【ユメの対談】税理士試験 YU ME NO U E × ボザイ が「直前期の勉強」を語りつくす!


直前期まっただなかの税理士試験。皆さん、順調に勉強は進んでいますか。

他の受験生はどう勉強しているんだろう? 合格者はどう過ごしていたんだろう? 気になる人も多いかもしれません。

そんな興味に応えるべく、独自の勉強法で官報合格を果たし、受験生から絶大な支持を誇るYU ME NO U Eさん(税理士)と、たびたび会計人コースWebにご登場いただいてきた受験生ボザイさん(合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法)の対談が実現!

直前期の勉強についてはもちろん、2人の共通点でもあるメモリーツリー(体系図)の話やモチベーションの保ち方まで、たっぷりお話しいただきました。

1日の「やること」をルーティン化する!

YU ME NO U E
Twitterなどを見て気になっていたボザイさんと話す機会ができ、今日は楽しみです。

ボザイ
僕もYU ME NO U Eさんとお話できて嬉しいです。

YU ME NO U E
まずは、どのように勉強しているかお聞きしたいです。簿記論・財務諸表論・消費税法に合格し、今は法人税法の勉強中なんですよね。普段はどのようなスケジュールで勉強していますか?

ボザイ
基本的に4時に起きて、仕事に行く準備をする7時くらいまで勉強しています。夜は残業がなければ19時には帰れるので、20時までには勉強を開始するようにしています。寝るまでの2時間くらいですかね、22時には寝ています。

YU ME NO U E
朝は3時間、夜も2時間。生活時間を最小化していますね!

ボザイ
繁忙期はなかなかこうはいかなかったのですが、徐々に落ち着いてきました。YU ME NO U Eさんは、当時どれくらい勉強されていましたか?

YU ME NO U E
僕も朝型でしたよ。でも6時に起きて、仕事に行く7時までの1時間くらいですね。仕事があると朝しかまとまった時間がとれないし、夜だと仕事のことが頭をちらついたりするじゃないですか。平日は帰るのも遅かったので、1日2時間くらい勉強できればいいかなと考えていました。そのかわり土日は1日中勉強していましたよ。ボザイさんは土日はどうですか?

ボザイ
1日14時間を目標に勉強しています。ただ、12時間くらいに留まっていますね…。

YU ME NO U E
いや、でもすごい勉強時間ですよ。いいペースだと思いますね。やることは前もって決めていますか?

ボザイ
そうですね、朝起きて4時10分からTACの「理論マスター」を読んでいます。1日のはじめに「今日何やろう」と悩みたくないので、ルーティンは決めています。

YU ME NO U E
迷う時間がもったいないですよね。僕は家で勉強できないタイプだったので、朝は歩きながら理論暗記をする「暗記散歩」に行くと決めていました。月に1回、週に1回、中期的な計画を決めて、つど見直しながら、ひたすらやることをこなしていました。

ボザイ
僕も一緒です。定期的に軌道修正しながら、やることを詰めています。YU ME NO U Eさんと同じやり方で勉強ができているのは心強いです。

◆雨の日や夜も「暗記散歩」ができるようにステッパーを購入。体を動かすことで脳が活性化。(YU ME NO U E)

「理論」と「計算」の勉強割合は?

ボザイ
今は直前期ですが、理論と計算について、どれくらいの割合で勉強されていましたか? 学習開始時と直前期で変化はありましたか?

