M.K
(監査法人勤務)
<受験情報>
・学習スタイル:CPA会計学院(通信コース)
・受験歴:短答式(令和3年12月)→論文式(令和4年8月)
▶︎トップ画像は受験勉強で使用していたノート (本人提供)
フルタイムで働きながら試験勉強を開始
はじめまして。この度、令和4年度の公認会計士試験論文式試験に合格したM.Kと申します。今回は仕事と両立しながら会計士試験の勉強をしていく中で、私が両立のために工夫したことなど、勉強方法を中心にお話します。
大学卒業後に監査法人に就職し、無資格スタッフとして働いていました。就職とほぼ同時に公認会計士試験の勉強を始め、2年目の8月に論文式試験に合格しました。
受験勉強の最中は、フルタイム週5日(監査法人なので4~5月期は週6日)勤務で働いており、短答式試験と論文式試験の直前には、それぞれ2週間、1ヵ月半の休暇を取得しました。仕事の割合は在宅:通勤で7:3くらいです。
勉強を始めたのは入社前の3月からで、その時点では簿記2級まで取得していましたが、会計士合格までの学習期間は1年半ほどです。CPA会計学院の通信コースを受講し、講義や答練はすべて自宅で受けていました。
勉強のための時間づくり
フルタイムで働いているとまとまった勉強時間を取ることはとても難しいと思います。私の一番悩みの種も、同じ会計士受験生と比べて、勉強にさける時間が圧倒的に少ないということでした。そこでまず、私がどう勉強時間を確保したかをご紹介します。
はじめに、「1日にどれくらいの勉強時間を確保することができるのか」を考えてみます。
仕事に8時間、睡眠に8時間として、24-8-8=8で残り8時間あります。もちろんすべてを自由に使えるわけではないので、食事をしたり家事をしたりで3時間ほど、とすると自由に使える時間は多くて4時間半ほどでしょうか。
4時間半と聞くと、会計士試験の受験生としては短いかもしれませんが、4時間半集中して勉強するとすれば、実は結構長いし、とても疲れます。講義だったら1.3倍速で2コマ受講できますし、論文試験の模試を1日分受けきることができるくらいの時間です。
しかし先ほど述べたように、4時間半というのは案外長くて疲れるので、それだけの時間を続けて勉強することはなかなかできることではありません。私は集中力を保ち続けることが厳しかったので、勉強時間を2つに分けて、勉強する時間を常に集中したものにできるように意識しました。
私の場合は、朝起きてから在宅勤務を始めるまでの朝の2時間(7:15~9:15)、仕事を終えて食事や家事を済ませてから夜寝るまでの間の2時間半(20:00~22:30)を勉強時間と決めて、毎日その時間は集中して勉強する時間と決めていました。仕事を終えてからだと、眠かったり、目が疲れていたりということもあったので、夜の勉強を始める前に仮眠を取ることもよくしていました。
こうすることで、「きっちり集中して勉強できた」という達成感もありますし、2時間+2時間半でできる勉強の量もだんだんと把握できるようになるので、学習スケジュールも立てやすくなったと感じています。
家で集中できる環境づくり
勉強時間を確保できたとして、その頑張って確保した時間を有効に活用したいものです。特に時間が限られた中だと、自習室に行くという移動時間も勿体なく感じてしまいます。そのため、できることなら家で勉強ができるようにしたいところです。
私自身、通信講座を受講していて、自習室などには通わずにずっと自宅で勉強をしていました。そこで、私が実践していた家で勉強に集中するためのコツをご紹介します。
先ほどの「勉強時間を分割する」というのも工夫の1つなのですが、もう一点、気持ち的な面からの工夫もしていました。
まず、「なぜ勉強に集中できないのか」という原因を考えてみます。例えば、すぐにtwitterを開いてしまう、スマホの誘惑に負けてしまうといったことについては、少し力業ですが、物理的に遠ざけるということをしていました。消音にしてトイレに置くという感じです。
また、「どういうときにスマホを開いてしまうのか」と考えると、私の場合は、解いていた問題や講義が一区切りついたタイミングや、問題の解法がまったく思い浮かばなくて飽きたとき、いざ勉強を始める時間になったときなどが多いと気づきました。実は、これらの状況にはざっくりとした共通点があり、それは総じて、「次にやるべきことがよくわからない時」だということもわかりました。
原因がわかれば、次はこれに対応する解決策を立てます。まず、少なくとも今からやることとこれが終わったらやることの2つ、3つは順番も含めて事前に決めておいて、1つ終わったときに、次に何をするか迷わないようにしておきます。
私の場合、前日の夜に明日は財務の講義の第何回を受けて、次に答練の解き直しをすると決めておきます。次の日は、昨日の計画の通りに講義を受けながら、復習を明日やらないと、解き直しは監査論からやろうといった具合に、「次にやること」をどんどん決めてしまいます。
