村上翔一(敬愛大学准教授)
*総復習編では9回にわたり、本連載の復習を行います。
Q1 リース取引とは、特定の物件の所有者たる貸手が、当該物件の借手に対し、合意されたリース期間にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意されたリース料を貸手に支払う取引をいう。リース取引は、その取引契約に係る( ア )に従うと賃貸借取引として処理されるが、リース取引の中には、その( イ )が、当該物件を売買した場合と同様の状態にあると認められるものかなり増加してきている。かかるリース取引について、これを賃貸借取引として処理することは、その取引実態を( ウ )に的確に反映するものとはいいがたく、リース取引に関する会計処理及び開示方法を総合的に見直し、公正妥当な会計処理基準を設定することが求められたため、リース取引を( エ )と( オ )に分類し、( エ )については更に、リース物件の( カ )が借手に移転するか否かで会計処理が規定されている。
A
ア 法的形式
イ 経済的実態
ウ 財務諸表
エ ファイナンス・リース取引
オ オペレーティング・リース取引
カ 所有権
リース取引に関する会計基準(企業会計基準第13号)、pars.4、28-29、35
実質優先の考え方から、法的には賃貸借取引であったとしても、会計的には資産として処理される。
Q2 リース取引を( ア )と( イ )に分類する際、まず( ア )かどうかの判定が行われる。( ア )とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引またはこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件(リース物件)からもたらされる( ウ )を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って、生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引という。前者を( エ )、後者を( オ )と呼ぶ。( ア )に該当しないリース取引を( イ )と呼ぶ。具体的な判定基準として、リース料に関連する( カ )とリース期間に関連する( キ )の2つがあり、いずれかに該当する場合に( ア )と判定される。
A
ア ファイナンス・リース取引
イ オペレーティング・リース取引
ウ 経済的利益
エ 解約不能(ノンキャンセラブル)
オ フルペイアウト
カ 現在価値基準
キ 経済的耐用年数基準
リース取引に関する会計基準(企業会計基準第13号)、par.5
リース取引に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第16号)、pars.5、9
法的形式上は解約不能であるとしても、解約に際し、相当の違約金を支払わなければならい等の理由から、事実上解約不能と認められるリース取引を解約不能のリース取引に準ずるリース取引として扱う(リース取引に関する会計基準の適用指針、par.6)。
Q3 ( ア )として判定された場合、借手はリース物件とこれに係る債務を( イ )及び( ウ )として計上する。その際の価額は、通常の売買取引に係る方法に準じて、リース料総額から( エ )の合理的な見積額を控除する方法による。( オ )が移転しない場合には、リース物件の貸手の( カ )等が明らかな場合は、リース料総額の( キ )と貸手の( カ )等のいずれか低い額、貸手の( カ )等が明らかでない場合には、リース料総額の( キ )と( ク )とのいずれか低い額となる。( オ )が移転する場合には、リース物件の貸手の( カ )等が明らかな場合は当該価額、貸手の( カ )等が明らかでない場合には、リース料総額の( キ )と( ク )とのいずれか低い額となる。( ケ )として判定された場合、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行う。
A
ア ファイナンス・リース取引
イ リース資産
ウ リース債務
エ 利息相当額
オ 所有権
カ 購入価額
キ 現在価値
ク 見積現金購入価額
ケ オペレーティング・リース取引
リース取引に関する会計基準(企業会計基準第13号)、pars.10-11、15
リース取引に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第16号)、pars.22、37
ファイナンス・リース取引の会計処理は、リース債務の評価を考えると、リース料総額の割引現在価値を利用することが、取得よりもリースを選択した借手の行動を反映すると考えられ、リース資産の評価を考えると、リース物件の価値による方法が考えられる(リース取引に関する会計基準の適用指針、par.105)。
Q4 減価償却に関して、所有権( ア )ファイナンス・リース取引の場合、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定する。所有権( イ )ファイナンス・リース取引の場合、原則として、( ウ )を耐用年数とし、残存価額を( エ )として算定する。
A
ア 移転
イ 移転外
ウ リース期間
エ ゼロ
リース取引に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第16号)、pars.27、42
所有権移転外ファイナンス・リース取引におけるリース資産の償却方法は、定額法、級数法、生産高比例法等の中から企業の実態に応じたものを選択適用し、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により減価償却費を算定する必要はない(リース取引に関する会計基準の適用指針、par.28)。
◎復習しましょう!
総復習① 棚卸資産
総復習② 有価証券
総復習③ 有形固定資産
【執筆者紹介】
村上 翔一(むらかみ しょういち)
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程修了(博士(経営学))。明治大学専門職大学院会計専門職研究科教育補助講師、敬愛大学専任講師を経て現在敬愛大学経済学部准教授。
<主な論文>
「保有者における電子マネーの会計処理」『簿記研究』(日本簿記学会)第2巻第1号、2019年(日本簿記学会奨励賞)
「ICOに関する会計処理」『敬愛大学研究論集』第98号、2020年
「ブロックチェーン技術の進展と簿記」『AI時代に複式簿記は終焉するか』(岩崎勇編著)、税務経理協会、2021年
「コンセンサス・アルゴリズムの観点に基づく暗号資産の会計処理―マイニング、ステーキング、ハーベスティングの理解を通じて―」『敬愛大学研究論集』第100号、2021年 他
*本連載は、「会計人コース」2019年11月号「特集:勉強したくなる「習慣化」のススメ 7日間理論ドリル」を大幅に加筆修正したものです。