YU ME NO U E
春までは計算が中心、特に年内は理論が1で計算が9くらいでした。理論暗記のことは考えずに、とりあえず計算。春になっても3:7くらい。ただ5月から徐々に、計算は直前期の問題集と模擬試験形式の答練を専門学校のカリキュラムに沿って解くくらいで、それ以外の時間は理論に充てるようにしていました。ちょうど今だと7:3くらいかな。

ボザイ
「計算を先に完成させて」と専門学校の先生は言いますよね。理論だと10月、11月くらいから覚えても抜けてしまうというのもあるのかもしれませんね。逆に直前期になって、わからない論点の計算を1から勉強する時間はほとんどとれない気がします。

YU ME NO U E
直前期の計算は答練を中心にプラスアルファで論点を詰め込んでいくような感じですよね。だから個別問題に戻ることはほぼない。よっぽど苦手な論点が発覚して戻るくらいで、個別問題を解く時間はあまりない気がします。ちなみにこれは税法科目の話なのですが、ボザイさんはどうでした? たとえば財務諸表論とか。

ボザイ
財務諸表論はまだ受験1年目で、素人のやり方だったと思うのですが、最初から最後まで理論:計算=5:5くらいで勉強していました。直前期に計算の凡ミスを意識するくらいで、ほぼ同じペースです。消費税法も始めたのが1月で理論からスタートしました。先にある程度の理論を丸暗記して安心感を得ていた記憶があります(笑)。その後も6:4くらいで理論の割合が大きかったです。珍しいパターンですよね?

YU ME NO U E
そうですね。

ボザイ
なので、理論が完成してきて「なんかいけそう」と思っても計算が追いついていないんですよ。消費税法は5月以降、総合問題を1日2~3問解いて、猛スピードで計算を詰めていきました。それでなんとか全国模試までには追いついたので、法人税法も理論を先にやろうかなと思ったんですが、ちょっと違うなと。計算を先にある程度完成させて、後半に理論を叩き込むほうがやっぱりいいのかなって。法人税法では軌道修正していった感じですね。

YU ME NO U E
いい軌道修正だと思いますよ。会計科目だと計算パターンがそんなに多くないので、短期間で間に合ったのかもしれませんが、法人税法で計算が遅れてしまうと間に合わなくなる気がしますね。これからの割合としても理論を中心に、計算は答練とプラスアルファで論点を見直すくらいがいいと思います。

◆iPadに計算の「凡ミス」をまとめ、直前期にイッキ見。(ボザイ)

答練は「100%」理解する!

ボザイ
直前期は答練が中心になってくると思いますが、答練を解く際に意識されていたことはありますか?

YU ME NO U E
僕は1回目を解いたら、翌日に必ず解きなおしていました。その後も数日後に解いて、さらに1ヵ月後に解いて…。トータルで4回くらいかな。それでも解けなかったら5回目です。

ボザイ
1つの答練を何回も解かれるんですね。なかには、多くの総合問題を1回か2回ずつしか解かないという方もいますよね。

YU ME NO U E
僕は「この答練を100%理解する」と決めていました。たとえば1日目に総合問題を解いて解説を読んで、2日目に解きなおしたとき満点が取れないと悔しいじゃないですか。けれど、1日目に解説を読んで“わかったつもり”になっていたことが実は“わかっていなかった”というのが、2日目に解いたとき浮き彫りになるんですね。そこでやっと「ちゃんと理解しているのか」の確認がとれます。内容を覚えているので1時間の総合問題も45分くらいで解けたりするんですが、「時短で理解度確認ができる」と思って、2日連続で同じ答練は解いていました。

ボザイ
なるほど。答練の活用法として、すごく参考になります。

YU ME NO U E
明らかに簡単な論点も解きなおしていましたよ。総合問題の場合、誰もが解けるような論点も絶対に出てくるじゃないですか。そういうのも気にせず、1から計算して。まあ今思えば、そこは端折ってもいいかもしれないですね。ただ計算に関しては、少なくとも答練に出た論点だけは完璧に理解することを心がけていました。

◆直前期に時間配分を決めておくことも大事。(YU ME NO U E)

過去問は解く? 模試は受ける?

YU ME NO U E
直前期は「過去問を解くかどうか」も話題になりますよね。僕は、利用していたTACに「補助問題」という過去問の焼き直しがあったので、特に「過去問」を解かなかったのですが、ボザイさんはどうですか?

