経理部ISさんに聞く! 上場企業経理への就職・転職 FAQ


経理部IS(@keiri_IS)

【編集部より】
上場企業の経理に就職・転職を目指すなら、まず何をすればよいのでしょうか。特に、受験生にとっては、頑張って取得した「資格」が就職・転職の際にどのように評価されるのかも気になるところ。
そこで、Twitterでも情報発信をしている経理部ISさんに、「上場企業経理への就職・転職FAQ」についてご執筆いただきました。

上場企業の経理の仕事がしたい人へ

簿記検定や税理士試験の受験生の中には、経理の仕事へ就職・転職を検討されている方も多いでしょう。
その中でも「上場企業の経理の仕事をしてみたい!」そのように考えている方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、これから経理の仕事をしたいと考えている人に向けて、上場企業経理への就職・転職について解説していきます。
すでに事業会社の経理や会計業界で仕事をしており、上場企業の経理を目指したいといった方もぜひチェックしてみてください。

上場企業経理へ就職・転職するときに知ってほしいこと

上場企業の経理へ就職・転職するとき、はじめに知ってほしいことが2つあります。

1.上場企業の経理は、専門性が高い決算・開示の仕事を行い、監査法人の監査を受ける。
2.上場企業の経理といっても会社の規模によって仕事の幅が異なる。

上場企業の経理は、会計基準や税務といった専門知識を生かして決算を締め、その決算の内容を投資家などへ開示しなければなりません。

さらにその決算・開示の内容は、監査法人の監査を受けなければなりません。
また、上場企業経理といっても会社規模によって、仕事の幅が異なります。
大手上場企業であれば、経理の人数も多く、分野ごとに担当が分かれています。

たとえば、日々の経費処理をする人、固定資産を担当する人、連結決算を担当する人といったように、1つの分野に特化して担当することがあります。
一方、中小規模の上場企業経理であれば、日々の経理処理から決算開示まで、少人数のメンバーですべてを担当している場合があります。

上場企業の経理は、専門知識が必要であること、そして会社の規模によって担当する仕事の幅が異なることを事前に知っておきましょう。

会計や税務の業務の1分野について深く専門性を高めるには、大手上場企業の経理へ就職・転職するほうがいいでしょう。
一方、上場企業経理の業務全体を経験したい場合は、中小規模の上場企業の経理を選択するといったことも考える必要があります。

上場企業経理への就職・転職を目指すためにやるべきこと

上場企業経理への就職・転職を目指すためには、転職エージェントを利用する必要があります。
上場企業で中途採用を行う場合、「まず転職エージェントへ求人を出して人材を紹介してもらう」というのが一般的な流れとなっています。

転職エージェントは、企業へ人材を紹介し、その人材が入社した時点で企業が成功報酬を支払うというビジネスを行っています。
そのため、企業側は人材紹介を受けたことによる報酬を負担しなければなりませんが、「その報酬を支払ってでも優秀な人材を確保したい」と考えて、転職エージェントを利用しています。

この転職エージェントですが、あらゆる職種の転職をサポートする「総合型転職エージェント」と、経理など一定の職種に特化した転職サポートを行う「特化型転職エージェント」があります。
特に、経理職の特化型転職エージェントは、担当者が経理業務の実情に詳しくサポートが手厚いこと、多くの上場企業の経理の求人も扱っていることから、上場企業経理への就職・転職では、ぜひ利用したいところです。

上場企業経理へ就職・転職するときのポイント

上場企業経理を目指すときには、次の3つのポイントに注意してください。

1.簿記などの資格は評価される。
2.上場企業経理をやりたいというアピールは重要。
3.決算の実務経験は評価される。

1.簿記などの資格は評価される

経理への就職・転職では、簿記などの資格があると有利になります。
それは会計に関する必要最低限の知識があることを証明できるからです。

もちろん上場企業の経理への就職・転職でも、簿記の資格があると評価されます。
ただし、上場企業の経理では、簿記の資格だと日商簿記2級以上といったレベル(1級があればさらに評価されます)、さらには税理士試験の科目合格といったレベルの資格も評価されます。
(残念ながら、日商簿記3級レベルではあまり評価されません。)

2.上場企業経理をやりたいというアピールは重要

上場企業経理への就職・転職では、書類及び面接において「上場企業経理で仕事をしたい」ことについてアピールすることも重要になります。

企業は、中小非上場企業、スタートアップ企業、上場企業の子会社、上場企業とさまざまですが、その中でなぜ上場企業で経理をやりたいのか?その理由を採用する企業側も気にしています。

就職・転職で「経理であればどの会社でもいい」といった気持ちだと、上場企業経理で専門性の高い決算開示、税務の仕事をやり遂げることは正直難しいと言えます。

だからこそ、

・なぜ上場企業経理をやりたいのか?

・どれだけやりたい気持ちがあるのか?

を明確にして、「上場企業経理をやりたいというアピール」してください。
これにより、上場企業経理での仕事をやりたいという本気度が企業側にも伝わり、採用にも前向きになります。

3.決算の実務経験は評価される

上場企業経理への就職・転職では、決算の実務経験があると評価されます。

非上場企業、中小企業の経理の経験しかなくとも、たとえば以下のような実務経験は評価されます。

・決算を締めて会社法上の計算書類を作成する実務

・法人税や住民税、消費税の計算~申告書を作成する実務

このような実務経験があれば、上場企業経理への就職・転職ではかなり有利になると言ってよいでしょう。

実際のところ、上場企業経理といっても1つの会社の決算を締めたり、税金計算や申告書の作成ができる経理担当者は限られています。
そして、そのような実務経験がある人は、貴重な人材として上場企業は積極的に採用したいと考えています。

まとめ

今回は、上場企業経理への就職・転職 FAQと題して、

・上場企業経理の就職・転職について知ってほしいこと

・上場企業経理への就職・転職を目指すためにやるべきこと

・上場企業経理へ就職・転職するときのポイント

について解説しました。

上場企業経理では、専門性の高い決算・開示、税務といった業務を経験できます。
この経験を通じてレベルの高い経理スキルを身につけることができます。
もっと経理スキルを上げて専門性を高めたいという人は、ぜひ上場企業経理の就職・転職を検討してみてください。

<執筆者紹介>
経理部IS

20数年に渡り、上場企業とその子会社で経理業務に従事している現役経理マン。日商簿記1級・税理士試験の簿記論・財務諸表論保有。
経理における複数の転職経験、そして現役上場企業での中途採用経験を活かし、経理の転職エージェントを紹介するサイトも運営中。
Twitter(@keiri_IS)
経理の転職エージェント比較専門サイト


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