上田 和徳
(TAC株式会社/執行役員/スクール第二事業部長)
【編集部から】
5月29日に実施された今年の公認会計士第Ⅱ回短答式試験。受験した方はお疲れ様でした。
手ごたえがよく、論文試験に向けて順調なスタートをきった方もいれば、不安を感じている方もいるでしょう。
なかには、受験勉強を「続ける」か「諦める」か? 自分自身の進退について悩んでいる方も多いかもしれませんね。
今回は、資格の学校TACで10年以上、公認会計士試験受験生の就職支援をされてきた上田和徳氏に、今後を考えるためのヒントをいただきました。
「続ける力」は「受験」にも「就職」にも役に立つ!
みなさん、こんにちは! 資格の学校TACで公認会計士試験受験生の就職支援を行っている上田と申します。
今年の公認会計士第Ⅱ回短答式試験が終わり、受験した感触で進退に迷っている方もいると思います。
私は個人的に受験を「続ける」ことを強くおすすめしますが、判断されるのは「みなさん自身」です。
今回は、これまで受験生のキャリア相談に応じてきた私の経験から、「受験を続けて幸せになった方」をご紹介します。
8年の頑張りが評価されたAさん
【Aさん】
諦めずにチャレンジを続け、第一志望の監査法人に就職!
ご存じのとおり3大国家試験の1つである公認会計士試験の難易度は高く、受験までの学習期間は1年半~2年が標準的です。
この方は、「公認会計士になって家族を支えたい」という強い意思をもって学習を開始しましたが、そう簡単にはいきませんでした。何度も失敗して心が折れてしまい、「諦めたほうがよいのでしょうか?」と相談されたこともあります。
しかし、最後は自分の意思で「続ける」と選択し、チャレンジを続けました。諦めるのは簡単で続けるのはつらいですが、逃げ出さずに勉強を続けた結果、8年目の論文式試験で合格することができました。
長い間、就職支援もしましたが、採用試験では適度な緊張感をもって面接をクリアし、無事に第一志望の監査法人に就職しました。面接官からは「これまでよく頑張ったね」と言われたそうです。
現在は4大監査法人の1つのパブリックセクター、ヘルスケア部門で活躍し、公認会計士として社会貢献されています。
異業種からのキャリアチェンジに成功したBさん
【Bさん】
服飾の専門学校を卒業後、アパレル業界一筋。公認会計士に出会ったことで1から勉強を始め、第一志の監査法人に転職!
学習開始時は簿記3級もわからなかったBさん。
はじめてのミニテストでも5点しか取れませんでしたが、私に「5点取れた!」とニコニコと答案を見せに来てくれました。別れ際に「次は10点取ります!」と言って帰り、次のミニテストでは15点を取りました。合格点にはほど遠いですが、「簿記って楽しい!」とガッツポーズをしていたことが脳裏に焼き付いています。
このポジティブな性格と、コツコツと勉強に向き合うメンタルが相まって、見事に合格を果たしました。
就職活動も、ポジティブさと素晴らしい笑顔で、早期に内定をもらうことができ、「ねっ! 私できたでしょう!」とピースサインを送ってくれました。
この方も、4大監査法人の1つで公認会計士として活躍されてます。
働きながら「合格」を目指せる監査法人も!
「一定の基準・条件を満たしている方」は、働きながら公認会計士試験合格を目指せる環境を整えている監査法人もあります。
実際にこの制度を利用している方からは、仕事と勉強の両立には苦労したものの、学んでいることが実務に活き、実務から得た知識も勉強に活かせるので、理解度が早まったと聞いています。
勉強に専念するという道以外にも、働きながら合格を目指すという道もあります。広い視野で将来のキャリアプランを立ててみましょう。
さいごに
公認会計士受験生のキャリア支援に長年携わってきて強く感じることは、学歴や職歴など「過去」は試験にも就職にも関係がないということです。
大事なのは「諦めず続ける」、これに限ります。コツコツと頑張れば合格も可能です。
いま、一歩踏み出すか、踏み出さないか。途中でくじけて止まるか、進むか。一歩踏み出し、進み続ければ、きっと明るい未来が拓けるでしょう。頑張ってください、応援しています。
【執筆者紹介】
上田 和徳(うえた・かずのり)
1965年、高知県土佐清水市生まれ。2010年から公認会計士受験生の就職支援に携わり、各監査法人の特色に合わせたエントリーシート対策、面接対策が評判。Twitter(@TAC_SyukatsuExp)では、就職活動のコツなど、平日は毎日お役立ち情報を発信中。