ボザイ
僕は独学していた簿記論・財務諸表論で過去問が大好きでした(笑)。TACの市販の過去問題集を買って、合格目安が書いてあるので、それを見ては一喜一憂して。独学の自分にとっては、「自分がどのへんにいるのか」を知る手段が過去問でしたね。5回くらいは繰り返し解きました。

YU ME NO U E
公開模試も受けていましたか?

ボザイ
簿記論・財務諸表論は受けていませんが、消費税法でTACと大原を受けました。YU ME NO U Eさんも受けていましたか?

YU ME NO U E
受けていましたよ。普段利用している学校の問題ばかり解いていると問題の表現やクセに慣れてしまうじゃないですか。解答用紙の紙質も学校ごとに違っていたりして、それだけでもドキドキしたり。そういう“アウェイ感”を体験するために受けていましたね。ボザイさんはいかがですか?

ボザイ
僕も普段と違った“緊張感”を味わうためですね。消費税法は通信講座で、誰かと一緒に教室で勉強する機会がなかったので。ただ、あまりにも緊張して、盛大に解答用紙を間違えるという…。気づいた瞬間「終わった、もう帰ろう」と思いましたね(笑)。

YU ME NO U E
いやいや、そういうミスを経験できたことも大きかったと思いますよ。「次は注意しよう」と気を引き締めるきっかけになりますし、本番前に気づきを得られるのが模試を受けるメリットでもありますよね。

YU ME NO U E流「メモリーツリー」×ボザイ流「理論体系図」

YU ME NO U E
ところでボザイさんといえば理論体系図。僕もメモリーツリーを作っていたので親近感があります。財務諸表論で作っていましたよね。

ボザイ
はい。財務諸表論って似たような言葉がよく出てくるので、最初その違いがわからなくって、知識を整理するために作りはじめました。

ボザイさん財表理論体系図
◆iPadで作成した財務諸表論の理論体系図(ボザイ)

YU ME NO U E
僕も財務諸表論がメモリーツリー作りのスタートでした。今は友達なんですが、もともと「jijiたん」という弁護士・公認会計士の方がメモリーツリーを取り入れていることをブログで知って、これなら頭の中が整理されそうだと思ったのがきっかけです。ボザイさんはデジタルで作られていますよね。

ボザイ
iPadで作りました。実は僕も「jijiたん」先生のメモリーツリーを見てすごいなあと思って、9月くらいから真似して紙に書きはじめたんですよ。ですが絵があまりにも下手で、逆に頭に入らなかったので途中でやめてしまったんですね。12月頃にiPadを買って再挑戦したら絵が下手なところもカバーできたので、そこからはiPadを使っていました。

YU ME NO U E
僕はアナログ派だったので、iPadで作っているだけですごいなあと思いますよ。体系図の内容は頭に全部入っていたんですか?

ボザイ
そうですね。当時は独学だったので、正しくないやり方かもしれませんが、とにかく体系図を見て暗記しまくっていました。「財務諸表論の理論暗記は必要ない」という声も聞きますが、僕の場合は暗記していないと独特な言い回しに対応できませんでした。日常的な会話で使うような言葉じゃなくてもスラスラ書けたのは、暗記したからこそだと思います。

YU ME NO U E
僕も「詰め込み型」には賛成です。採点者の目線を踏まえても、会計基準の言葉がそのままあったほうが点も入りやすいのかなと思います。意味が合っているかまで判断して点をつけるかというと、そこまでやってくれるとも限りませんよね。

ボザイ
そういった意味でも丸暗記は基本だと思います。当時は体系図に頭の中を書き写した感じだったんですが、今でも「あのへんにこんなこと書いたな」と覚えています。図にすると頭に残りやすいですよね。

