【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
大学時代からCAと行政書士・司法書士を両方目指す
はじめまして、上田美優です。
CAを経て、司法書士として独立しました。
この経歴だと、「CAからのキャリアチェンジ?」と思われがちですが、実は大学時代から両方を目指してきたという欲張りです(笑)。大学時代は、大学、CA受験予備校及び法律試験予備校の3つの学校に通っていました。
両方を目指した理由は、とても単純です。小さいころからの夢だったCAも、高校時代に興味を持った法律業界に入る夢もどちらも叶えたいということです。
また、CAになるのはとても狭き門で、とにかく面接で目立つ必要があります。「法律の勉強を頑張ることはCAの受験に役立つのでは」という戦略的な考えもありました。
周りが語学力や、接客経験をアピールする中で、私は法律知識(特にゼミで学んでいた、会社法分野、組織拡大に関する内容)や行政書士の取得をアピールしました。
結果、面接試験で評価され、CAとしての採用が叶いました。
腰を痛めてCAから司法書士事務所に転職
念願のCAとして充実した日々を過ごしましたが、腰のヘルニアにより引退しました。
CAになる前から引退後は司法書士業界に入るつもりだったので、実家の近く司法書士事務所に転職し、働きながら司法書士を目指すことにしました。
事務所では、司法書士補助者として、資格者になることを想定した業務をはじめから経験させて頂きました。不動産決済、相続業務、商業登記、裁判業務など多岐にわたる業務を行っている事務所だったので、とても勉強になりました。
働きながら勉強し全国順位16位で司法書士試験に合格
転職したばかりな上に、働きながらの試験勉強は、結構大変でした。
平日は仕事後4時間、朝1時間半、昼休憩30分の1日6時間勉強しました。休日は12時間ほど勉強しました。心がけたのは主要4科目と、記述式の実践を少ない時間でもいいので毎日組み込むことです。こうすることで得意不得意分野が偏らないように意識しました。
猛勉強のおかげで、転職から1年後、総合点が全国順位16位の成績で合格することができました。
独立開業を決めた理由
私が独立開業した理由は二つあります。
一つ目が「成長が止まってしまう気がした」ということです。前事務所が大好きだった私は、とても頼りになる先輩がいて、とても頼りになる所長がいて、かなり甘えがある気がしていました。居心地は最高でしたが、ここにいてはどうしても責任感が薄く、成長スピードが遅くなってしまう気がしました。
二つ目が「裁量権が欲しくなった」ことです。資格者になり、できる業務の幅が広がってきたころに「こうしたい」といういろんなアイデアや思いが出てきました。もちろん勤務しながらでも思いを実現することはできると思うのですが、自分が責任を取る立場になっていろんなことを進めていきたいと思うようになりました。
以上の理由で独立したい!と思ってから半年後には独立開業していました。
CAの「接客スキル」を司法書士業務に活かす
「CAと司法書士業でシナジーはありますか」と聞かれることがありますが、CAとして学んだ接客スキルは活かすことができていると思います。
例えば、お客様によって、笑顔の度合い、声の大きさ、話すスピード、連絡の頻度、連絡の取り方などを変えて、対応しています。人はそれぞれ心地よいと感じるポイントが違います。
CAとして様々な価値観のお客様に触れ、「接客」自体を仕事にしてきたからこそ、どのようなお客様にもご満足いただけるように自分を変化させることが得意です。
とても難しい話が多い業務だからこそ、お客様に「何か、とても気持ちよく手続きが進んだな~」と感じて頂くことが一番の目標です。
やりたいことを、やりつくす人生に!
取扱業務としては、相続分野(生前対策から、相続開始後の手続きまで)をどんどん深めていきたいです。特に令和6年4月から相続登記の義務制度が始まりますので、ここには注力していきたいです。
また、おひとり様対策や、不動産オーナーの相続対策にも、税理士等と多方面と協力して、引き続き取り組みたいです。事務所としては若手経営者の独立サポート(会社設立サポート)にも力を入れています。
独立当初から、業務内容に応じて全国展開も視野に入れています。最近では東京での人脈ができたことで関東方面の案件もお声がけ頂くようになったため、近々東京に支店を置こうと思っています。
また、個人的には女性としてのプライベートとのバランスもとっていきたいため、オンラインで完結できる業務の幅も増やしていきたいと考えています。前事務所の影響から、女性スタッフが多い事務所がいいなと感じているため、女性に優しい職場環境も整えていきたいです。
「やりたいことを、やりつくす人生に」をモットーにしているので、これからも本気でやりたい!と思ったことにはどんどん挑戦していきたいです!
【略歴】
上田美優(うえだ・みゆ)
1993年 京都府福知山市で生まれる
2015年 関西学院大学法学部を卒業
2016年 日系航空会社にて客室乗務員として勤務
2018年 地元の司法書士事務所にて勤務
2019年 令和元年度司法書士試験に合格・登録
2021年 ARIA司法書士事務所を開業
(事務所案内)https://officearia.com/
(会社設立専用)https://www.aria-corporation.jp/
(相続・債務整理専用)https://aria-osaka.com/