(退費は、退職給付費用の略です)。

簿記論の前TBへの書き込み

財務諸表論では、解答欄に印字済みのものには⚪︎印を付けていきます。
たとえば、現金〜定期預金までは「現金及び預金」として1科目なので、括弧でまとめたうえで⚪︎印を1つ付けます。
受取手形や売掛金にはそれぞれ解答箇所があるので、それぞれに⚪︎印を付けます。
この作業をしたうえで解答欄の流動資産が3つ余ったら欄外に「流」と書いて、その下に⚪︎印を3つ書きます(流は、流動資産や流動負債の略です)。
この時点で「このうち1つは貸倒引当金だろうな」と予想がつく場合には、科目名もメモしてしまいます。

財務諸表論の前TBへの書き込み

理論は関連項目もまとめて暗記

理論は通勤時間にひたすら暗記する方法で勉強しました。
電車に乗ると、ついスマートフォンを触ってしまうので、家を出る瞬間からスマートフォンはポケットにしまって要点チェックノートを片手に持っていました。

あとは「現金主義会計と発生主義会計のメリット・デメリットは裏返しになっているな」とか、「“保有損益が期間損益に含まれてしまう”というフレーズは取得原価主義と先入先出法の両方に使える」といったように、複数の項目を関連づけて、まとめて覚えるように工夫していました。

これから税理士試験の勉強をはじめる方へ

「セルフハンディキャッピング」という心理学用語があります。

たとえば、試験前に部屋の掃除をするなど、全力を尽くすべき場面であえて自分自身に不利な状況を作ることを指します。
そうすることで、失敗したときには言い訳になりますし、成功したときには人より少ない努力で成し遂げたと自己評価を高められます。

ただ、失敗したときのダメージは減らせるかもしれませんが、そもそもの目標の成功率が下がってしまうので、セルフハンディキャッピングの罠にはまらぬよう気をつけてください。

それよりは仕事を早く終わらせるよう努力したり、気持ちよく勉強できる机を買ったり、合格を目指してまっすぐ頑張れるような状況を作ることをおすすめします。  

税理士試験の勉強はよくマラソンにたとえられますが、本当にその通りだと思います。
1年間走り続けるためにはペース配分が重要ですし、試験当日に合格レベルにもっていければよいので、途中で成績が伸び悩むことがあったとしても落ち込む必要はありません。

「自分は合格するんだ!」と強い気持ちを持って突き進んでください!

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