かんと
(20代、経理職)
<受験情報>
・合格科目:簿記論(平成27年度、2回目)、財務諸表論(平成28年度、2回目)、消費税法(令和4年度、3回目)、法人税法・所得税法(ともに令和5年度、2回目)
・学習スタイル:簿記論・財務諸表論→高校時代に独学・合格時は東京CPA(通学講座)、消費税法→東京CPA(通信講座)・スタディング(通信講座)、法人税法・所得税法→ともに東京CPA(通信講座)
▶トップ画像は子供が隣にいる状況で勉強しているときの写真(本人提供)
結婚を機に税理士試験に再チャレンジ
高校時代、学業と両立しながら全経簿記上級と日商簿記1級に合格し、そのステップアップとして高校3年の夏に税理士試験を受験しました。
しかし、税理士になるという明確な目標はなかったため、就職と同時に税理士試験から遠ざかりました。
税理士になると決意して本格的に税法の学習を始めたのは、結婚してからです。
当時、上場企業グループで経理・財務に携わりながら、社内で簿記の研修講師を担当していました。
日々の激務に忙殺されて自分自身と向き合うことを後回しにしてきましたが、結婚を機に妻と人生設計をしていくなかで徐々に冷静になり、自分のため、家族のため、理想と現実のギャップを埋めるべく税理士試験への再挑戦を決意しました。
再挑戦から官報合格までの道のり
まずは消費税法の学習から始めました。
しかし、第一子が誕生して育休に入り、育児・家事・妻のひとり時間の確保が最優先で毎日待ったなしでした。
結局、勉強のほうは尻すぼみになって仕上げることができず、1年目、2年目は不合格でした。
もちろん育児より勉強を優先していたら一生後悔していたと思います。
3年目は育休から復帰したので、15分単位で1日のタイムスケジュールを決め、学習方法を確立することができ、消費税法に合格しました。
4年目は法人税法と所得税法を同時に学習し、自分に合った学習方法と日々の積み重ねが功を奏して、2科目同時に合格することができ、税理士試験を終えました。
法人税法と所得税法は同時学習することで相乗効果アリ!
法人税法と所得税法は税理士試験科目のなかで最も複雑難解で、勉強の絶対量が必要な科目でもあるため、受験に専念しているとしても同時学習は敬遠されがちです。
しかし、法人税はもともと所得税の一部(第一種所得税)だったこともあり、今でも根本的な考え方が似ているので、同時学習には相乗効果のメリットがありました。
1科目ずつブロック学習をするよりも効率的だったと思います。
理論:各税法、2冊ずつ暗記し条文も読む
『理論マスター』(TAC出版)、『理論サブノート』(大原出版)を活用し、e-Gov法令検索や『法人税法規集』等(中央経済社)で税法の条文を読み、省略している部分や言い回し、文章構成など、共通している部分や異なる部分を読み比べながら学習を進めました。
どのような問題にも対応できるよう、『理論マスター』と『理論サブノート』はどちらも暗記して本試験に臨みました。
理論の学習時間は1日3時間程度。
通勤往復60分、昼休憩60分間、家事をしながら、ランニング中など、合間を縫って学習していました。
計算:「ポモドーロ・テクニック」と「インターリービング学習」を取り入れる
予備校の資料集のほか、国税庁HPの通達や質疑応答をチェックしながら学習を進めました。
集中時間と休憩時間を繰り返す、いわゆる「ポモドーロ・テクニック」を取り入れ、法人税法と所得税法を30分ずつ(5分休憩含む)交互に学習しました。
また、分散学習の1つであるいわゆる「インターリービング学習」を取り入れ、税理士試験の勉強の合間に、あえて税理士試験以外の学習を取り入れました。たとえば、租税法、IT関連(VBA・SAP)、TOEIC、料理、栄養学、将棋、インテリアなど、好きなことや気になることを合間に学習しました。
「あともうワンセット、法人税法と所得税法を勉強して、料理の勉強まで辿り着きたい!」という若干謎なモチベーションが維持でき、効率的に想起学習もできるので記憶に残りやすく、一石二鳥でした。
試験直前1ヵ月前からは、過去問を解くようにしていたので、70分(10分休憩含む)ずつ交互に学習しました。
計算の学習時間は1日4時間程度。子どもが寝た後、22時頃から眠くなるまで学習していました。
セルフマネジメント
「やらないこと」を徹底する
やらないことを先に決めることでやるべきことに集中できると考えました。
・ゲーム
・お酒
・朝食・昼食をとる。
税理士試験に官報合格するまでこれらを原則禁止しました。
自分の結婚式でさえ、一滴もお酒を飲まなかったのは今ではいい思い出です。
1日の食事を夜のみにすることで、仕事の昼休憩も60分間集中して学習ができたので、やってきてよかったと思います。
ヘルスケアとメンタルケアも忘れない
5分休憩の他にも、頭がぼーっとしたり集中できないときは、仮眠したり瞑想したりジムで運動したりしました。
また、1日1食とはいえ頭が働かないと本末転倒なので、日中もプロテイン、ナッツ、ハイカカオのチョコレートなどは摂るようにしました。
さいごに
税理士試験は十数パーセントの壁を5回突破しなければならない点で、他の資格よりも長期戦になる傾向があり、忍耐力や精神力が試されます。
他人と比較してストイックになりすぎても自分を見失ってしまうので、あくまでマイペースに、楽しく学ぶことが合格の秘訣だと思います。
育児・家事・仕事と常に忙しい状態でも法人税法と所得税法に同時に合格できたのは、日々支えてくれ、応援してくれた妻のおかげです。
妻に深く感謝しています。
この体験記が、皆様のご参考になれば幸いです。
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