すると、いざ終わったときに「次に何をしようか」と迷って決められずにスマホに手を伸ばす、といった事態は防げるように思います。
この方法は勉強に飽きたときにも有効です。
例えば、問題集の何章を終わらせると決めたとして、章を終わらせる前に飽きてしまった時など、終わらせると決めた以上は達成するまで他のことに手をつけられなくなってしまうということはありませんか? 私はまさにそのタイプだったのですが、これを何とか割り切って、今の勉強に飽きたらやることまで決めてしまいます。次にやっていいことを決めておくと、案外スマホの誘惑は断ち切れるものだったので、ぜひ試してみてください。
自分にとって最も効率的な教材づくり
勉強は何事も、「講義で知る⇒復習で理解する⇒反復で覚える」の繰り返しだと思うのですが、働きながらだとどうしても時間がなく、一番に削られるのは、覚えるための学習時間でした。
そこで私は、なるべく効率よく暗記をし、また隙間時間を少しでも暗記に使うために、教材面でいくつかの工夫をした点があります。
1つ目は、効率よく暗記をするための工夫で「答練の思い出まるごと覚え」です。
人にはそれぞれ、どのようなことが記憶に残りやすいかという点において個性があると思います。たとえば、ゲーム内のアイテムの値段はすぐ覚えられるけど、さっき食べたチーズバーガーの値段は覚えていない。昨日の夜ご飯は覚えていないけれど、半年前に旅行先で食べた朝食はよく覚えているなどです。
そこでまず、自分の記憶に残りやすいパターンを把握して、それに合わせて暗記の仕方も考えました。私の場合、何かイベントがあればその時の記憶は比較的細かいことも覚えていられるタイプだったので、それを活かすことにしました。
定期的に解く答練をイベントとみなして、答練とその復習の時間に考えたことを、繰り返し振り返ることのできる形にまとめていきました。答練のなかで、「教科書で学んだ知識は問題のどの部分で必要になったか」、「少し条件が違う場合の関連論点のパターンはどんなものがあるのか」、「自分が間違えたのはどの部分で、できたのはどの部分か」を1つにまとめていきます。
Microsoft OfficeのOne Noteを利用して、答練の自分の解答や解説のまとめ表を張り付けて、それに論点や感想をどんどん書き込んでいきました。そして、気が向いたときに眺めて、このページ1枚を見れば、答練の復習をした記憶とともに関連した論点をパッと思い出せる状態を目指しました。文字で説明するよりも、実際に見るほうがわかりやすいと思うので、いくつか実際のスクリーンショットを上げておきます。
2つ目は、暗記事項を集約したノートを作りました。専門学校の教材で、暗記用の回転用教材はありますが、それは科目ごとに分かれていますし、とっくに覚えた事項も含めて、すべての論点が網羅的に載っています。そのため、暗記するには不要な部分も多いと感じたので、暗記事項をより集約するために、A5サイズのノートに暗記事項をひたすら書き溜めていました。そして、通勤の際にいつもカバンの中に入れて、電車内で見られるようにしていました。
言ってしまえばただのノートなのですが、自分が覚えなきゃいけない事項だけを集約するためにいくつかルールを設けていました。
・問題集や答練などで3回以上間違えたと思ったらノートに書く
・覚えたページはもう要らないので捨てる
・何度見ても覚えられない事項は重ねて付箋に書いて貼りつける 等
このように、重要度ではなく、自分の中での記憶の定着度に合うように作る工夫をしていました。
1つ便利なTipsとして、PCで作成したOneNoteはそのままスマホと連携して見ることができます。なので、私の場合はスマホとノートを持っていれば、どこでも暗記事項を確認することができるようにしていました。そのため、平日に家で机に座ってする勉強時間の中に、特に暗記のための時間を設けることはせず、移動時間や土日の余った時間にこれらの自作教材を見るようにしていました。
自分の性格を分析し、自分に合った勉強方法を見つける
勉強方法についての話がメインになりましたが、ここまで紹介してきた方法はすべて、私自身の性格や特徴を分析して、それにはまるように考案してきた勉強方法です。癖や性格は人それぞれ全く違うので、それぞれぴったり合った勉強方法というものも勿論異なると思います。
なるべく、私は自分の性格をどのように分析したのか、それに対してどのような理由でこの勉強方法を採用したのかという過程の部分を少し詳しく紹介したつもりではありますが、私の方法をそのまま採用するのではなく、自分の勉強に対する性格を分析するところから始めてみていただければと思います。
これを読んだ方が、自分に合った勉強方法を見つけ出し、合格を達成できることを期待しています。
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