YU ME NO U E
たしかに。ただ、僕のメモリーツリーやボザイさんの体系図を人が見てもわかるかといったら、そうとも限りませんよね。人によって頭の中は違うので、自分で書く過程がすごく大事だと思います。僕は財務諸表論のメモリーツリーは「暗記」のために作っていましたが、税法科目のメモリーツリーは暗記よりも「理解」のために作っていました。頭の中を整理しながら書くことで理解も深まるように思います。

◆A3用紙に論点ごとに作成したメモリーツリー(YU ME NO U E)

「フレッシュさ」を忘れないのがモチベーションアップの秘訣

ボザイ
税理士試験はほとんどの受験生にとって長期戦になると思います。YU ME NO U Eさんは官報合格までモチベーションをどのように保たれていましたか?

YU ME NO U E
それはとにかく「勉強が楽しい」と自分に洗脳をかけて…(笑)。

ボザイ
洗脳(笑)。息抜きなどはされていましたか?

YU ME NO U E
飼っている猫くらいかなぁ。前職は自動車メーカーのエンジニアで今とまったく違うことをしていたので、税理士試験の勉強が新鮮で楽しかったんですよね。今思うと、受験勉強が趣味のような感じでした。ずっと会計事務所に勤務しながら税理士試験の勉強を続けていたほうが僕にはきつかったかもしれないですね。

ボザイ
それはすごくわかります。僕も最初の簿記論・財務諸表論が一番楽しかったんですよね。会計科目自体が面白いというのもあると思うのですが、実務を知らなかったので、なんだか「学びがすべて自分のものになっている」ような気持ちになれました。今、会計事務所で働きながら法人税法を勉強していると、実務で使わないようなことが試験では重要とされていたり…。会計科目のような純粋な面白さを感じにくくなってきたのが悩みでもあります。

YU ME NO U E
たしかに右も左もわからないときが一番楽しい気がします。僕も会計科目のときは、頭の中にスルスル入ってきて、勉強するたびに「世の中こうなっていたのか!」みたいな。そういった意味で、“フレッシュさ”を忘れないのがモチベーションを保つ秘訣なのかもしれませんね。そのためにも、なるべく早く合格するのがオススメですよ。僕は最後の5科目が消費税法だったのですが、結果がどうであれ次に勉強するのは相続税法と決めていました。最後まで“新鮮さ”がほしかったんですね。なのでボザイさんも、この調子で「合格」を積み重ねることが一番のモチベーションにつながると思います! 好奇心を忘れずに、最後の最後まで頑張ってくださいね。

ボザイ
ありがとうございます。とても励みになりました。8月の本試験、絶対に「合格」を勝ち取ります!


【対談者のプロフィール】

YU ME NO U E

税理士・中小企業診断士・社会保険労務士(試験合格)
トヨタ自動車(株)に10年間エンジニアとして勤務。仕事のなかで携わった中小企業との出会いがきっかけで、中小企業支援に関心を抱き、エンジニアとしての勤務のかたわら社会保険労務士試験、中小企業診断士試験に合格。2017年、35歳にして退職、実務経験ゼロで税理士法人へ転職。故郷である静岡県に戻り、中小事業者の力になれるよう、第2の人生のスタートラインに立っているところ。2014年から税理士試験を受験し、2020年に官報合格。
勉強法や等身大の受験生活の日々を綴ったブログ「資格の先のYU ME NO U E」が大人気で、アメブロ資格ジャンルのランキング上位常連。
著書に『社労士試験 この勉強法がすごい!』(単著)、『税理士試験 税法理論のすごい暗記法』(共著)(ともに中央経済社)がある。

ボザイ

30歳まで格闘技に夢中で勉強とは無縁の生活を送る。その後、一念発起して2019年、独学で日商簿記1級に一発合格。2020年に独学で簿記論・財務諸表論に一発合格。さらに会計事務所に勤めながら 2021年に消費税法に一発合格。2022年は法人税法を受験予定。勉強の記録や学習法を発信しているTwitter(@bozai888)やnoteは同じ受験生から絶大な人気を誇る。


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