【編集部より】
独立をすると、オフィス空間を自分で作ることができるのも魅力の1つ。人それぞれ心地よい空間があると思いますが、建築好きな人はどういったポイントにこだわるのでしょうか。
そこで、今年、江の島の島内に事務所を移転した榮前田先生(税理士)に、オフィスづくりでこだわった点を教えて頂きました。
榮前田慶太(税理士)
事務所を移転した理由
税理士の榮前田(エイマエダ)と申します。神奈川県・江の島の島内で税理士事務所をやっています。
「なんで江の島の島の中に事務所があるの?」と不思議に思った方もいるのではないでしょうか。
今回は、そんな私が江の島に事務所を構えた経緯とオフィスづくりについてお話します。
そもそも2年半ほど前に私が開業した当初は、事務所は江の島の手前にある海沿いのビルの1室でした。
カラオケボックスをそのまま転用したシェアオフィスで、6畳くらいのスペースを借りました。
事務所に入ると、窓一面に海が広がって江の島が見える眺めの良い事務所でした。
開業から2年が経って仕事も増えてきたところでスタッフの採用を考え、また、クライアントの方にも落ち着いて打合せしてもらえる空間が欲しくなってきたのもあって、移転を検討し始めました。
オフィス街から少し離れた海のそばという立地は気に入っており、移転先も海の近くで探していました。
ただ、海の近くという条件では事務所物件は数が少なく、なかなか気に入るところは見つからず数ヶ月のあいだ探し続けていました。
そんなある日、江の島の中に物件があるのを見つけたのでした。
場所選びの決め手
クライアントとの定期的な面談は、「日常から少し離れて、それまでの日々を振り返り、そして、その先のことを改めて考えることができる時間にしたい」というのが私の考えです。
そのため、事務所では非日常感のようなものを演出できるといいなと思っていました。
新しい事務所は江の島に入ってすぐ、江島神社につながる通り沿いにあります。
橋を渡って島内に入り、かつ、神社がすぐそばにあることから、来た方に特別な気持ちを感じてもらえる場所になっています。
また、江の島は湘南で暮らす方のシンボルで特別な存在です。
湘南以外の方にとっても湘南をイメージしたときに思い浮かぶ場所でもあります。
そんな江の島という場所に事務所があるという特別感とわかりやすさ、そして、こんなところに事務所があるんだという面白さを感じてもらえたらいいなと思って、この場所に事務所を構えることを決めました。
正直なところ、駅から橋を渡って事務所に着くまで歩いて10分以上かかりますし、観光客の集まるところに事務所を構えるということに不安要素がないわけではなかったです。
実際に相談した人には反対されることばかりでした。
でも最後には、ここで事務所をやったら面白いでしょという気持ちが勝ちました。
結果的に評判もよく移転は成功だったと思っています。
こだわりのポイント
私はもともと建築が好きで、自宅も建築家の方と一緒にあれこれ相談しながら建てたくらいのこだわりがあります(自宅は建築コンクールに入賞しました)。
事務所でもインテリア選びにいろいろなこだわりを発揮しています。
インテリアも事務所に来た方がゆったりと落ち着けて、いつもと気分を切り替えてもらえるように考えています。
少しですが、紹介できれば。
内装
事務所の内装は自分でやったわけではないのですが、事務所の物件は築100年くらいの一軒家で、内装がフルリフォームされています。
床はフローリングになっていますが、障子があったり欄間があったり、和モダンな雰囲気で落ち着いた空間になっており、これも事務所選びの大きな決め手になりました。
デスク
開業当初に天板と鉄脚を注文してデスクをDIYしました。
木の質感が好きなので、樹種や加工にもこだわって選びたかったので既存の製品では気に入るものがなく、自分で作ることにしました。
事務所スペースがせまかったため作業と打合せを兼用していましたが、現在は打合せ室のミーティングテーブルとして使っています。
デスク周りは配線をスッキリさせることにこだわっています。
noteで話題になったGoAndoさんのデスクすっきりマガジンにも、私がデスクをDIYした記事が掲載されています。
私のnoteにも記事を書いていますのでよければご覧ください。
GoAndoさんは「いい仕事」を生み出す道具のメーカーとしてPREDUCTSという会社を立ち上げています。その思いに共感したこともあり、そのPREDUCTSのデスクを新しい事務所用のデスクとして導入しました。
ディスプレイは32インチと27インチの4Kディスプレイをモニターアームでデュアルディスプレイにして、WEBミーティング用のマイクとカメラ、ライトを備え付けて使っています。
このデスクはデザインの良さはもちろん、配線がゴチャゴチャと見えないような工夫がされていて使い勝手も良く、今度採用予定のスタッフ用にもうひとつ買い足しました。
チェア
イスには特にこだわりがあって、主に3つのイスを使い分けています。
作業用のワークチェアとして、ハーマンミラーのセイルチェア。
デザインと機能性が両立されたイスで、開業当初からずっと使っています。
お客様用の打合せのイスは、フリッツ・ハンセンのセブンチェア。
アルネ・ヤコブセンという有名なデザイナーの有名なイスです。
普遍的なデザインと木の雰囲気の良さで選びました。
自分用の打合せのイスは、アーユルチェアというイスを使っています。
美容師さんがカットのときに座るイスのイメージです。
背もたれがほとんどないイスですが、背すじが伸びる感じが気に入っています。
腰痛にいい、という触れ込みのイスでもあります。
オーディオ・小物
音楽にもこだわりがあるのでJBLのスピーカーと真空管アンプを事務室に置いています(まだ、自宅に眠っているスピーカーやアンプもあるのですが)。
他にも観葉植物やアロマディフューザーなど事務所の環境や雰囲気を良くするための小物もこだわって少しずつ買い集めているところです。
最近は置物なんかも買いたいなと思って休憩時間にネットで調べています。まだまだ物欲が止まりません。
自由にできるオフィスづくり
独立するとオフィスも自分の好きな場所に好きなように作れます。
コレクションを置いたり、自分の思いをかたちにできたり。
自宅では買えないものも奥さんに内緒で買ったり……。
自分の好きなことやこだわりを事務所というかたちで表現できるのも、独立の醍醐味だと思いますよ。
<執筆者紹介>
榮前田慶太(えいまえだ けいた)
1983年生まれ。神奈川県出身。藤沢市在住。駒場東邦中・高等学校から上智大学経済学部を卒業後、カナダGeorge Brown Collegeにてスポーツマーケティングを専攻。帰国後、(株)リクルートにて求人広告の新規開拓営業に従事。数百人の経営者と話をする中で中小企業の経営に興味を持ち、より深く経営者の力になりたいと考え、税理士を目指す。その後、地域密着の都内税理士事務所で様々な業種・規模の法人顧問、地主の方の不動産税務、相続税務を経験し約10年間の勤務を経て独立。プライベートでは2人の女の子の父。好きなものは建築・デザイン・スポーツ全般(週末テニスプレーヤー)。
事務所ホームページ
Twitter(@keitazeirishi)
【書籍紹介】